【FF4】バロンの兵士だけど王様が亀だった件【SS】

2018年06月08日 22時16分


1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:15:01.28ID:AfvvxmAq0
王様がセシル隊長やカイン隊長を幻獣討伐に向かわせたときから
おかしいと思っていたんだ。




3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:16:45.74ID:AfvvxmAq0
ある陽気な昼下がり。
バロンの一般兵士である俺は休憩時間に無二の親友である黒魔導師と一緒に
ゆうなま3のファミリーダンジョンで遊んでいたんだ。
そんで、俺がトイレに行って帰ってくるとき
交代の時間なのか王様の部屋の見張りがいなくなってて
ちょっと扉が開きかけてたから興味本位でのぞいたんだよ。
そしたら王様がブルーベリー色をした巨大な亀に変身してやがった。
いや、王様に変身していた亀が元の姿に戻ったと言うべきか。




4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:18:03.27ID:AfvvxmAq0
俺は亀に気づかれる前に慌てて黒魔の部屋に戻ったけど
見てはいけないものを見てしまった俺はどうすればいいだろうか。
「王様はモンスターが化けています」なんて迂闊に言おうものなら
名誉毀損で処刑されかねない。
というか話したところで誰にも信じてもらえないだろう。




5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:19:17.79ID:AfvvxmAq0
「何かあったのか?」
戻ってきた俺のただならぬ様子に疑問を持った黒魔が俺に尋ねてくる。
唯一無二の親友のこいつにだけなら話してもいいだろう。
というか俺は相談相手が欲しかった。
俺は黒魔に事情を話した。
「それ、やばくないか?」
黒魔が言った。




7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:20:18.37ID:AfvvxmAq0
「考えて見ろ。
王様がモンスターなら王様に近い近衛兵が気づかないはずがない。
ということは近衛兵もグルの可能性がある。
もしかしたら、バロンの兵士が徐々に
モンスターと入れ替わってるかもしれない。」
確かに。最近不真面目だった奴が急に真面目になったり
急に様子が変わった兵士をよく見かける。
「このままだと俺たちもいつか
モンスターと入れ替えられるかも…」
まじかよ。そんなのごめんだぜ。




8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:21:54.30ID:AfvvxmAq0
そうだ。俺もおまえも今は休憩時間だ。
町に買い物に行く振りをして逃げ出そうぜ。
「逃げ出してどうするつもりだよ」
黒い顔の中の黄色い目を細めながら黒魔が訊く。
俺の考えとしてはダムシアンやファブール辺りに身を隠し
バロンを魔物から取り返す機会を伺おう。
もしその先でセシル隊長達に会えたらきっと力になってくれるはずだ。
「よしわかった。そのプランで行こう。」
黒魔は強く頷いた。

丸腰で魔物のわんさかいる外へ出るのは危険なので
以前俺が竜騎士隊の倉庫からこっそりかっぱらった槍と
普段着用している防具をバッグに入れる。
黒魔は普段着があれだし魔法主体だから手ぶらでもいいだろう。
俺たちは城門へ向かった。




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9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:22:48.57ID:AfvvxmAq0
「そんな大荷物を持ってどこへ行くつもりだ?」
城門の門番が俺たちに訊いてくる。
「部屋の整理をしてたらいらないものがたくさん出たから
ちょっとハードオフに売ってくるだけだ」
黒魔がそう返すと門番はあっさりと通してくれた。
さすが魔法使い。ただの兵士の俺とはちせいの値が違う。

俺たちのステータス
おれ Lv1 HP80 MP0
ジョブ:せんし
Eスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム

くろま Lv1 HP32 MP9
ジョブ:くろまどうし
Eぬののふく
●ファイア




12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:24:04.48ID:AfvvxmAq0
とりあえず町にいられる休憩時間のうちに
有り金をすべてはたきバロンの町でテントとポーションを買い込む。
バロン周辺には他に町も宿屋もないから
俺たちにとってアイテムだけが回復手段となるわけだ。
もしも俺の隣にいるこいつが黒魔導師じゃなくて白魔導師なら…
と思ったがレベル1じゃあMPもたかがしれてるな。

バロンの町から離れたところで少しだけレベルを上げる。
バロンの外へ出るにはセシル隊長達が幻獣討伐に向かった
ミストの洞窟を通らなければならない。
もしかしたら幻獣と戦うかもしれないためレベルを上げるのだ。




13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:25:23.59ID:AfvvxmAq0
といっても俺たちは城の中で出るはずのない不審者相手に見回りやってた兵士と
安全な研究室で延々と魔法研究をサボりながらやってたしていた黒魔導師。
二人とも実戦経験がないためゴブリン相手にも苦戦を強いられる。
一応黒魔のファイアがあるがすぐMPが切れるか戦闘不能になるため
あまり役には立たなかった。
あ、黒魔を後列に下げるのを忘れてた。
そりゃあすぐ倒れるよな。

テントを5つ消費した頃、ようやく俺たちのレベルは3になった。
俺のHPが三桁になったのでそろそろミストの洞窟へ向かうことにした。
一つ気になったのが倒したはずのゴブリンが一度だけ立ち上がって
仲間にしてほしそうにじっと俺たちを見つめたことがあったことだ。
俺が蠅をあしらうようにしっしとやると
ゴブリンは残念そうに逃げていったが、
今思えばとどめを刺して経験値にすればよかったと思う。




15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:26:47.00ID:AfvvxmAq0
フロータイボールやソードラット等の妨害を受け流しつつ
俺たちはミストの洞窟に入った。
そこそこ深い霧が戦いで火照った俺たちの顔を冷やしてくれる。
そこまで視界が悪いわけでもないのでスピアとファイアでモンスターを
倒しながら進むと出口付近でドラゴンのような生き物の死骸を見つけた。
黒い傷跡と深くえぐれた刺し傷をみるにセシル隊長たちが倒したのだろう。

「この死体、死後二週間程度だな」
なぜか死骸に鑑識のようなことをやっている黒魔が言った。
はて、セシル隊長たちが幻獣討伐に向かったのも二週間前だ。
旅立って一日も経たずに目的を達成したのなら
何故二人は帰ってこなかったのだろうか。
王様が亀だったことと関連があるのだろうか?




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16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:28:08.84ID:AfvvxmAq0
洞窟を抜けた俺たち。
ボスみたいなのがいなくてよかった。
「どうして鎧を脱ぐんだ?」
村の手前で鎧を脱ぐ俺に黒魔が訊く。
ふつうに考えて平和な村に兵士姿の男が入ってきたらパニックになるだろう。
納得した黒魔とぬののふくを装備した俺は村にはいr…畜生村の一歩手前でエンカウントしやがった。
背中を殴られながらギルを落としながらも何とか逃げきる。
黒魔がやられてしまったが宿屋に寝かせておけばいいだろう。




17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:29:27.83ID:AfvvxmAq0
ミストの村に入った俺たちは驚愕した。
目の前に広がったのは葬式中の村人と火事になったのかやけ焦げた家の壁だった。
モヒカンのブロイラー野郎が人間狩りにでも来たのだろうか。
俺たちは旅人と言うことにして村人に話を聞いた。
話によると二週間前バロンの者と思われる二人組が村を焼き払おうとしたようだ。
二人組はクェイクまで使ったようだが火事の方はそこまでひどくはなく、
事前に危険を察知した女性の命令で地下シェルターに隠れていて
村人は助かったようだ。
しかし、その女性は村を守ろうとして殺され
その女性の娘も行方不明になったらしい。




19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:30:49.49ID:AfvvxmAq0
なんというひどいことをするんだろう。
俺は宿屋の中で憤慨した。
「まあその二人組がセシル隊長達じゃないのは確かだな」
黒魔が言う。
確かに。セシル隊長は暗黒騎士、カイン隊長は竜騎士。
どちらもMPを持たない脳筋ジョブだ。
上位の黒魔法であるクェイクが使えるはずがない。
俺の予想ではその二人組はバロン王もとい青亀の手下だと思う。
それにクェイクが使えるということはかなり強い奴だろう。
俺たちのレベルが低いうちに戦闘にならないことを願うばかりだ。




21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:32:34.91ID:AfvvxmAq0
ミストの東には砂漠が広がるとのことなので
適当に水とポーションを補給してミストを後にする。
黒魔に防具を買った方がいいかもしれないがこの世界で後衛に
防具を買い与える意味があるのか微妙なので
やばくなったら買うという方針でいこうと思う。
むしろこの先俺の装備できる武具がまともに売っている店が
あるかどうかが甚だ疑問ではある。

俺たちのステータス
おれ Lv4 HP122 MP0
ジョブ:せんし
Eスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム

くろま Lv3 HP68 MP25
ジョブ:くろまどうし
Eぬののふく
●ファイア




23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:33:55.76ID:AfvvxmAq0
砂漠に入った俺たちをデザートサハギンの大群が出迎えてくれた。
黒魔のファイアが砂漠の敵に効きづらいせいで苦戦を強いられる。
というかレベルあがったのにファイア以外の魔法を一切覚える気配がない黒魔に問題がある気がする。
とりあえず黒魔には単体ファイアをさせ二人で一匹を攻撃し各個撃破をはかる。
ポーションの減りがやたら早いがバロン周辺でゴブリンから
かっぱらったポーションが結構あるからまだ余裕ではある。
疲れのせいか遠くの空に赤い翼の飛空艇が飛んでるような気がしたが多分気のせいだろう。

何故か砂漠に大量にいる蛾やら芋虫やらの猛攻を受けつつオアシスの村カイポに滑り込む。
砂漠の敵はそこそこ経験値が多いからここを拠点にまたしばらくレベル上げをしようかな。
町の中で情報を集めると一週間くらい前にこの村を幼女を連れた暗黒騎士が訪れたそうだ。
セシル隊長かと思ったがカイン隊長は幼女ではないし
セシル隊長は仲間を捨て幼女に走る変態でもないので多分別人だろう。
その暗黒騎士に兵士風の男三人が夜這いにきたとかそういう話もあったが
気持ちが悪くなるので忘れた。




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24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:35:37.93ID:AfvvxmAq0
この町は結構ネタにあふれていることに気がついた。
水辺で黒魔に色気を使った女が泉に突然身を投げ犬神家状態になったり。
何か名前を変えることができるという野郎がいたりした。
名前を変えるということは住民票や戸籍などの諸書類も瞬時に書き変わるのだろうか。
こいつ、以外と侮れないかもしれない。

宿屋で適当に休んだ後レベル上げを開始した。
レベルが上がるほど戦いは楽になるのだが
まとまった経験値が入らないため時間だけが異様にかかってしまう。
は○れメタ○とかス○ーウォー○ーとかのカモがいれば楽なんだがな。
無い物ねだりもしょうがないので黙々とサハギンをしばき続ける俺たち。




26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:38:03.75ID:AfvvxmAq0
レベル上げをしているある時MPの切れた黒魔が適当に素手で殴りかかったら
瀕死だったのか芋虫を倒すことに成功した。
その後しばらく素手での攻撃に黒魔がハマっていたが
サハギン五匹の集団リンチで一度沈んだらおとなしくなった。
そんなに素手で戦いたいならファブールあたりで修行を積めばいいのに。
「いやだよ。ハゲにならないといけないんだろ?」
そもそもおまえに髪はあるのか。

二人のレベルが7になる。
ようやくファイアサンダーブリザドと三属性がそろった黒魔。
これくらい強くなったらそろそろ先へ進んでもいいだろう。
ちなみに素手で満足しているようなので黒魔の装備は現状維持でいくつもりだ。

俺たちのステータス
おれ Lv7 HP181 MP0
ジョブ:せんし
Eスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム

くろま Lv7 HP96 MP34
ジョブ:くろまどうし
Eぬののふく
●ファイア
●サンダー
●ブリザド




27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:39:35.58ID:AfvvxmAq0
長らく世話になったカイポを飛び出し北西にあるという洞窟を目指す。
もうサハギンや虫けら程度じゃ俺たちの相手にならない。
洞窟は太陽の照りつける砂漠とはうって変わって水の流れる鍾乳洞のようなところだった。
いかにもサンダーが効きますといわんばかりの魚やしじみが襲いかかってきては黒魔に吹き飛ばされていた。
そして調子に乗った挙げ句魚に吹き飛ばされ沈む黒魔。
フェニックスの尾を黒魔の口につっこみ俺たちは洞窟を進んでいく。
洞窟の所々に宝箱が置いてあるのはいいんだが全部中身が持っていかれているのがいただけない。
俺たちのいく先々を誰かがすでに通っているんだろう。
俺たちが宝箱を開けられる日は来るのだろうか。

途中水に浸からないと進めない箇所が多々ありその度に服が濡れるのをいやがる黒魔。
別に黒魔が実は女だったとかそういう展開はないから無理矢理水に引きずり込む。
それにしても長い洞窟だ。
休憩場所っぽいところを通ったが折り返し地点でもなさそうだ。
ツルハシかなんかで壁を掘って直進したい。
無論鍛冶屋で壊れなくしてからな。




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28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:41:18.61ID:AfvvxmAq0
ようやく外に出たと思ったら目の前にまた洞窟。
ぬか喜びとはまさにこのことだな。
テントで休んだ後先へ進む。
入った途端目の前に広がる水の崖。
この滝を飛び降りろと言うのだろうか。
この高さから水に飛び込めば確実に石にたたきつけられるのと同じダメージになるな。
そこで黒魔が名案を思いついた。
フェニックスの尾を口に含んだまま飛び降りるというのだ。
なるほど。そうすれば着水と同時に復活できるか。

言い出しっぺの法則に則り黒魔で早速実験。
無理矢理黒魔の口にフェニックスの尾を突っ込み滝の下へ蹴り落とす。
しばらくして弾けたような音が聞こえたがその後黒魔の声が聞こえたから成功したのだろう。
俺もフェニックスの尾を口に含み飛び降りる。
着水の瞬間意識が飛ぶがすぐに復活した。
HPはかなり減っているが気にしない。
「いきなり落とすなんてひどいよ」
黒魔が文句言ってくる。
いいじゃないか。降りれたんだし。




30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:43:18.63ID:AfvvxmAq0
水路をジャブジャブと進む俺たち。
相変わらず魚どもが妨害してくる。
そこで陸に上がった俺はさっき拾ったゼウスの怒りとかいうアイテムを水に投げ込んだ。
するとどうだろうか。水路全体にサンダーが発動し
痺れ死んだ魚が浮かんでくるではないか!
みろ、魚がゴミのようだ!黒魔も浮かんでいるが。

無駄にフェニックスの尾を浪費していることを気にしつつ先へ進むと
入ったときに飛び降りたのと同じくらいの規模の滝壷にぶち当たった。
滝壺付近には巨大なタコの死骸がある。
死骸には黒い傷と無数のサンダーの跡と何故かチョコボの足跡があった。
かなりの実力者が倒していったのだろう。
黒い傷跡から見るにもしかしたらセシル隊長たちかもしれない。




31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:45:29.29ID:AfvvxmAq0
ようやく洞窟を抜け、日の光を浴びる俺たち。
なんだか何日も洞窟に潜ってた気分だ。
ここらへんには確かダムシアンの城があるはずだ。
ダムシアンは小さいながらもクリスタルを持つしっかりとした国だ。
事情を話せばかくまってくれるかもしれない。
もしかしたら、セシル隊長達にあえるかもしれない。

結論から言うと、ダムシアン城は瓦礫の山になっていた。
絶望したッ!とか言っている場合ではない。
せっかくつかみかけた光を取りこぼしたような気分だ。
「城の天井部分から崩れているのをみるに爆撃されたようだな」
黒魔が冷静に検分する。
爆撃なんていう芸当ができるのは飛空挺を持つバロンだけだ。
一足遅かったようだ。俺は悔しさで下唇を噛む。




32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:46:52.42ID:AfvvxmAq0
とりあえず何か役に立つ物が残ってないか廃墟となった城を探索する俺たち。
しかし略奪でも行われたのか空の宝箱ばかりが見つかった。
「お、なんかこの壁怪しいぞ」
黒魔が壁を一マスずつ調べていると何か見つけたようだ。
「この煉瓦だけ妙に出っ張ってるんだ」
何かの仕掛けがあるのかもしれないな。
俺は力一杯煉瓦を押した。
すると床の一部が動き、階段が現れた。
俺はてっきり何かの紋章やら鍵やらをはめないといけないかと思ったが
別にそんなことはなかった。

階段の先はホバーボートの駐船場だった。
これがあればモンスターに出会わず砂漠や浅瀬を越えられるはずだ。
ダムシアンの人たちには悪いが俺たちは一台だけ失敬することにした。
ダムシアンがやられたとなれば陸路で行ける国で残るのは
東のファブールだけだ。手後れになる前に着かなければならない。
俺たちはファブールを目指し、東のホブス山へ向かった。




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34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:48:47.76ID:AfvvxmAq0
途中の洞窟の前にホバー船が止まっていたのをみかける。
誰かがあの洞窟に入っていったのだろう。
確かあそこはアントリオンとかいう巨大生物の巣だったはずだ。
そんなところにわざわざ赴くなんて酔狂な人間もいたものだ。
セシル隊長でないことを願う。

ホブス山の入り口は巨大な氷に阻まれていたが
黒魔のファイアであっという間に溶けていった。
が、黒魔のMPがガス欠になったみたいだ。
よく考えれば俺たちあの洞窟に入ってからロクに休んでいない。
どうりでキツいわけだ。

ホブス山の麓の結界地帯でテントを張って休む。
正直最近テント暮らしになれてきて、テントを張るのにもあまり時間はかからなくなった。
ゴツゴツした地面での寝心地もあながち悪くはない。
俺たちはポーションを飲みながら久々にのんびりと休んだ。




35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:50:29.59ID:AfvvxmAq0
「キャー!」
俺たちが寝ようとするとどこからか女性の悲鳴が聞こえてきた。
旅人が襲われているのであろうか。
俺は無視しようとしたが黒魔が飛び出していったので
仕方なく俺もいくことになった。
俺たちが向かうとそこではスケルトンやガーゴイルが大群で女性に攻撃を加えている最中だった。
気になるのはその女性の下半身が蛇なことだが。今の状況ではそんなことは些細なことだ。
なあ黒魔、骸骨野郎と、きれいな女とどっちにつくよ。
「きくまでも なかろうよ!」

黒魔がスケルトンにファイアを放ちつつ戦闘に躍り出る。
俺と黒魔が加わったことで形勢は逆転した。
スケルトンは苦手なファイアで消し炭に。
ガーゴイルは俺の攻撃で次々と落ちていった。
女性も女性でケアルやプロテスで支援してくれる。
三人の協力もあってモンスターの大群はすぐに数を減らし、
しまいには逃げていった。




37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:52:34.78ID:AfvvxmAq0
「助けてくれてありがとうございました」
女性-どうやらリリスという種らしいーが頭を下げてお礼を言う。
俺たちはなぜミシディア地方にいるはずのリリスがここにいるのか
なぜモンスターに襲われていたのかを訊いた。
曰く、元々優しい性格が災いして人間を倒すことができず
それが原因で故郷の試練の山でモンスター仲間にハブられ
そういうギスギスしたモンスター社会が嫌になり
人間と仲良くなるため密航を繰り返しここにたどり着いたのだが
別の地方から来たリリスをここのモンスターが余所者として追い出そうとしたのだったという。
ちなみにリリスは普通はアンデットだが彼女は希に生まれる
非アンデットのリリスらしい。
だから白魔法が使えるとさ。ご都合主義だね。




39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:53:59.12ID:AfvvxmAq0
「よろしければ、私を連れていってくれませんか?」
リリスが頭を下げて俺たちに願う。
俺としては別に構わない。
彼女は白魔法が使えるし、モンスターだけどちゃんと人の心があるからだ。
黒魔は黒魔でパーティに女性が入るのがうれしいのか
ポーションをグラスに注ぎ乾杯の準備をしている。
そして俺たちは答える代わりに乾杯で返事をした。

しろまどうしの リリスが なかまになった!




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40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:55:12.18ID:AfvvxmAq0
翌日、黒魔が余った布の服をつなぎあわせて長いスカートを作っていた。
「このままだとリリスちゃんが町の中に入れないだろ?
それで、このスカートで足を隠せば、見た目は人間になる」
確かに、スカートで下半身を隠したリリスは人間に見える。
これなら町の中に入っても大丈夫だろう。
「あとリリスちゃん。俺たちには敬語は使わなくていいよ」
黒魔がにこやかな顔で言う。
「え、あ、ありがとう黒魔!これでいい?」
黒魔が顔を真っ赤にして喜んでいる。
こいつこんなに女好きだったっけ。
俺はリリスに旅の目的と現在の状況を話す。
するとすぐOKサインを出してくれた。
理解が早くて助かる。




41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:56:58.41ID:AfvvxmAq0
俺たちは山道を登っていく。
リリスのケアルのおかげで俺たちはいつもよりスムーズに敵を倒していく。
回復に気を配る必要がないため戦いに集中できるからだ。
黒魔も黒魔でいつもより張り切っているのか
ファイアの威力がファイラ並にすごいことになっている。
「これが余のファイアだ」
黒魔が顔をキリッとさせて言う。きめえ。

「あそこで誰かがモンスターに襲われているわ!」
山頂に差し掛かったときリリスが叫んだ。
指さす方を見るとゴブリンの上位種ドモボーイが一人のハゲのおっさんに集団で襲いかかっていた。
しかし、ハゲは竜巻旋風脚でドモボーイを弾き倒す。
あのハゲはかなり強いらしい。
しかしハゲの前にボムのでかい奴が現れるとハゲが後ずさりし始めた。
さすがにあの大きさだとハゲも苦しいらしい。
俺たちはハゲに加勢することにした。




44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)00:58:54.81ID:AfvvxmAq0
「あのボムはただのボムではない!ボムの親玉、マザーボムだ!」
ハゲが俺たちに叫ぶ。
敵の親玉のことを知っているにこのハゲはなかなかの知識を持っているらしい。
ただのハゲじゃなく、スーパーハゲなのかもしれない。
「でかくたってボムはボムだろ!食らえファイア!」
黒魔が柄にもなく叫びながらファイラ並のファイアを放つ。
が、そこまで大きなダメージは与えられなかったようで
マザーボムのカウンター右フックを食らって吹っ飛んでいった。
「黒魔、大丈夫!?」
リリスが黒魔にケアルをかける。
黒魔は強く頭を打って昏倒しているようだ。
肝心なところで役に立たない奴だ。

俺はリリスにプロテスをかけさせスーパーハゲと一緒に接近戦を試みる。
さすがボム界の親玉。ちょっとやそっとじゃビクともしない。
俺たちは一度間合いを取る。
するとスーパーハゲが力を溜め始めた。
真空波動拳でも出すのだろうか。




46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:01:29.14ID:AfvvxmAq0
ハゲが溜めている間も俺は果敢に攻撃する。
こっちも攻撃を食らうもののリリスがケアルをしてくれているので平気だ。
俺の攻撃でマザーボムがひるんだ瞬間にハゲの烈風正拳突きが炸裂する。
これにはさすがのこいつも参ったようで腫れ上がった腹を抱えて痛がっている。
いや、腫れているというより膨れ上がってる?

「ば く は つ す る ~ !」
間延びした声でマザーボムが言う。
「伏せろッ!」
俺たちはハゲの叫びで一斉に伏せる。
その瞬間マザーボムが大爆発を起こした。
タイミング悪く気絶から立ち上がった黒魔以外は防御していたので無事だった。
立ち上がったところをもろに食らった黒魔は300近いダメージを受けて再び気絶した。

大爆発を起こしたマザーボムは二種類六匹のボムに分裂したようだ。
しかしそいつらはマザーボムほどのパンチ力はなく
俺とハゲのコンビネーション攻撃で一匹ずつ沈めていった。
残った一匹がハゲに自爆をし、ようやくあたりは静かになった。
ハゲは平気な顔をしている。どうやらこれで勝てたようだ。
俺たちは万歳して喜ぶ。
何故バンザイかというと何かそうしなければならない気がしたからだ。




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47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:03:15.03ID:AfvvxmAq0
「危ないところをかたじけない。
私はモンク僧長ヤン。
このホブスの山で修行中魔物の群に襲われ
私を残し全滅してしまった。
あれほどの者たちが…」
ヤンと名乗るハゲが丁寧に自己紹介をする。

あれほどのと言っているがここのモンスターはそこまで強くないし
さっき襲ってた連中もマザーボム以外はあまり強そうじゃなかった。
ファブールの一般モンク僧の実力に疑問を抱く。
俺たちは一通り自己紹介をする。
リリスのこともうっかり話してしまったがヤンは驚く素振りを見せず
「魔物でも人の心を持つのなら人である」みたいなことを言った。
やはり伊達にモンク僧長をやっているわけじゃないな。
「して、そなたらはなぜここへ?」
俺たちはファブールを目指しているんだ。
バロンがファブールを狙っているという噂を聞いて
ファブール王の耳に入れてもらいたくてここまで来たんだ。
俺はあまり嘘じゃない理由を述べた。
「! なんということだ。主力のモンク対は全滅。
城にいるのはまだ修行も浅い者ばかり。
今攻め込まれてはひとたまりも!」
ヤンが冷や汗を流しながら叫ぶ。




48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:04:43.61ID:AfvvxmAq0
「無防備な状態が続くのは危険です。
すぐにでもファブールへ戻り、体制を立て直さなければ!」
黒魔が久々にまともなことを言う。
「私たちもできる限りお手伝いします!」
リリスが言うと、ヤンは手を前に突きだして拒んだ。
「そなたたちを巻き込むわけにもいくまい」
深くは言えないが俺たちはバロンと戦う理由があるんだ。
頼む、手伝わせてくれ!
俺たちの必死の懇願にヤンはようやく首を縦に振った。
「訳ありか…かたじけない!助太刀願えるか?」
ヤンの問いに頷く三人。
「ファブールは東の山を越えたところ。
さあ急ぎましょう!」




51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:05:49.01ID:O/yGZmwwO
面白くなってきたね

とりあえずどこまでやるつもりさ?




55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:10:04.44ID:AfvvxmAq0
とりあえず一休憩がてら安価に答えます

>>51
文章自体は EDまでできてるので私の体力が続く限り




54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:06:47.24ID:AfvvxmAq0
俺たちのステータス
おれ Lv10 HP253 MP0
ジョブ:せんし
Eスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム

くろま Lv9 HP132 MP48
ジョブ:くろまどうし
Eぬののふく
●ファイア
●サンダー
●ブリザド

リリス Lv12 HP111 MP66
ジョブ;しろまどうし
○ケアル
○プロテス

ヤン LV10 HP300 MP0
ジョブ:モンク
E炎の爪
E皮の服




続きは次のページで
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:13:23.40ID:dxlRbU0dO
面白懐かしいな
マップを全然思い出せないわ




58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:14:20.22ID:AfvvxmAq0
再開

ホブスの山を越え、ファブールを目指す。
途中、怪しげな森があったので入ってみるとそこはチョコボの森だった。
せっかくなので一匹捕まえみんなで乗る。
早い上にチョコボのおかげで敵に出会わなくて済む。
「どうしてチョコボが魔物に襲われないか知っているか?」
黒魔が唐突に話を切り出す。
そんなこと俺が知るわけないだろう。
「あー、知ってる。
たしかかなり昔のチョコボは隕石を操ったり弾丸を飛ばせて
魔物の頂点みたいな存在だったんだって」
リリスが言った。
そんな怪物だったのかこの鳥。




59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:16:14.72ID:AfvvxmAq0
ファブールにたどり着いた俺たち一行。
チョコボが海に向かって走っていくのを見届けてから城内へ入る。
「戻られましたか、ヤン様!」
俺たちが入ると門番と思われるモンク僧がヤンに頭を下げながら言った。
モンク僧長というくらいだから国の中でもかなりの地位にいるに違いない。
バロンで言うベイガン近衛兵長のような感じであろうか。

ヤンに連れられ王に謁見する俺たち。
失礼の無いように皆でひざまづく。
「ヤンよ、戻ったか」
王が威厳のある声で言う。
「はっ。
それよりもファブール王。
この国にバロンが攻めてくるという情報を聞き急ぎ戻りました」
「誠か!」
ヤンが言うと王は少し顔を強ばらせて驚いた。
「この方たちがそれを私に教えてくれたのです」
ヤンが続けてそういうと、王は首を傾げながら顎に手を当てて言った。




63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:18:32.26ID:AfvvxmAq0
「その方達は何者じゃ?
見たところバロンの鎧を着ておるようだが」
王に言われて俺はギクッとした。
急いでたせいで鎧を脱ぐのをすっかり忘れていた。
「それに、バロンはついこの間ダムシアンを襲撃したばかりのはず。
そう間を置かずに何度も攻めてこれるのか?」
王の言葉に黙る俺たち。

すると後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「バロンは今魔物の力を借りています。
侮ってはいけません!」
俺たちが振り向くとそこには漆黒の鎧に身を包んだ騎士が立っていた。




65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:20:11.61ID:cWJZFpjOO
FF4好きだからなんか嬉しい




67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:20:54.83ID:AfvvxmAq0
あの風貌は間違いない、セシル隊長だ。
セシル隊長の側には美しいことでバロンで有名な白魔道士ローザ様と
緑色の髪をした幼女と浮浪者みたいな見た目の吟遊詩人が立っている。

「お久しぶりです。ファブール王」
浮浪者が王に言う。
「これはギルバート王子!」
目を見開いて答えるファブール王。
この浮浪者は王子なのか。人は見た目によらないな。

「バロンはゴルベーザという名の魔物使いを味方にし
多くの魔物と飛空挺で攻めてきます。
我がダムシアンは反撃するまもなく一瞬でやられてしまいました。
このままではファブールもダムシアンの二の舞になってしまいます」
ギルバートが必死の表情で訴える。
魔物使いゴルベーザか。
聞いたことのない名前だが多分ロクな奴じゃないだろう。
疑っていたファブール王もギルバートの言葉で納得したのか
玉座から腰を上げ話した。
「すまぬ!誠じゃったか。
だがヤンよ、お主一人ということはモンク隊は…」
ヤンがうつむくと、王はすべてを理解したようだ。




続きは次のページで
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:22:15.25ID:AfvvxmAq0
「むう、主力のモンク隊が全滅したとなれば
我々だけではバロンの攻撃を防ぎ切れぬかもしれん。
すまぬがそなたたちの力を借りたい」
王が頭を下げ願い乞う。
力になれるかわからないが、全力を尽くすことを約束する。

「この方たちはすばらしい腕をお持ちです!
私とともに最前についていただきます!」
「セシルさん達もバロンと戦う理由のある者です。
僕たちにも協力させてください」
ヤンとギルバートが順に言うと、王は真剣な顔をしていった。
「お主等がそこまで言うのならそなたらに賭けてみよう!
娘達は救護の任についてもらうがよいな?」
リリスとローザ様と幼女が頷く。

「セシル、気をつけてね…」
ローザ様が心配そうな顔でセシル隊長に言った。
「君も…それからリディア!ローザを頼む!」
セシルが答えた後、幼女に向けて言った。
幼女の名前はリディアというのか。
というかセシル隊長、幼女に大人を任せるのって普通逆じゃないですかね?




70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:24:25.35ID:AfvvxmAq0
「二人とも、無理をしないでね」
リリスが俺たちに言う。
「俺たちがやられると思うか?」
黒魔が構えながら言うがお前は油断するとやられるだろう。
俺たちはリリスに礼を言ったあと城門でセシル隊長達と合流した。

陣形は
○俺
●黒魔
○セシル隊長
●ギルバート
○ヤン
となった。

ちょうど前衛後衛のバランスが取れていてよかったが
ケアル使いが三人とも行ってしまったのでギルバートの薬さばきに期待したいところ。

「そういえば君達はいったい?」
セシル隊長が俺に訊く。
まあ一般兵士の俺のことをセシル隊長が知っているわけもないか。
俺は簡潔にここに来るまでの過程を話した。
「そうか、共にバロンを救おうとする仲間がいて嬉しいよ」
いやいや、セシル隊長ほどじゃありませんよ。
黒魔はギルバートとなにやら話しているようだ。
作戦会議だろうか。




73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:26:44.72ID:AfvvxmAq0
「来ました!」
門の上で見張りをしている連中が叫ぶ。
ようやくお出ましか。皆で戦闘態勢に入る。
正面から突撃してくるバロン海兵三名。
無表情で突っ込んでくるのを見るにおそらく正体は魔物なんだろう。
セシル隊長の暗黒波動で怯んだ隙に俺とヤンが切り込む。
そして残った一人が黒魔のファイラで焼き尽くされる。
ってあれ、お前ファイラいつの間に覚えていたんだよ。

「赤い翼だーっ!!」
見張りが叫ぶと上空を飛空挺が通り過ぎ大量の爆弾がばらまかれた。
このまま外にいたら吹き飛ばされるのは明白だ。
「城内まで後退する!」
ヤンが叫び俺たちは後ろに下がる。
敵に城の中に侵入され逃げまどう見習いモンク僧が次々と倒れていく。
「すまない!勝ち目のない戦いに!」
ヤンが落ち込みながら言うがセシル隊長が励ます。
見習いを倒したドモボーイやらサハギンやらが俺たちにかかってくるが
これくらいの相手なら敵ではない。
が、物量作戦でこられると持つかどうかわからない。
次々と押し寄せる魔物を順次撃破していくが
味方のモンク僧の数が減ってくるとだんだんと苦しくなってきた。




続きは次のページで
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:28:25.27ID:AfvvxmAq0
「クッ!下がるぞ!」
形成の悪くなった俺たちはまた後ろに下がって体勢を立て直す。
ファイラの使いすぎで黒魔がぜえぜえ言っている。
そういえばさっきからギルバートが全く戦っていないような気がするが
多分気のせいではないだろう。

「この上は王の間じゃ…!?」
セシル隊長が冷や汗をかきながらヤンに訊くが
ヤンは冷静に答える。
「心配めされるな。王や女子供は安全なところに避難している。
我々が敵を引きつけて叩く!」
魔物に囲まれ空爆までされているこの城に安全なところなんてあるのだろうか。
気にはなったがあえて訊かなかった。

「キル!」
バロンの黒魔導師が叫びながら入ってくる。
俺の見知った顔もいたが多分魔物なんだろうなあ。
俺はかつての仲間の顔をした相手に
黒魔が攻撃をためらうんじゃないかと思ったが
むしろ黒魔は本気でブリザドをぶっ放していた。
黒魔、それでいいのか?
「あいつらにはよく虐められていたからな。いい気味だぜ!」
だそうで。元気な奴だ。




76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:31:07.00ID:AfvvxmAq0
どこかに隠れていたギルバートがエーテルを黒魔に差し入れるする。
それよりも俺たちにポーションを…。
と言おうとしたらうなり声をあげて魔物の群が部屋に押し寄せてくる。
回復する暇がない。
俺たちは玉座のところまで下がり扉に鍵をかけた。
ギルバートがそそくさと渡すポーションをグビグビ飲みながら体勢を立て直す。
すると玉座に一人いたモンク僧が鍵を開けようとしていた。
俺はとっさに背後からそいつを突き殺す。

「なにをするんだ!?」
セシル隊長が叫ぶ。
俺はモンク僧の皮をはがし死体を見せる。
こいつはモンク僧に化けていた魔物だった。
まあ、もし本物のモンク僧だったとしても
とち狂って俺たちを危険に晒すようなまねをする奴だ。
生かしていても得はしないだろう。

「魔物の進行は我々の思った以上に早いみたいですな」
ヤンが言うとセシル隊長が考え込んだ後はっと何かに気づいた。
「クリスタルが危ないかもしれない!」
「隊長、ここは俺たちに任せてください!
隊長達はクリスタルを!」
黒魔がセシル隊長に提案する。
出しゃばりやがってと思ったがよく考えると
レベルの高い隊長達がクリスタルの側にいてくれた方が安全だろう。
俺たちは殿(しんがり)を引き受けクリスタルルームに駆け込む隊長達を見送った。




77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:33:48.61ID:AfvvxmAq0
ガンガンと扉がきしみをあげている。
斧か何かで強行突破しようとしているのだろう。
俺たちはここで倒れるかもしれないがセシル隊長達なら…
セシル隊長達なら何とかしてくれる。

扉が耐えきれず壊れ大勢の魔物が押し寄せる。
狭い廊下に固まっているうちに黒魔がファイラをぶっ放す。
その隙に俺は槍を構えながら突進する。
魔物の群は統率を失ったように慌ただしくなった。
このままだといけるかもしれない。
そう思ったときだった。

部屋に黒い鎧を着込んだ大柄の男が入ってきたのだ。
男は明らかに邪悪な気を放っている。
男が手を振りかざすと黒魔に見たこともない規模の特大の雷が落ちる。
まさか、サンダガか!?




続きは次のページで
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:35:41.01ID:AfvvxmAq0
黒こげになった黒魔が崩れ落ちる。
「弱い、弱すぎるな…」
男が静かに言う。
俺はダメもとで男に槍を突き刺すがダメージを与えた気がしなかった。
「小賢しいわッ!」
腕のひと振りで壁まで吹っ飛ばされ叩きつけられる俺。
意識が飛びかけるが気合いで持ちこたえる。

「カイン、クリスタルを奪え」
「はい、ゴルベーザ様」
黒い男が背後にいた竜騎士に命令する。
あの竜騎士はカイン隊長だ。
セシル隊長の側にいないと思ったらバロンに寝返ってしまったのか。
そしてこの黒い男こそが魔物使いゴルベーザなのだろう。

ゴルベーザは魔物使いというよりかはどちらかというと
いろんな職業をマスターして上級職に就けそうなそんな感じがする。
カインがクリスタルルームに入るのを俺は見ることしかできなかった。




79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:38:14.27ID:AfvvxmAq0
ゴルベーザが一歩一歩俺に近づいてくる。
「先ほど私に攻撃を当てたのは褒めてやる。
まだ力はないが、いい腕だ。どうだ、私の元につかないか?
そうすれば命は助けてやってもよいぞ?」
ゴルベーザが俺に交渉を持ちかけるが俺は断った。

まずお前の態度が気に食わない。
そんな高圧的な態度の上司ができるなんてごめんだね。
俺はそう言った後ゴルベーザの放ったせいけんづきを頭に食らった。
俺の記憶はそこで途切れている。




81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:40:12.08ID:ksKlHPbu0
FF4懐かしいなぁ
忘れてたけどレスが進むたびに思い出す




82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:40:24.39ID:AfvvxmAq0
「あ、気がついたみたいだね!」
俺が意識を取り戻すと幼女…たしかリディアだったっけ?
が目覚めた俺の顔を嬉しそうにのぞき込んでいた。

そうだ、あれから俺はどうなったんだ?
黒魔は大丈夫なのだろうか。
「すまない、クリスタルを守ることができなかった。
そして、ローザが…」
セシル隊長が落ち込んだ顔で言う。
リリスが俺にあの後クリスタルルームであったことを説明した。

セシル隊長がカインにやられ、ゴルベーザが現れクリスタルを奪い
そしてローザ様をさらっていったことを…。
黒魔は黒こげになったまま椅子に座ってヤン達と話している。
どうやら幸いにも俺たちに死人はでなかったらしい。
まだ命があるということはまだチャンスがある。
奪われたのなら取り返せばいい。




84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:42:48.22ID:AfvvxmAq0
俺はベッドから飛び起き作戦会議に加わった。
「落ち込んでいても仕方がない。何とかしてローザを取り戻さなければ」
セシル隊長が神妙な面もちで言う。
「ゴルベーザに対抗するためには飛空挺が必要ですね」
黒魔が言う。

確かにゴルベーザは赤い翼を駆り魔物を自在に操っていた。
対抗するにはこちらも何らかの戦力を持つ必要があるだろう。
「でも、飛空挺はバロンでしか作られないんだ」
「どうにかしてバロンに侵入できないものか」
セシルとヤンが考え込む。
そう言えばバロンには陸軍空軍は充実しているが
海軍の人員と装備が不足しているということを思い出した。
以前海軍の知り合いが話していたのだ。
そいつが今生きているかは知らんがな。
俺がそれを言うと、皆の顔が明るくなった。




続きは次のページで
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:44:46.75ID:AfvvxmAq0
「そうか、手薄な海から攻め込めば…!」
「だったら、船がいるわ」
ギルバートが言いかけるとリディアが口を挟んだ。
「ならば明朝、王に頼み船を貸してもらおう。
そなた達の働きでファブールは焼け野原にならずにすんだのだ。
王も協力は惜しまぬはず」
ヤンが提案する。

「じゃあ準備をしなきゃいけないわね。
回復薬を沢山持っておいた方がいいと思うわ」
リリスが言うが、ギルバートが止めた。
「今日はゆっくり休んだ方がいいと思う。
準備なら明日でも遅くはないだろう」
それもそうだな。今日はもう寝よう。
俺たちはぐっすりと眠った。




87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:46:55.47ID:AfvvxmAq0
「おーい!」
「おいていくわよ~!」
俺はどうやら寝坊したらしい。
支度の終わったリリスと黒魔が俺を起こしている。
急いで支度をして案内された船着き場に行くと、
立派な帆船が俺たちを待っていた。
セシル隊長たちはすでに準備が終わったらしく
桟橋ではヤンが奥さんだろうか、中年の女性と親しげに話していた。
俺たちはそんなヤンを尻目に船に乗り込む。
かなり大きく立派な船だ。
これならちょっとやそっとじゃやられないだろう。
搭載兵器にやや難はあるが海戦をするわけではないので十分だ。

セシル隊長おはようございます。
「おはよう。昨日はぐっすり眠れたかい?」
隊長は言った。
ええ、お陰さまで元気百倍ですよ。
「それはよかった。これからとうとうバロンを取り戻しに行くからね。
着くまではのんびりしててくれ」
そう言うと隊長は船長らしき男と会話を始めた。




89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:48:36.33ID:AfvvxmAq0
「あんたがセシルか!活躍はきーてるぜ!
なーにゆっくりしててくれ。
バロンなんざあっと言う間についちまわあ!
よーしさっそく出港だー!
野郎ども、錨を上げろー!」
船長が声高らかに叫ぶ。
「ヒャッホー! 」
ノリの良い船員達が返事をすると準備が整いついに船が動き出した。

「で、バロンについたらどうされるおつもりで?」
ヤンが隊長に聞く。
「まずまず飛空艇技師のシドに会おう。
彼なら飛空艇に精通しているし力になってくれるはずだ」
まあそうなるだろうな。
シドはバロン一の、いや世界一の技術者だ。
ま、無事かどうかは知らないがゴルベーザや偽王がよほど馬鹿じゃない限りは
そういう優秀な人材を殺すようなことはしないだろう。
船の後方では黒魔とリリスとギルバートとリディアがなにやら話しているが
どうせろくな事じゃないだろう。

それにしても一つ気になることがある。
現在のメンツは俺、黒魔、リリス、セシル隊長、ギルバート、ヤン、リディアの計七人だ。
この世界での戦闘は最高5人が推奨されている。
それ以上増やすといろいろと不都合が起こるらしいからだ。
つまり嫌な予感しかしない。




続きは次のページで
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:48:44.58ID:O/yGZmwwO
最近DS版4とディシディアをプレイしたおかげかな
脳内再生が違和感なくできてる




91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:50:36.83ID:AfvvxmAq0
俺の嫌な予感は予想より早く的中した。
船の進行上に現れる巨大な渦。
どうみても自然現象でできる大きさではない。

「あれは!?」
「クラゲだ!」
「機雷だ!」
「いや、リヴァイアサンだー!」

船員たちはノリよくそう言うと緊急体制の準備に入った。
が、リヴァイアサンの巨大な尾が船体に当たり船は大きく揺れた。
「キャアー!!」
船の端にいたリディアが傾いた衝撃て落下した。
それを助けようと続けてヤンが飛び込む。自殺行為だ。
船の傾きは徐々に激しくなってくる。
というかもう立ってられない。
俺たちは為す術無く海に転落しリヴァイアサンの渦に飲み込まれていった。




92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:51:28.20ID:DoAfcC9RO
機雷てwww




93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:53:43.99ID:AfvvxmAq0
ザザーン ザザーン




耳に波の音が聞こえる。
おれは…どうなったんだ?
「おお、この兄ちゃん気がついたぞ!」
聞き慣れない声が聞こえる。
俺は全身の痛みを堪えながら目を開け起きあがる。
小さな漁船の上に俺はいた。

「イヤーびっくりしたよ。
魚捕ってたら人が網に掛かったもんだからね」
正面にいた漁師風の男が行った。
俺は魚と一緒に引き上げられて助かったのか。
そうだ、他に誰か引っかからなかったのか?
「あんたの他には吟遊詩人みたいな兄ちゃんしかかからなかったよ。
もっとも、そっちはすんごい重傷だけどね」
吟遊詩人…ギルバートか。

所でこの船はどこに行ってるんだ?
「トロイアだよ。俺たちは世界中を股に掛ける漁師だからね。
兄ちゃんたちはトロイアに届ける用の魚を捕ってるときに
引きあがったんだ」
トロイアか。結構遠くまで飛ばされたな。




94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:55:18.58ID:AfvvxmAq0
「ほんじゃ、俺たちはこれで」
トロイアまで送り届けられた俺は漁師と分かれた。
彼らは彼らで城に魚を届けた後すぐ別の所に行かなくてはならないらしい。
俺たちがいつまでもお世話になるわけにも行くまい。
俺は未だ意識のないギルバートを背負いながら城へ入る。
そうしたらすぐに城の人がギルバートを担架に乗せ
病棟らしい部屋にかつぎ込んでくれた。

これで大分肩が軽くなった。
長時間絶対安静じゃないといけないらしいので放置決定。
城の中を探索する。
この城は今流行の女尊男卑が横行しているらしく
兵士や家臣などほぼ全員が女だった。
男はと言うと雑用や掃除、牢屋の見回りなどやりたくないことをやらされているらしい。
今俺も地下牢のところに来てみたのだが看守の男がグースカ寝ている。
この国だいぶ平和ボケしてるみたいだな。




続きは次のページで
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)01:57:59.08ID:AfvvxmAq0
「ちょっと、あなたに頼みたいことがあるの!」
いきなり牢屋の中の魔導師っぽい女が俺に話しかけてきた。
牢屋の中にいる奴はろくでなし揃いのはずなのであまり話したくないんだがな。
「私、実は冤罪で牢屋に入れられてしまったの。
犯人を見つけるために手を貸してくれない?
それ相応のお礼はするわ!」
女がそう言ってくる。
それ相応のお礼ねぇ。

なんか嘘をついてるっぽい目ではないし助けてやるか。
俺は寝ている看守からこっそり鍵を拝借し女の牢の扉を開けた。
「ありがとう、これはお礼よ!」
牢から飛び出た女はそう言うなり俺に魔法をかけてきた。
急激な眠気に襲われる俺。これはスリプルだ!
「引っかかった引っかかった!じゃあね~」
薄れゆく意識の中で俺は思った。
目だけでひとを判断するのはやめよう。ぐぅ。




97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:01:46.04ID:AfvvxmAq0
目を覚ますと俺は町の宿屋に寝かされていた。
どうやら牢屋で寝てるところを発見されて運ばれたらしい。
宿屋の親父の話によるとあの女はソーサルレディで
北の方の森で人間を襲うためそのたびに牢屋に入れられては
さっきみたいな手段で脱獄してきたらしい。
次にあの女にあった時にブン殴ってやろうと思いつつ俺は町に出る。
そういえばそろそろ持っている槍がヘタレてきたので買い換えたい。
そう思って武器屋に言ったら弓矢と木槌しかおいてないでやんの。
この世界に槍はこれ以外にあるのか不安になってきた。

バロンに戻るための手段を求めて町の人から話を聞く。
するとどうやら北の森には黒チョコボという空を飛べる貴重なチョコボが生息しているらしい。
それに乗ることができればバロンに戻れるかもしれない。
トロイアは内陸の国なので船が期待できない以上これしか方法はないだろう。
それに北の森ならあの女に会えるかもしれないからな。




98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:04:42.67ID:AfvvxmAq0
町の人から話を聞く過程で俺は興味深いことを聞いた。
この町の酒場に流れ者のクソ強い戦士がいるらしい。
そしてその戦士はなんとバロン出身だという。
もしかしたら同郷のよしみで協力してくれるかもしれない。
俺は早速その戦士がいるという酒場に足を運んだ。

うん、何というか同郷どころかそれ以上の人だった。
実はクソ強い戦士の正体はバロンの近衛兵長ベイガンだったのだ。
話を聞くとベイガンはだいぶ前、王に「お前もそろそろ年だから引退してはどうか。
心配するな代わりの者はいる」みたいなことを言われ、
言われるがままに仕事を辞め
王から直接受け取った退職金で放浪の旅をしていたようだ。
ということは俺が城にいたときのベイガンは偽物ということになる。
本物が帰ってきたときの偽物のあわてた顔が浮かぶ。
俺はベイガンに今のバロンの状況をこと細かく教え、協力してくれるように頼む。
「まさかバロンがそのようなことになっていたとは…。
わかった、私も故郷と忠誠を誓った我が王を救うため今一度バロンに戻ることにしよう」
ベイガンはそう言い了承した。

元近衛兵長ベイガンが仲間になった!




続きは次のページで
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:06:03.14ID:DoAfcC9RO
まさかのベイガンwwwww




101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:06:21.71ID:AfvvxmAq0
俺たちのステータス
おれ Lv13 HP326 MP0
ジョブ:せんし
Eスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム
┏コマンド ┓
┃たたかう┃
┃      ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛

ベイガン Lv32 HP2567 MP67
ジョブ:ホワイトナイト
Eミスリルソード
Eミスリルシールド
Eミスリルアーマー
Eミスリルヘルム
Eミスリルのこて
┏コマン ド┓
┃たたかう┃
┃剣技   ┃
┃白魔法 ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
□雷鳴剣 □ストックブレイク
○ケアルラ ○レイズ ○プロテス




104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:07:50.23ID:cWJZFpjOO
ちょwwwベイガン優秀www




105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:08:06.65ID:cN89gVH90
良い展開だなぁ




106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:08:41.31ID:AfvvxmAq0
ベイガンを仲間に加えた俺は道具屋でポーションやフェニックスの尾を買い込み町から出て北へと向かう。
道中俺が相手をするにはやや強すぎるモンスターが出たが
ベイガンの雷鳴剣やストックブレイクで秒殺されていった。
やっぱ元近衛兵長なだけのことはあってクソ強い。
ただこの二つの技がやたらMPを食うらしくあまり連発してくれないのが癪だが。

「ここから先へは行かせないわ!あ、あなたはあのときの…」
案の定現れたソーサルレディ。あの時の借りを返させてもらおう。
その前に俺は一つ質問をする。なぜ森で人間を襲うんだ?
「どうせあなたたちも黒チョコボを虐めにきたんでしょう?
みんなそうよ、乗るだけならまだしも羽毛をとるとか見せ物にするとか
そんなひどいことばっかり考えてるに決まってるわ!
今までここにきた人間がそうだったように!」
ソーサルレディは凄んだ顔でそう叫ぶ。
あまり信用できない俺の勘だが嘘ではなさそうだ。
俺はただ黒チョコボに乗ってバロンへ行きたいだけだと言っても信用してくれない。
後ろのベイガンも女相手なので手をあげるわけにもいかず困った顔をしている。




107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:10:27.69ID:AfvvxmAq0
「ならねぇちゃんよ、人間がだめなら俺達に渡してくれないかぃい?」
不意に聞こえたひょうきんな声に振り向く俺たち。
一回り大きい紫色のボムのような魔物が六体俺たちを取り囲んでいた。
一匹の手には黒チョコボが締められた鶏のように捕まれている。

「我らはダークエルフ様の忠実な下僕ピュロボロス兄弟!」
「珍しい黒チョコボの肉は絶品だと言うねえ」
「この肉をダークエルフ様に献上すれば我らの株も上がると言うもの」
「人間に渡すのが嫌なら同族の魔物に渡すのが道理だぜねえちゃん」
「ソーサルレディは悪魔に魂を売った魔導師の一族!」
「人間に味方したら一族の笑い者だよ!」
口々に勝手なことを言いげひゃげひゃ笑うピュロボロス達。

こいつらはゴルベーザの手先ではないようだがまあ味方であることは絶対にないだろう。
そのダークエルフがどんな化け物だとしても黒チョコボを渡すわけにいかない。
このソーサルレディのことは知ったこっちゃないが俺たちがバロンに帰れなくなる。
無念のままトロイアに骨を埋めるのはごめんだ。




続きは次のページで
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:12:37.67ID:AfvvxmAq0
「ストックブレイク!!」
勢いよく切り込んだベイガンが黒チョコボを掴んだピュロボロスを真っ二つにする。
離された黒チョコボがソーサルレディにすり寄る。

「おお、末弟がやられてしまったよ!」
「いつものことさあいつは間抜けだからねえ」
ピュロボロス達は一匹やられたにも関わらず余裕綽々だ。
「今日は兄さんにたのむよ!」
「あ~いよ!アレイズ!」
「そしてすかさずエーテル!」

アレイズだと!?
こいつらこんな高度な白魔法を使えるのか!
ベイガンに真っ二つにされたピュロボロスの体が再生し生き返った。
「なんと命の重さを知らぬものよ…!」
ベイガンが悔しそうな顔で言った。




110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:14:43.63ID:AfvvxmAq0
俺とベイガンは先ほどアレイズを唱えたピュロボロスに攻撃を加える。
しかし倒した瞬間別のピュロボロスがアレイズを唱え生き返らせてしまう。
ベイガンのMPも余裕が無くなってきたらしく肩で息をしている。
ベイガンのHPが滅茶苦茶高いから全滅の心配はないが
このままでは勝つこともできないだろう。
せめて魔法を封じることができれば…!

俺はふとソーサルレディの方に目をやる。
彼女は黒チョコボを抱きながらこちらをじっと見つめている。
おい!お前その黒チョコボを助けたいんだろ!
なら俺たちを手伝ってくれ!
「でも、私があなたを手助けしたら私はソーサルレディの爪弾き者になるわ!」
けっ、結局は自分の保身が一番ってことか!
お前のそのチョコボに対する思いはそれくらいだったってことか!!
俺は口汚く罵る。もちろん考えがあってのことだ。
「私は…私は…」
ソーサルレディは涙を流しながら葛藤している。




111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:16:57.05ID:AfvvxmAq0
こいつは何度投獄されても黒チョコボのために脱獄するくらい黒チョコボを大事にしている。
だったら最後に行き着く答えは…。



「サイレス!」

ソーサルレディがピュロボロス全員にサイレスをかけ沈黙状態にする。
「このおんな!裏切ったよお!」
「裏切ったんじゃないわ。私は最初からこの子の味方よ!」
グッジョブだソーサルレディ。
これでピュロボロスどもはもうアレイズが使えないはずだ。

俺とベイガンが力を合わせ一匹ずつ始末していく。
ソーサルレディは俺たちの攻撃にあわせブリザドで援護してくれる。
緑色のローブを着てはいるがジョブは赤魔導師なのかもしれない。
「ダークエルフ様ばんざいっ!」
最後のピュロボロスが自爆攻撃をするが体力が残り少なかったのでさしたるダメージを受けなかった。




113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:20:01.11ID:zHo8o0KAO
あれ?
良スレじゃね?




続きは次のページで
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:20:14.56ID:AfvvxmAq0
戦闘が終わり、ソーサルレディが膝をつく。
「あは、は。
あなたの手助けをした以上、私はもうここにはいられないわね。
これから、どうしようかしら?
トロイアは顔覚えられてるし…」

涙目でうつむく彼女に俺は声をかける。
行くところがないのなら俺たちと一緒に行かないか?
危険な旅だがここにいるよりはましだと思う。
もちろん、その黒チョコボも一緒に。
俺がそういいながら黒チョコボに近づくと黒チョコボは俺に頬ずりを始めた。
羽毛が肌にこすれてくすぐったい。
「不思議ね。この子私以外に懐いたことないのに。
そうね、この子が信用しているのなら私もあなたを信用するわ」
ソーサルレディが笑顔で言った。

というかソーサルレディっていちいち呼ぶの面倒だからレディでいいか?
どこかのアサシンと名前がかぶるが別の世界だしいいだろう。
「それでいいわ、もう私ソーサルレディじゃないもの」
レディが了承する。




115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:22:25.88ID:AfvvxmAq0
「では二人とも、早速バロンに向かいませぬか。
私としては早く陛下のご無事を確認したい」
ベイガンが急かす。
ここでもたもたする意味もないし、そろそろバロンへ行こう!
俺たちは黒チョコボに乗り、空へ飛び立った。

「さっきの戦いで気づいたのだがその槍、かなりくたびれているな」
飛行中、ベイガンが俺に訊いてきた。
買い換えようにも店に置いてないから仕方がない。
「ならばこれをあげよう。以前私がミスリルの町に行ったときに買ったものだ」
ベイガンが差し出す青く光る槍を受け取る。
これはミスリルスピア!
ありがとう。だが、剣を使うベイガンがなぜ槍を?
「物干し竿にちょうどいいと思ってな。わっはっは!」
俺はずっこけて落ちかけた。




122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:44:43.08ID:AfvvxmAq0
俺たちのステータス
へいし Lv13 HP326 MP0
ジョブ:せんし
Eミスリルスピア Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー Eアイアンヘルム
┏コマンド ┓
┃たたかう┃
┃      ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
ベイガン Lv32 HP2567 MP67
ジョブ:ホワイトナイト
Eミスリルソード Eミスリルシールド
Eミスリルアーマー Eミスリルヘルム
Eミスリルのこて
┏コマンド ┓
┃たたかう┃
┃剣技   ┃
┃白魔法 ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
□雷鳴剣 □ストックブレイク
○ケアルラ ○レイズ ○プロテス




123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:48:39.08ID:AfvvxmAq0
レディ Lv12 HP213 MP62
ジョブ:あかまどうし
Eアイスロッド
Eだいちのころも
Eルビーのうでわ

┏コマンド ┓
┃たたかう┃
┃白黒魔 ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
○サイレス
○スロウ
○ヘイスト
○スリプル
●ファイア
●ブリザド
●サンダー
●ポイズン




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126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:51:05.80ID:AfvvxmAq0
意外と早く解けたようなので再開
連投規制にならないようにするにはどうすればいいんだろうか…



黒チョコボに乗ってバロンの領域に入る俺たち。
王様が偽物だと知って逃げ出したのがつい昨日のように感じられる。
黒魔とリリスは無事だろうか。
ひとまずバロンのすぐ西の森に着陸する。
正面突破ができるとはハナから思っていない。
どうやって進入しようか…。
「城の中へこっそり入り込むのなら町の中の古い地下水路が
たしか城の堀につながっていたはずだ」
ベイガンが言う。よし、その方法で行こう。

レディが黒チョコボにここにいるように言い聞かせ
俺たちはバロンの町に入った。
バロンの町には以前のにぎわいが無く静かだった。
ひとまずピュロボロスとの戦いで疲れた体を癒すため宿屋へ向かう。
するとなにやら宿屋の奥の酒場がやけに騒がしい。
このままでは寝れそうにもないので様子を見に行ってみた。
すると騒いでいたのはなんと黒魔とヤンだった。
どうやら二人とも無事だったようだ。




128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:54:15.79ID:AfvvxmAq0
俺は飛び出し二人に話しかける。
「誰だ貴様は?」
冷たく返す黒魔。遭難のショックで記憶を失ってしまったのか?
「そうだ、思い出したぞ。その顔に見覚えがある」
ヤンが言う。こいつは覚えててくれたみたいだ。
と思ったがどうもそういうわけではないらしい。
「この顔、手配書に書いてあった顔だな!!」
二人が襲いかかってくる。
一瞬黒魔が偽物かと思ったがぼろぼろの服は本人の物で間違いない。
二人とも偽王かゴルベーザに操られているのだろう。

「大丈夫か、助太刀するぞ!」
ただならぬ騒がしさに駆けつけたベイガンが叫ぶ。
手加減してやってくれ、こいつらは俺の仲間だ!操られているだけだ!
「ならばみねうちだ!」
ベイガンがヤンと戦闘を始める。




131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:57:10.93ID:AfvvxmAq0
俺は黒魔のファイラを盾で防ぎつつ遅れてやってきたレディにサイレスを唱えるよう指示する。
「ぐっ、小癪な真似をぉ!」
魔法を封じられた黒魔が激昂して殴りかかってくる。
俺は向かってくる黒魔に槍を捨て拳で応戦する。
ジャブやストレートを使い分けお互い体力を削っていく。
黒魔め、あの砂漠以降こっそりパンチの練習してやがったな。
白熱する戦い。そしてついに決着の時がきた。

バキィッ!
勢いよく放たれた双方の拳が交差し鈍い音を立てる。
く、クロスカウンター…!

ダブルノックアウトする俺と黒魔。
ベイガンがかけてくれたケアルラで復活する俺。
レディはボコボコになった俺の顔を見て心配している。
俺はレディに大丈夫であることを伝えるとヤンの方を見た。
ヤンははげ上がった頭に無数のコブをつくって倒れていた。
ベイガンよ、みねうちだからってボコボコにする必要はあったのか?




続きは次のページで
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)02:59:33.32ID:AfvvxmAq0
ひとまず殴られたショックで二人は正気に戻ったらしい。
ボコボコの顔をさすりながらヤンは説明を始めた。

ヤンと黒魔とリリスはバロン近海に流れついたらしく
二人は高い(?)戦闘能力をかわれ操られ、
リリスは魔物故殺されず地下牢にぶち込まれているらしい。
セシル隊長とリディアはまだ行方がわからないらしい。
とりあえず俺は二人にベイガンとレディを紹介し作戦会議を始める。
顔中殴られたアザでひりひりするものの
先ほどのあ○たのジョーを彷彿とさせる俺と黒魔の戦いに感動した宿屋のおやじが
タダで泊めてくれたので部屋でのんびり会議できるのが幸いだ。
「地下水路の入り口は鍵で閉ざされているぞ」
鍵か…鍵がないのなら仕方ないな。
いざとなったら叩き壊して中に入ればいい。
俺たちは宿屋で一休憩してから水路に行くことにした。

よーし!出発だ!




137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:03:34.10ID:AfvvxmAq0
俺たちは地下水路の扉に手をかける。
あれ、既に鍵が壊れている。誰かが先に通ったのだろうか。
地下水路は魔物の巣窟だったがなんてことはない。
レディと黒魔の黒魔法に加え俺、ヤン、ベイガンの三人の攻撃で
サクサクと敵を倒し先へと進むことができた。
だが回復がベイガン任せなので無駄なダメージを受けることは避けたい。
しかし、水路は予想以上に長く、水路を抜ける頃には
俺たちは心(MP)身(HP)ともにかなりボロボロになっていた。
とりあえずセーブポイントっぽいところを見つけたのでテントを張って一晩休むことにした。

アサだー。
と思ったらベイガンがいない。
先に城の中へ入ったのだろうか。
というわけで堀を通り抜けやっとこさバロン城に侵入した俺たち。
城の中は見張り兵士一人おらず閑散としていた。
静かな城の中を歩く四人。
玄関ホールに着くと、向かい側からセシル隊長を連れたベイガンが歩いてきた。
「いきなりいなくなってすまない。
先ほどそこでセシルを見つけたのでな。合流したところだったんだ」
ベイガンが言う。
何か引っかかるところがあるがベイガンの言うことだ。
たぶん間違いはないだろう。
「心配かけてすまなかった。さあともに戦おう!」




139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:06:37.42ID:AfvvxmAq0
俺たちはベイガンたちとともに玉座へ向かおうとした。
すると背後から生意気そうな子供の声が聞こえた。
「ほ~んと、魔物って演技が下手だなぁ」
「せめてすり替わるなら本物を始末してからにするのですわ」
後ろを振り向くと、今喋った子供二人と髭ボーボーのじいさん
それから俺のそばにいるはずのベイガンを連れたイケメンが立っていた。
あのイケメン、いったい誰だろうか。
記憶をたどるがそれらしい人物は思い至らなかった。

「それが私の偽物か。もっと精巧なものだと思っていたがな」
イケメンの方にいるベイガンが言う。
どこに行ってたんだと訊くとトイレに行っていたらしい。紛らわしい奴め。
「暗黒騎士の僕は死んだ!忌々しい偽物よ、正体を現せ!」
イケメンが叫び背負っていた光輝く剣を振りかざすと先ほど合流した二人が苦しみだした。
と思ったらベイガンの方が腕が蛇の怪人に、
セシル隊長の方は恐竜の骸骨になりやがった。
げげっ、こいつら化けた魔物だったのか!
危うく偽物についていってしまうところだったぜ。




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142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:09:56.07ID:AfvvxmAq0
「よくも俺たちの作戦をじゃましてくれたな!」
「せっかくこいつらにもゴルベーザ様の魅力を教えてあげようとしていたのに!」
偽ベイガンと偽セシルもといティラザウルスが叫ぶ。
「さあ来い偽物め!僕が相手だ!」
イケメンが偽ベイガンを挑発する。
二匹とも向こうへ行きそうだったので俺はティラザウルスの方を挑発する。
おまえの相手は俺たちだぜ!
お、いい感じに戦場が二つに分かれた。
そのおかげで思い切り戦えて非常に戦いやすい。

ティラザウルスはなかなかの強敵でかなりのパワーの有る通常攻撃に加え
毒をぶちまけるポイズンブレスやこちらのHPを一桁にするトルネドのせいでかなりの苦戦を強いられる。
しかもやたらとタフらしく殴っても殴っても一向に倒れる気配がない。
それ以前にベイガンが向こう行っちゃったから回復魔法使えるやつがおらず
ポーションの一気飲みを繰り返し回復するしかなかった。
レディのスロウのおかげで敵の攻撃が少しだけ鈍らせられるのが幸いだ。
黒魔は後列からファイラを連射しているが効いている気配がない。
と思ったらティラザウルスが若干ひるんだ。
その後トルネドから通常攻撃の二段コンボで沈む黒魔。
俺は急いで黒魔にフェニックスの尾を投げる。
ん?




143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:12:29.92ID:AfvvxmAq0
俺はふとした思い付きでフェニックスの尾をティラザウルスに投げた。すると
「く、崩れるっ!からだがあああああ!!」
とか叫んだあと跡形もなく消えてしまった。
アンデットにはフェニ尾を使うってのは常識だったがあまりの激しい戦いで忘れていた。

ポーションをガブ飲みしたあと偽ベイガンと戦っているイケメンに加勢することにした。
偽ベイガンはベイガンの偽物だけあってかなり強いようだ。
が、本物のベイガンのストックブレイクで腕を切り落とされた所だった。
と思ったら腕がニョキッと復活した。お前は◯ッコロか。
レディ、支援してやってくれ。
「わかったわ、ヘイスト!」
イケメンたちの体が魔法を受け淡く光る。
「ありがとう、だいぶ楽になった!」
イケメンは礼を言うとヤン、ベイガンと共に偽ベイガン本体に勢い良く斬りかかった。
すかさず俺も後ろから槍を構え突っ込む。
って黒魔なんでお前も素手で参加しているんだよ!?
というわけでイケメン、ヤン、ベイガン、俺、黒魔の5人同時攻撃が炸裂し、偽ベイガンは爆散した。
正直黒魔の攻撃が頭数に入っていたか微妙なところではあるが
俺たちはなんとか勝利することができた。




145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:14:10.58ID:cWJZFpjOO
黒魔漢杉吹いたwww




148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:18:18.86ID:AfvvxmAq0
ところでそこのイケメンは一体誰ですか?
一段落したのでさっきから抱えてた疑問をぶつける。
「ああ、パラディンになって服装が変わったからわからないか。
僕は暗黒騎士だったセシルだよ」
えっ、あの全身黒鎧だったセシル隊長!?
黒魔も驚きを隠せないようだ。俺も驚きだ。
例えて言うならぐるぐるメガネのさえない女子キャラが
メガネ外したらメチャ美少女だったとかそんな感じの驚きだ。
「ああ、そうだよ。
それから僕をもう隊長と呼ばないでくれるかい?
もう僕は暗黒騎士じゃなくなったんだ」
わかった、セシル。
どうして暗黒騎士だったセシルがパラディンになったとかそういうことを訊くのは無粋だろう。
とにかくなるべくしてなったということにして俺は玉座のある方を見る。

どうするかな。あんまり大勢で行くと良くない気がする。
そういえばリリスが牢に捕まっているんだった。
そっちも助けなきゃいけないし…う~む。
「じゃあ二手に分かれればいいんじゃないかな?」
レディが悩んでいる俺の声を聞いて言った。
それもそうだな。現在この場にいるのは
セシル、ガキ二人、爺さん、俺、レディ、黒魔、ベイガン、ヤンの計九人。
玉座制圧メンバーはバロンに関わりの深い者で編成して
他は場内を捜索、牢屋に捕まっている者たちの解放に向かわせるとしよう。




続きは次のページで
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:24:40.66ID:AfvvxmAq0
というわけで二つのパーティに別れた俺たち。
俺たちのパーティは
◯俺
●黒魔
◯セシル
●爺さん
◯ベイガン

救出組は
●ガキ女
◯ヤン
●レディ

●ガキ男

となった。
なぜ爺さんが俺たちのパーティに入ったかと言うと、この爺さんテラとかいう名前の賢者で
バロンのダムシアン襲撃の際にダムシアンにいたひとり娘を殺されたのだそうだ。
一人娘殺されたとあればそりゃあ敵討ちもしたくなるわな。
というわけでレディ達四人に城内は任せ俺たちは玉座へ向かった。
ついにあの亀野郎と対面か。なんだか胸が熱くなる。




151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:27:47.59ID:AfvvxmAq0
俺たちは玉座の扉を開き、王の元へ集う。
「セシル、無事であったか!ずいぶん逞しくなったな」
王は静かに言った。
「ん、ベイガンまでいるのか。まあよい。
セシルよ、その姿はパラディンだな?いかんぞ。パラディンは」
挑発するかのような口調で話すバロン王。
今すぐこいつを切り捨てたいところだが…。
「陛下……いやバロン!」
セシルが叫ぶと、王は怪しく笑い出した。
「バロン? クカカカカ…誰だ、そいつは?
おお、そうか思い出した。
確かこの国は渡さんなどと言っていた愚かな人間か。
そいつになりすましていたんだっけなあ俺は…
ヒャアッヒャッヒャッ!」
ゲスのような笑い声を上げる王に、ベイガンがキレた。
「貴様、陛下を!」
ベイガンが怒鳴る。
だが王は相変わらず笑い続けている。




154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:31:54.31ID:AfvvxmAq0
「会いたいか? 王に会いたいか?
俺はスカルミリョーネのように無様な事はせんぞお。
何しろあいつは四天王になれたのが不思議なくらい
よわっちい奴だったからなあ。ぐへへへへ!」
スカルなんとかとかいう聞いた覚えの無い名前が出てきたが
セシルが反応したのを見るにここに来るまでの間に一頓着あったのだろう。
「と言うことは、貴様も!」
「いかにも!ゴルベーザ四天王水のカイナッツォ!」
王は俺がいつか見た亀の姿になった。
近くで見るとこいつやたらでかいな。

カイナッツォの全体掛けスロウで戦端が開いた!
って初手スロウかよ!?いきなり苦しい戦いになったな。
ヘイストを使えるやつがいない今スロウ状態で戦うしか無い。
と思ったらテラがヘイストを使えたようで、攻めの要とされるセシルとベイガンにかける。
どうせ俺たちゃ戦力外だっつーの。




161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:36:12.37ID:AfvvxmAq0
見かけからして雷が弱点に見えるもののサンダーが効いてる気配はない。
その様子を見てベイガンも雷鳴剣を出し渋っているようだ。
しばらくするとカイナッツォの周りに水が集まりだした。
嫌な予感と思おうとしたらその水が津波となって襲いかかってきた!
なんて技を使うんだこんちくしょう回復が間に合わねーじゃねーか。
セシルとテラとベイガンが回復魔法をかけるものの
全体掛けのせいで効果が薄い。
しかも回復中にまた津波の準備をしだすからたちが悪い。
む、まてよ…水がまわりに集まっていると言うことは…!!
俺は黒魔にサンダーを使うように言った。
「え、でもさっき効かなかったぞ!」
もしもあの水が海水なら効くはずだ!
ダメもとでやってみろ!
黒魔は俺に言われしぶしぶ詠唱に入る。




続きは次のページで
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:40:19.96ID:AfvvxmAq0
なんとか津波攻撃前にサンダーが間に合い、カイナッツォが苦しみだす。
ついでに集めていた水も消えたようだ。
「!! そうか、水を集めている間はサンダーが効くのか!」
セシルもようやく理解したようでテラに指示を出す。
その後、懲りずに水を集めたカイナッツォはテラのサンダガとベイガンの雷鳴剣によりあっけなく絶命した。
弱点をつかみさえすればそれほど強くなかったな。
というか俺役に立たなさすぎだろ。そろそろコマンドアビリティが欲しい。

カイナッツォの死体は水となりそのまま消えていった。
それと同時に背後から誰かの声が聞こえる。
「このー偽バロン王めがあ!」
勢い良く扉をあけて入ってきたのは飛空艇技師のシドだった。
「よくもあんな黴臭い所に閉じ込めおって!
ぶちのめしたるわい! あ、あら?」
ようやく状況を理解したのかシドは振りあげていた木槌を下ろし顔を真赤にした。
残念だがもう終わっちまったよ。




164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:43:48.57ID:AfvvxmAq0
「シド!」
「セシルかあ! 生きとったんか!
心配かけおって、この……!」
シドとセシルが握手をしながら話す。
「いやあ知らんモンク僧やねぇちゃんたちが来たときは
ついに処刑の番が来たと思って冷や冷やしたが
あいつらもお前さんたちの仲間なんじゃろ?」
まあ、セシルと俺のパーティを合わせた即席パーティだが仲間といえば仲間だ。
とりあえずシドさんよ、積もる話はあとにして早速飛空艇を出してくれないか?
「ローザがゴルベーザにさらわれてしまったんだ。早く助けないと!」
「ぬわにぃー!ゴル公めローザにまで手を出しやがって許さんぞい!
ついてこい。飛空艇を発進させるぞ!」
駆け出したシドに俺たちも続く。

次の部屋でシドがドアのところでもたついていた。
「何をやっているんだ?」
黒魔が訊く。
「扉に鍵がかかって開かないんじゃ!
変じゃのう。この扉に鍵なんぞなかったはずじゃが…」




166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:46:30.48ID:AfvvxmAq0
そういうとどこからか死んだはずのカイナッツォの声が響いてきた。
「クカカカ…この俺を倒すとはなあ。
だがおれは寂しがり屋でな。クカカカ……
死してなお凄まじいこの水のカイナッツォの恐ろしさとくと味わいながら死ねえ!
先に地獄で待ってるぞお! ヘェッヘッヘッ!」

声が聞こえなくなるといきなり部屋が揺れだした!
左右の壁がゆっくりとこちらに向かってきている。
「壁が迫ってきているぞ!このままでは潰される!?」
テラが叫ぶが後ろの方でセシルがガチャガチャやっている。
「こっちも開かないぞ!!」
「閉じこめられたんじゃあ!!」
シドが扉を木槌で殴るがやたら丈夫らしくびくともしない。
俺たちは迫ってくる壁を押すが全く効果がないようだ。

「致し方あるまい…。セシル、それから名も知らぬバロンの同志よ。
お前たちとともに戦えて私は楽しかったぞ」
ベイガンが急にしんみりしたことを言い出した。
「ベイガン、何を!?」
驚くセシルを無視してベイガンは扉の前に躍り出て剣を構える。
「クライムハザード!!」




続きは次のページで
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:50:22.07ID:AfvvxmAq0
見たことも無いベイガンの剣技で扉は木っ端微塵に吹き飛ぶ。
と同時に反動でベイガンも逆側に吹っ飛び膝をついて倒れる。
「道は開いたぞ。さあ行け!
ローザを、そしてクリスタルを、世界を守るのだ!」
ベイガンは最後の力を振り絞って後ろから俺たちを押し出す。
最高尾だったセシルが脱出した瞬間、部屋の壁は何かが砕ける音とともに完全に密着した。
ベイガンを中に残したまま。

「ベイガーーーーーーーン!!!!」
セシルが涙を流しながら叫ぶ。
「早まりおって…。死ぬのは最も老いておったワシでよかったというのに!」
つられてテラも目に涙を浮かべながら嘆く。
「あんなに強かった人が…こうも一瞬で…」
黒魔も見た目では分からないが泣いているのだろう。涙声になっている。
「くそう…ワシのせいじゃあ…ワシがもたついてなかったら…」
一番落ち込んでいるのはシドだ。
仕方ない、シドが扉を開けようと試行錯誤している間にかなり壁が迫っていたからな。
俺は涙こそ流さなかったが悔しさで頭がいっぱいだった。




172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:52:02.39ID:cWJZFpjOO
ベイガァァァンッ!!




173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:52:39.08ID:DoAfcC9RO
ベイガン・・・(´;ω;`)




174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:54:07.03ID:AfvvxmAq0
ベイガンは短い間だったものの、ともに戦った仲間だ。
レディと黒チョコボを助けるときも、地下水路を通るときも、偽者と戦ったときも
すべてベイガンがいたから勝てた、やり遂げられることができたんだ。

俺たちの心にぽっかりと穴があいたようだった。
俺はやり場のない怒りをぶつける先を探した。
あった…すべての元凶、ゴルベーザ。
今ここで嘆き続けてもベイガンが帰ってくるわけではない。
ゴルベーザを倒すために今できることをやることがベイガンに対する一番の供養だろう。
牢屋からリリスを助け出して俺たちのところへ来たレディたちが心配そうにこちらを見ている。

「シド、飛空挺に僕らを案内してくれ」
そう言ったのはセシルだった。
「今僕らにできることは、嘆くことでも悲しむことでもない。
戦うことだ。もうこれ以上悲しい思いをしないためにも戦おう。
そして倒そう、ゴルベーザを!」
セシルの言葉で皆立ち直り、悲しみのムードから一転
活力にあふれたムードになった。
「よっしゃ!ワシの自慢の飛空挺であのゴルベーザっちゅうやつを
もみくちゃの、ぎったんぎったんの叩きの開きの刺身にしてやるぞい!」
シドが勢いよく立ち上がり走り出した。
俺たちも立ち上がり後を追う。




続きは次のページで
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)03:59:31.21ID:AfvvxmAq0
シドは城のとある部屋の隅にいた。
「で、どこに飛空挺があるんです?」
黒魔が訊く。
「ここに仕掛けを作っておいたんじゃ!」
シドがそういいながら壁をたたくと、横の壁が動き入り口を作った。
俺たちはシドの案内についていき長い階段を下る。

「これが飛空挺!?でっか~い!!」
「初めて見たわ。これが空を飛ぶなんて信じられない!」
リリスとレディが興奮しながら叫ぶ。
「どうじゃ娘さんがた。ワシのエンタープライズは!
ゴルベーザが所有しとる赤い翼のどの飛空挺よりも高性能じゃぞ!」
シドが興奮しながら操縦間を握り、スイッチを入れる。
すると飛空挺のプロペラが回転しだし、徐々にその速度を上げていく。
そして、わずかな浮遊間を感じた頃には飛空挺は上昇し、バロンの上空でホバリングしていた。

「うわーっ!じいちゃんの船すげーっ!」
「パロム、確かにすごいですけど、こういうときこそ冷静に振舞うものよ」
「ポロム、わかってるよぅ!でも、空飛んでるんだぜ!」
ガキ二人が甲板から身を乗り出して下を見てははしゃいでいる。
「さて、飛空挺を手に入れたはいいもののこれからどうしますかな?」
「ワシに聞かれても知らんわ!そこのジジイに聞くんじゃな」
ヤンに訊かれてテラがシドを指さしながら言う。
「誰がじじいじゃ!こう見えてもワシはまだ現役じゃぞい!」
シドがジジイと言われ怒る。




180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)04:03:19.89ID:AfvvxmAq0
「なあ、これからどうするよ」
黒魔が俺に訊いてきた。どうするってどういうことだ?
「俺たちはバロンを取り戻すために旅をしてたじゃないか。
あの亀を倒したら、俺たちの目的は…」
馬鹿何言ってるんだ。ベイガンの言葉を忘れたか?
ベイガンは俺たちに世界を守れといったんだ。
たとえできることが少ししかなくても世界を守るために俺たちにできることを少しずつやっていく。
それがこれからの目的じゃないか?
「それもそうだな。ゴメン変なこと言って」
黒魔が謝るが、俺は気にするなと言った。

「見て、赤い翼よ!」
レディが叫ぶとシドは顔をにやけさせながら言った。
「早速お出ましか!エンタープライズの威力を見せてやるわ!」
だが向かってくる赤い翼は攻撃をしてくるようには見えなかった。
俺は攻撃の準備をしているシドを止め、セシルに相談した。
「白旗を揚げているな…よし、接触しよう」
赤い翼はエンタープライズに密着し、向こうから板で橋を渡した。
「セシル。生きていたようだな」
赤い翼からカインが歩いてくる。




184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)04:06:28.53ID:AfvvxmAq0
「ローザは無事なんだろうな」
セシルが訊くと、カインはふっと肩をすくめながら言った。
「やはり心配か。安心しろ、我々の手に余るほど元気にしているよ」
そんなことを話すためにわざわざここに来たわけでもあるまいに。
用件をさっさと話したらどうだ?
俺がカインに言うとカインは俺をゴミか何かを見るような目で見ていった。
「それもそうだな。ゴルベーザ様から伝言を預かっている。
『ローザの命が惜しければトロイアの土のクリスタルと引き替えだ』」
「なに!?」
「卑怯な手を!」
カインの伝えた言葉にセシルとテラが怒りの声を上げる。なるほどね。
人質を使って手を汚さずにクリスタルを奪おうという魂胆か。
汚い、さすがゴルベーザ汚い。
「話すことはそれだけだ。
クリスタルを手に入れ次第また来るぞ」
「カイン!」
セシルの声を聞き流し、カインは赤い翼に戻っていった。




続きは次のページで
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)04:09:28.16ID:AfvvxmAq0
赤い翼が去った後、セシルは俯きながら言った。
「シド、トロイアへ向かおう。進路を北西へ…」
シドは黙ったまま操縦間を握るがそれをレディが止めた。
「待って。トロイア地方にこんな大きな飛空挺が着地できるところなんてないわ。
いえ、あったとしてもピタリと着地なんて無理よ」
「詳しいな娘さん。トロイア出身か?
飛空挺で行けなきゃどうやって行けばいいんじゃ?」
レディの言葉にいらついた態度でシドが反論する。
「私の黒チョコボなら広大な森に安全に着陸できる。
私たちがクリスタルをとってくるわ」
私たち…ってのは多分俺と黒魔とリリスだろうなあ。
そんな気はしていた。まあ悪くない考えだ。
「わかった。君たちに任せよう。
その間僕らはゴルベーザを倒すヒントがないか飛空挺で探してみるよ」
セシルはあっさりと了承した。
シドが渋々飛空挺の高度を下げる。

俺と黒魔とリリスとレディが飛空挺から降りると飛空挺は再び上昇し
そのまま北の方向へと飛び去っていった。
バロンの西の森に待っていた黒チョコボはちゃんと言いつけを守っていた。
レディは黒チョコボに黒魔とリリスを紹介する。
「よし、じゃあ俺が一番乗りっ!ぐべっ!?」
黒魔が乗ろうとすると黒チョコボは黒魔を振り落とした。
どうやら乗せたくないらしい。黒魔っていつも損な役回りだよな。
「もう、この人も仲間なんだから嫌がっちゃだめ」
レディが注意すると黒チョコボは渋々と黒魔を乗せた。
俺たちも乗り込み、黒チョコボが飛翔する。
目指すは再びトロイアだ。




210◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:06:28.42ID:AfvvxmAq0
上空から改めて見ると本当にトロイア地方って森ばっかりだな。
確かに飛空挺が着陸できそうな場所はない。
森にだけ着陸できる黒チョコボにとっては全面滑走路のようなものなんだろうがな。
「確かお前はトロイアに流されたんだっけ?」
黒魔が俺に訊く。
ああそうだ。あ、ギルバートにも挨拶しとかなくちゃな。
あれから結構経つし、そろそろ元気になっている頃なんじゃないか。
「ねえ、私一緒にいてもいいのかな?」
レディが心配そうな顔で俺に訊く。
そういえばこいつトロイアで何度も投獄されていたな。
まあトロイアはバロンほど厳しい国じゃないし
俺たちがついているから大丈夫だろう。
「そっか。ありがとう!」
レディに感謝され照れくさくなる。
黒チョコボから降りトロイアに着いた俺たちはまず町に入る。
消費したテントやフェニックスの尾を買うためだ。
あの亀公からぶんどった金が結構あったので財布には余裕がある。
ついでに黒魔に大地の衣を買ってやる。
これでようやく布の服卒業だ。




211◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:12:32.98ID:AfvvxmAq0
「ね、ね、そこの姉ちゃんメンバーズカードはいらないか?」
酒場で一休みしていると怪しげな男がリリスに話しかけてきた。
「メンバーズカード?」
「王様気分が味わえる新サービスのメンバーズカードさ
ここで買っておかなきゃ他では手に入らないよ!」
男が勧めてくるが王様気分ってあれか。
いつのまにか偽物が現れて消されるとか言うんだろう。
「お断りだ、リリス向こうへ行こう」
黒魔が困っているリリスの手を握り外へ出ていく。
男は舌打ちをしてから作り笑いしこっちへ向かってきたが
手元のミスリルスピアをちらっと見せると男は尻尾を巻いて逃げていった。

「二人ともどこへ行ったんだろう?」
レディがあたりをきょろきょろしながら言う。
二人が酒場を出てすぐ追わなかったのは失敗だったな。
どこで油を売っているのやら。
まあ後でまた合流できるだろう。
俺たちは二人で城の方へ向かった。




続きは次のページで
213◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:16:08.98ID:AfvvxmAq0
城に着いた俺たちはまずギルバートが収容されている部屋を訪れた。
相変わらずベッドに寝るばかりの生活のようだがだいぶ元気になったらしい。
最近は調子のいい時を見計らってリハビリに励んでいるようだ。
「ゴメンね…僕にもっと力があれば手伝えるのに…」
俯いた顔でギルバートが言うが俺的にはこいつに手伝ってほしくはない。
こいつが手伝ったとしてフェニックスの尾の消費量が増えるだけだしな。
お前はここで竪琴を奏でてるがいい。
俺は実際にこいつの弾く竪琴の音色を聞いたことがないがな。

そう言うと、ギルバートは俺に草を渡した。
これで夕日に向かって草笛を吹けというのか?
「これ、ひそひ草ね」
レディが言う。知っているのか?
「トロイア地方でとれる不思議な草で
二つの草が一組で生えててその二つは離れていても音を通じさせることができるの」
簡易トランシーバーみたいなものか。
原理は謎だが一応受け取っておこう。
後でセシルたちと合流したときにでもギルバートの元気そうな声を聞かせてやればきっと喜ぶだろう。




215◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:18:59.40ID:AfvvxmAq0
ギルバートの病室を後にし、トロイアの王…もとい神官の元へと向かう。
トロイアの政治体制はよくわからないが王の代わりに複数の神官が国を治めているようだ。
俺たちは神官にクリスタルを貸してもらえないかを訊くと意外な答えが返ってきた。
今クリスタルは俺たちが以前戦ったピュロボロスの崇拝していたダークエルフが持っているらしく
クリスタルの力を悪用して何かやらかそうとしているらしい。
ゴルベーザだけでも大変なのにこれ以上驚異を増やさないでほしい。
どうしてこうも非友好的な魔物は脳足りんばかりなのだろうか。
リリスやレディを見習ってほしい。

クリスタルを取り返してくれれば貸してやってもよいということなので
早速ダークエルフに関する情報を訊いて回る。
トロイアで入手できた情報をまとめるとダークエルフは極度の金属アレルギーらしく
弱点の金属性の武器を使われないように自身の住みかである洞窟を磁力で満たしているのだそうだ。
それ故東にあるダークエルフの住みかは磁力の洞窟と呼ばれているそうだ。
磁力だけだったら金とかの金属なら通れそうな気もするが
多分ご都合主義の不思議な力とやらでそれらも使えないようになっているのだろう。




217◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:22:43.80ID:AfvvxmAq0
ふむ、ピュロボロスみたいな下衆の助に崇拝されるくらいだ。
ダークエルフはかなり手強い魔物に違いない。
それに金属製の武具が使えない状況で勝てるのだろうか。
黒魔とレディの黒魔法に期待したい。
それにしても黒魔たちはどこへ行ったのだろう。
町の中城の中にいないということは…外か?

レディを連れて外に出てみると案の定経験値稼ぎをする黒魔とリリスがいた。
そういうことするなら俺も混ぜろよ。
「え、だって人数増えるほど経験値低くなるじゃないか」
そう言えばそう言うシステムだったな。
仕方がないので俺とレディは黒魔たちと離れてレベル上げをする。
思えばレベル上げをするのもだいぶ久しぶりだ。
まだ未熟だった頃が懐かしい。

日が暮れるまで戦ってかなりレベルをあげた俺たち。
黒魔がラ系全部、リリスがケアルラとレイズを覚えたようだ。
レディはバイオを覚えたようで火力に期待がかかる。
俺たちは宿屋で一泊してからダークエルフを倒しにいくことにした。




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220◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:25:51.49ID:AfvvxmAq0
おれ Lv21 HP827 MP0
ジョブ:せんし
Eミスリルスピア
Eアイアンシールド
Eアイアンアーマー
Eアイアンヘルム
┏コマンド ┓
┃たたかう┃
┃      ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛

レディ Lv19 HP421 MP92
ジョブ:あかまどうし
Eこおりのぼう
Eだいちのころも
Eルビーのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白黒魔 ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
○サイレス ○スロウ
○ヘイスト ○スリプル
○サイトロ
●ファイア ●ブリザド
●サンダー ●ポイズン
●バイオ




221◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:28:07.54ID:AfvvxmAq0
くろま Lv20 HP391 MP102
ジョブ:くろまどうし
Eだいちのころも
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃黒魔法 ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
●ファイア ●サンダー
●ブリザド ●ファイラ
●サンダラ ●ブリザラ

リリス Lv19 HP312 MP92
ジョブ;しろまどうし
Eいやしのつえ
Eだいちのころも
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白魔法 ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
○ケアル ○ケアルラ
○ポイゾナ ○プロテス
○シェル ○レイズ
○エスナ




223◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:31:17.97ID:AfvvxmAq0
陣形
●黒魔

●リリス
○俺
●レディ


黒チョコボに乗って磁力の洞窟へと向かう。
この洞窟空を飛べないと入れないように巧みな地形に囲まれている。
町のど真ん前に拠点を設けるような間抜けなまねをしないあたり
ダークエルフはなかなか賢いのだろう。

洞窟に入ると強力な磁力が襲いかかって俺の体が地面に吸い寄せられる。
他の三人は無事なようだ。俺は戦力外決定だなこりゃ。
牛歩状態の俺に合わせて歩くせいでかなり進みは遅かった。
だがまあ襲いかかってくるモンスターはレディと黒魔の魔法でけちらされ
リリスの安定したケアルラのおかげで特に苦労もなく最深部に到着した。




224◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:34:43.72ID:AfvvxmAq0
最深部のやけに手入れされた部屋に入るとクリスタルの前に
顔色の悪い鬼太郎の出来損ないみたいなのが鎮座していた。
あれがダークエルフなのだろうか。
ダークエルフと思われる出来損ない太郎は磁力に苦しむ俺を見てげひゃひゃと笑った。
「オマエタチヨクココマデキタナ!
ダガタドリツクコトハデキテモツチノクリスタルハモドラナイゾ!」
ダークエルフが挑発する。
「私たちに任せて!」
「ラ系魔法で粉々にしてやる!」
レディと黒魔が言った。
俺は前衛で肉壁としてがんばるかね。

黒魔のサンダラとレディのバイオが炸裂するもダークエルフはけろっとしている。
金属アレルギーな分魔法防御を徹底しているのだろうか。
スロウも効いてなさそうだし、かなり苦しい戦いになりそうだ。
何十分か戦っていたがダークエルフはまだ一回も攻撃していない。
ただ笑い続けるだけだ。ふざけているのか?
「オロカナ ソロソロイクカナ?」
ダークエルフがそう言うとラ系魔法をとんでもないスピードで連射してきた!
怒濤の魔法ラッシュに耐えられず倒れる黒魔たち。
残ったのは動けない代わりにHPが高い俺と防御していたリリスだけだった。
万事休すか!?




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225◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)11:38:18.21ID:AfvvxmAq0
「俺の歌を聴けえええええぇぇぇぇえええ!!!」
不意に俺の懐から流れ出した大音量の音楽にその場にいた全員が驚く。
この声は…ギルバート!?
そうだ、ひそひ草だ。それにしてもあいつマイク持つと性格が変わるのか。
竪琴でどうやって弾いているか不明だがひそひ草から流れる大音量のロック音楽に苦しむダークエルフ。

「ヤメロ!コンナオンガクハフリョウヲウムゾ!」
何十年か前の頭の固い大人みたいなことを言っている。
ふと俺は体が軽くなっていることに気づいた。
音楽がダークエルフの力を封じてるのか?
ともかく俺は立ち上がり倒れたレディと黒魔をフェニックスの尾で復活させる。
そして体制を立て直した俺たちは四人同時にダークエルフを攻撃する!
ファイラ、バイオとヘイストがかかった俺の槍の一突きでダークエルフは苦しみもがきだした。
やったか!?

いや、ダークエルフの姿が変わっていく!?
なんとダークエルフは黒いダークドラゴンに変身した。
魔物って変身好きだな。
ダークドラゴンは高い攻撃力を持っていたものの万全の体制の俺たちにかなわず
変身からわずか数分で沈んでいった。
あっけなさ過ぎだろ。エルフ状態の方が強かった印象がある。




230◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:08:59.08ID:AfvvxmAq0
クリスタルを持って洞窟を出て、黒チョコボに乗って飛空挺を探す。
う~ん、これは探すよりも迎えを待った方がいいんじゃないか?
俺たちは一路トロイアへ引き返した。
トロイア城でまずは戦果報告をする。
クリスタルのレンタル料一週間レンタルで一万ギルだそうだ。
延滞料金は四千ギル/日。ぼったくりなのかどうか基準がないのでわからない。
ギルバートにも報告をする。
一応ダークエルフにはこいつのおかげで勝てたようなもんだしな。
「しばらく歌ってなかったカラオケの持ち曲の練習が役に立つとは思わなかったよ」
カラオケの練習だったのか。突っ込む気も失せるな。

日が暮れても迎えは来なかった。
仕方がないので一泊することにした。
俺たちは宿屋にチェックインする。
戦いで疲れた体をベッドに投げ出しそのまま眠りにつく。




231◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:11:43.60ID:AfvvxmAq0
俺が目を覚ますとまだ暗い夜中だった。
ありゃ、寝るの早すぎたか?
辺りを見回すとレディの姿が見えない。
あいつも目が覚めて散歩にでも行ったのだろうか。
俺は黒魔たちを起こさないようにそーっと外へ出た。

町の中の小さな湖の畔で黒チョコボと一緒にレディは座っていた。
「あら、あなたも起きたの?」
ああ、眠れなかったのか?
「ううん、なんだか急に夜空が見たくなってね」
夜空か。俺はレディの隣に座り空を見上げる。
一面に広がる黒に浮かぶ無数の星と、二つの月。
そういえば最近はずっと戦闘続きで、ゆっくり夜空を見上げる暇すらなかったな。
「どうして魔物と人は争い合うのかしら…?
あなたと私みたいに、わかり合うこともできるのに…」
一説によれば魔物が現れた時期とバロンがおかしくなり始めた時期はほとんど同じ頃だったと思う。
もしかしたらゴルベーザを倒せば暴れている魔物たちもおとなしくなってわかりあえるかもしれないな。
「そっか、じゃあ絶対にゴルベーザを倒さないといけないわね」
ああ、そのためにこうして今日もクリスタルのために戦ったんだ。




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232◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:14:26.23ID:AfvvxmAq0
「あの二つの月って離ればなれでしょ?
あれ、今の魔物と人の関係みたいじゃない?
あの月が一つになったときにわかりあえる。そんな気がするの」
それはロマンチックな話だな。俺にはロマンとかよくわからないが。
ふぁ~あ、のんびりしてたらまた眠くなってきた。
そろそろ部屋に戻ろうぜ。
「そうね、この子を町の外に待たせたら部屋へ戻るわ」
俺はレディに手を振り、宿屋へ戻った。
魔物と人の共存ねえ。
俺はできなくはないと思っている。
現にこうしてリリスとレディが俺たちとともに戦ってくれているしな。
さて、明日には迎えが来るといいなあ。
俺はそう思いながら再び眠りについた。

翌日、朝一で迎えにきたエンタープライズに乗り込むと
出待ちしていたかのようなタイミングで赤い翼がやってきた。
再び二つの飛空挺がつながれカインが用件を伝えにくる。




234◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:19:17.40ID:AfvvxmAq0
「クリスタルは手に入れたようだな。
これからローザのところに案内してやろう。
セシル、クリスタルを持って赤い翼に乗れ。
連れは三人まで許してやろう」
「人数まで指定してくるとは、なにを考えておるんじゃろうか」
シドが不満げに言うとテラが答えた。
「あまり大人数で攻められると都合が悪いんじゃろう」
「あんちゃん、誰を連れていくんだい?」
パロムだっけ。生意気なガキがセシルに訊く。
セシルはしばらく考えてから、答えを出した。
「テラとヤン、それからシドも来てくれ」
「えーっ!あんちゃん俺も連れていってくれよう!」
「こらパロム、ワガママを言うんじゃないの!」
パロムがブーたれたところをポロムが叱る。
「いいか、これからの戦いは本気で命に関わる危険な戦いになる。
まだ幼い君たちをそんな危険にさらすわけにはいかないんだ」
セシルに諭され黙るパロム。
不満はあるだろうが納得したようだ。
「それに君たちはクリスタルを手に入れるために苦労したみたいだし
あまり苦労はさせたくないんだ。わかってくれ」
セシルは俺たちに言った。
別に俺たちは選んでくれなかったことに不満はない。
俺たちは赤い翼に乗り込む四人を見送った後話し合いを始めた。




237◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:29:12.85ID:AfvvxmAq0
さて、どうする?指をくわえて待ってるわけにもいかないだろう。
「私、確実に罠だと思うのよ」
リリスが言った。どういうことだ?
「場所に案内するだけなら前を飛んでくれるだけでいいじゃない。
なのに、人数指定して自分の飛空挺に乗せるなんて怪しいってことでしょ?」
レディが補足する。なるほど、そういうわけか。
「じゃあこっそり追いかけようぜ」
「馬鹿ね、バレるに決まってるでしょう?」
パロムとポロムが言い合う。
すると黒魔が首を振りながら言った。
「いや、案外悪くない案かもしれない。
昔赤い翼所属のダチに聞いた話だが赤い翼は対空中用の策敵能力は低いらしいんだ。
バロン以外に航空勢力を持つ国はいないからな。
だから、十分離れて追いかければどこへ行くかわかるかも」
なるほど、そうしようか。でも誰が操縦管を握るんだ?
「俺がやる、やり方はわからないがシドのことだ
そこまで複雑にはしてないだろう」
不安だが黒魔に任せることにした。
俺たちはぎりぎり見失わない程度に距離をとって赤い翼の追跡を始めた。




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239◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:34:57.57ID:AfvvxmAq0
赤い翼はぐんぐん高度を上げていく。
いったいどこへ行くのだろうか。
しばらくすると雲の中から塔が現れた。
「すげーっ!あの塔宙に浮いてるぜ!」
「不思議ですわね。どういう原理で飛んでいるんでしょう?」
パロムポロムコンビが目を見開いて驚いている。
「聞いたことがあるわ。空を飛べるものだけが入れるゾットの塔!」
レディがそう言うと黒魔が叫んだ。
「赤い翼が塔の中へ入っていったぞ。どうする、俺たちも入るか?」
いや、同じ所から入るのはさすがにまずいだろう。
向こうはローザ様という人質を抱えているんだ。
…そうだ、上から進入しよう。
うまくいけば不意をつくことができるかもしれない。
「了解、塔の最上階を目指すぜ」
黒魔が操縦管を引くとエンタープライズは高度を上げ始めた。

もうすぐ最上階だと言うところで甲板に何かが落ちたような衝撃を受けた。
急いで衝撃の方に駆けつけると黄色いドラゴンが甲板に乗っていた。
「我が名はウィンドドラゴン。
四天王の一角バルバリシア様の命を受け邪魔者を始末しに来た!」
やはりだが、読まれていたのか。
俺、レディ、リリス、パロム、ポロムが戦闘態勢に入る。
げっ前衛ジョブ俺だけかよ!!




242◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:41:15.73ID:AfvvxmAq0
ウィンドドラゴンが口から真空刃を吐き出す。
リリスがとっさに唱えたシェルのおかげでダメージは押さえられたが
長期戦になると不利だ。速攻で終わらせてやる!

ヘイストにより加速した俺が槍を構えたまま突進する。
が、気づかれたのかウィンドドラゴンは俺めがけてエアロガをぶっ放してきた。
しまった、この速度じゃよけられない!
「あんちゃん危ない!!」
パロムの声とともに放たれたブリザガがエアロガを打ち消す。
そのおかげで俺はダメージを受けずにウィンドドラゴンに一撃を与えることができた。
パロム、今のブリザガはお前のか?
「修行の甲斐があったってもんだぜ!」
「あなたたちがトロイアにいっている間、故郷ミシディアで修行を積んできましたの!」
「ひどい圧縮学習だったけどな!」
パロムとポロムが説明する。
短期間でガ系魔法か。黒魔にやらせたらどうなるだろうか。

「生意気な奴らだ。ぬん!」
ウィンドドラゴンがそう叫ぶと肉体が分解し雲散した。
「グハハハハ!我が肉体は風でできているのだ!
そんな攻撃痛くも痒くもないわ!」
雲散したウィンドドラゴンのパーツからトルネドが放たれる。
避けようにも全方向からの攻撃だ。いたずらに体力を奪われる。
リリスとポロムのケラルラ、ケアルガで持ち直すものの何度もこれをやられると辛いものがある。




244◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:45:58.67ID:AfvvxmAq0
パーツが一カ所に集まり再びウィンドドラゴンの姿に戻る。
いったいどうすればいいんだ?
「ポロムちゃん、今の見たよね?」
「ええ、見えました」
後方でレディとポロムが何やら話している。
いったいなにが見えたというんだ?
「ウィンドドラゴンが元の姿に戻るとき赤い風にパーツが集まったの。
たぶんその赤いのが弱点なのかもしれない」
核ってやつか。確かに風の肉体なんて放っておけばバラバラになるだろう。
それを制御するコアが必ずあるはずだ。それを叩くことができれば!

ウィンドドラゴンが鎌首をもたげてエアロガを放つ。
二度同じ手は食らわない。俺はひらりと交わす。
こいつはある程度ダメージを受けると雲散するようだ。
となるとまずは大きなダメージを与えなければ。
隙をうかがっては突くことを繰り返しているがどうも効いている気配はない。
おかしいな。最初は効いてた気がしたんだが。
「最初の勢いはどうした!」
ウィンドドラゴンが叫びながら真空刃を放つ。
勢い、そうか!
最初の一撃はヘイスト状態でかなりのスピードだった。
その勢いで起こった風がウィンドドラゴンの体と混じり合い拒否反応のようなことになったのだろう。
いいことを思いついた。俺はパロムにファイガを撃つように指示する。
パロムの方も何か考えがあるのだと悟って黙って詠唱を始めてくれた。
俺はその間ポーションで少しでも回復する。




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245◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:49:21.03ID:AfvvxmAq0
「あんちゃん!いくぜ!」
後方のパロムの声に合わせてウィンドドラゴンから離れる。
すると高熱の火球がウィンドドラゴンをすり抜けていった。
「効いてないみたいよ!」
リリスが焦った声で言うが落ち着け。ちゃんと効いている。
最初の一撃を与えたのと同じようにウィンドドラゴンが雲散する。
風を起こすのに何も俺が突っ込む必要はない。
強力な火炎は風を起こすのだ。
「何度やっても同じだ!死ねぃ!」
ウィンドドラゴンがトルネドをぶっ放してくるが俺はレディにスロウを指示する。
いくら風になったとしても全体掛けからは逃げられまい。
ねらい通りウィンドドラゴンの黄色く透き通ったパーツの動きが目視できるほどに遅くなった。
俺は急いで辺りを見回しコアを探す。あった。俺の真上だ!
俺は飛び上がり赤い風に槍を勢いよく投げつける。
グブッという鈍い音を立ててパーツが崩壊し始める。
「ググッ!まさか人間どもにしてやられるとは…ゲババボッ!」
赤い風が爆発を起こし消滅する。どうやら勝てたようだ。

「やったな!だがどうやって侵入する?」
操縦管を握った黒魔が俺たちに訊く。
塔の外周に入れそうな所はないな。だったらどうにかして壁を破壊すれば…。




246◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)12:56:14.35ID:AfvvxmAq0
「あんちゃん!あれっ!」
パロムが空を指さして叫ぶ。
指さした方を見ると巨大な隕石群が塔に向かって落ちてきていた。
ガクンとエンタープライズが傾き隕石を回避する。
「今のは何!?」
「まさか…メテオ!!」
ポロムが冷や汗を流しながら言う。
メテオ?一体何のことだ?
俺が訊くとパロムが答える。
「テラのじーちゃんが試練の山で覚えた古代の魔法だよ!
まさか、テラのじーちゃんゴルベーザにメテオを!?」
何だ、何かやばいことがあるのか?
「テラのじーちゃんのMPはメテオを使うのに足りないんだ。
MPが足りない状態で無理に魔法を使えば命を落とすかもしれない!!」
LPを消費すると言うことか。

メテオが塔に直撃し、塔の外壁に巨大な穴が空く。
あそこからなら入れそうだな。黒魔、接近してくれ。
俺はロープを使って塔の中に侵入する。




249◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:08:31.98ID:AfvvxmAq0
そこにはギロチンの下に縛られたローザ様の姿があった。
俺は急いでローザ様を縛るロープを槍で切断しギロチンから離れさせる。
その瞬間勢いよくギロチンが落ちる。ぎりぎりセーフだ。
「ローザ!!」
セシルたちが入ってくるが、その中にテラの姿はなかった。
やはりメテオを使って死んでしまったのだろうか。
「セシル、彼が助けてくれたの。危ないところだったわ」
ローザ様がそう言いセシルに抱きつく。
おーおーお熱いねえ。
「そのままハッピーエンドで終わると思ったかい?」
どこからか女の声が聞こえたと思ったら俺たちの目の前にビキニ姿の女が現れた。
「あたしはゴルベーザ四天王の一角、風のバルバリシア!
よくもゴルベーザ様に恥をかかせてくれたねえ。
このままじゃ逃がさないよ!」
女が名乗る。こいつがバルバリシアか。
「シドとヤンはローザをつれて飛空挺へ!こいつは僕が倒す!」
セシルが剣を構えながら指示する。
そういえばカインがセシルの側についているな。
洗脳がとけたのだろうか。
「あんちゃんたち!手伝うぜ!」
「私たちもお手伝いしますわ!」
パロムとポロムが飛空挺から降りてくる。
俺たちは陣形を整えバルバリシアとの戦闘を始めた。

陣形
○カイン
●パロム
○セシル
●ポロム
○俺




続きは次のページで
251◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:15:42.09ID:AfvvxmAq0
バルバリシアは風という二つ名の通り風を利用する攻撃を仕掛けてきた。
トルネドにエアロガ、それからかまいたちを惜しげもなく連射してくる。
ダメージを受けては逐次ポロムとセシルの魔法で回復するがそれでもかなり痛い。
パロムがパワー全開のサンダガをぶっ放す。
「ガキかと思えば…やるようだね!お返しだよ!」
バルバリシアが両手を降りあげると無数の稲妻が俺たちに降り注ぐ。
かなりのダメージだ。パロムとポロムがやられてしまった。
その隙にバルバリシアは竜巻を身にまとい上昇した。
あの位置じゃあまともに攻撃が当てられない。
上空から爆撃するかのごとくエアロガを乱射するバルバリシア。
一体どうすればいいんだ?
「そこのお前、槍を持っているならこいつを使え!」
カインが俺に靴のようなものを投げ渡す。
「それは竜騎士が修行に使う靴だ。そいつでジャンプしてあいつを落とすぞ!」
俺に竜騎士になれと言うのか。
俺は急いで靴を身につける。体が軽い。
「空中戦はお前だけのものじゃないぜ!」
カインが高く飛び上がる。俺もそれにあわせてジャンプする。




253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)13:18:26.05ID:kfKmHGvr0
竜騎士転職www




254◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:19:40.11ID:AfvvxmAq0
自分でも驚くほど高く飛び上がり、バルバリシアよりも高いところまで飛べt、天井に頭をぶつけた。
カインは器用に天井を蹴りつけ加速しバルバリシアを上空から強襲する。
そのショックでバルバリシアが落下し、カインは着地する。
完全に俺は置いていかれた。現在自由落下中。
地上でレイズを唱えパロムとポロムを復活させたセシルは落ちてきたバルバリシアを切りつける。
これにはかなり参ったようでバルバリシアは再び竜巻をまとい上昇しようとした。
位置的にちょうどいいな。俺は空中で姿勢を整え槍を構える。
上昇しようとしたバルバリシアを自由落下した俺の槍が貫く。
と同時にパロムのブリザガがバルバリシアにとどめを刺した。
バルバリシアは断末魔の悲鳴を上げ消滅した。
一つわかったことがある。俺に竜騎士は無理だ。
バルバリシアが消えたとたん塔が崩壊を始める。
俺たちは落ち着いてロープを使いエンタープライズに戻り塔を後にする。

脱出に成功した俺たちはひとまずバロンに戻ることにした。
バロン城は相変わらず静まり返ってはいたがカイナッツォを倒したからか邪気はなくなっていた。
セシルの部屋に集結する俺たち。




256◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:25:04.58ID:AfvvxmAq0
するとカインが話を切りだした。
「皆にクリスタルについて話しておかなければならないことがある」
「トロイアから借りてきてもらったクリスタルは奪われてしまった。
これでゴルベーザの手にすべてのクリスタルが揃ったことになる…」
セシルが顔を俯けて言う。
ゴルベーザはまだ生きているのか。
「クリスタルは全部で四つではない!」
「な、なんだってー!!」
カインが叫ぶと黒魔が驚きの声を上げる。
「そういえば、聞いたことがあるわ」
リリスが話を始めた。
「この世界に光と闇があるように、クリスタルにも光と闇がある…。
ゴルベーザが手に入れた四つのクリスタルは光のクリスタル…」
「ということは後闇のクリスタルがあるわけね」
レディが補足する。
「その闇のクリスタルはどこにあるんじゃ?」
シドの質問に黙り込むリリス。
たぶん存在は知っているが場所は知らないのだろう。
「闇のクリスタルは地底世界にある。
ゴルベーザもそこへ向かったはずだ」
地底世界、そういうのもあるのか!




続きは次のページで
257◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:30:17.05ID:AfvvxmAq0
「じゃあみんなでスコップで掘り起こそうぜ!」
「バカね、そこまで地底が浅いならとっくに見つかってますわ」
双子の漫才を聞き流し、話を続ける。
「ゴルベーザは8つのクリスタルを集めれば月への道が開かれると言っていた。
その意味は分からないが、これが地底への鍵らしい」
カインが赤く光る石を取り出す。
「これをどこかで使うと地底への道が開かれるらしい」
「どこか?」
「どこに?」
ヤンとローザが首を傾げながらカインに聞くがカインは首を横に振った。
「何考えこんどるんじゃ!どこかわからないなら虱潰しに探せばいいじゃろう!
こっちにはエンタープライズがあるんじゃぞ!
世界なんてあっと言うまに一周じゃい!」
シドが明るい声で叫ぶと、皆は顔を上げた。
「よし、明日から地底の入り口を探そう。
みんな、いいね?」
セシルの問いに皆頷く。
が、一人カインだけが口を開いた。
「ここらか先はさらに戦闘も激しくなるだろう。
今のおまえたちの実力ではついてこられるとはとうてい思えない」
おまえたち、というのは明らかに俺たちだな。
確かに、俺たちはこのメンバーの中で弱い方だ。
俺なんてコマンドアビリティさえない。




260◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:35:25.23ID:AfvvxmAq0
「そうだ、君たち試練の山に向かってはどうだい?」
セシルが提案する。試練の山ってテラがメテオを覚えたところだっけ。
「試練の山で僕はパラディンになった。
君たちももしかしたら強くなれるかもしれない」
成る程、ジョブチェンジができれば現在の状況も改善できるかもしれない。
「それから、パロムとポロム。君たちはミシディアに帰るんだ」
「どうしてだよあんちゃん!」
「私たちが足手まといというのですか?」
セシルの言葉に反論する二人。
二人にセシルはまじめな顔で言う。
「ここから先は本当に危険なんだ。
僕たちでさえも命を落とすかもしれない。
もしも僕らが全滅してしまえばゴルベーザを止めるものはいなくなってしまう。
だが君たちだけでも生きていれば希望が残るんだ。いいね?」
つまり言わんとしていることは保険だな。賢明な判断だ。
二人は渋々了承した。




261◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:41:44.08ID:AfvvxmAq0
翌日、俺たちはパロムポロムと共にミシディアに降り立った。
俺たちが試練の山にいく間セシルたちは地底への道を見つけるのだそうだ。
俺は降りる前に借りていた竜騎士の靴をカインに返す。
「フム、槍の扱いがうまいからもしやと思ったが俺の見込み違いだったようだな」
カインが残念そうな顔で言う。
俺が槍を使う理由はただ最初に手元にあった武器が槍だったからだ。
竜騎士とかにはハナから向いていないんだ。

パロムとポロムを送るついでにミシディアの長老に挨拶をする。
ついでに試練の山で本当に力を得ることができるかを確認しておこう。
「ふむ、試練の山には不思議な逸話が多くあってな
その一つに幻獣神バハムートの話がある」
たいそうな称号を持った奴だな。
で、どんな逸話なんだ?
「人の素質を引き延ばすジョブの力を与えるという話じゃ。
じゃが力を与えるには試練を突破する必要があると言われておる。
その試練が何なのかまではワシも知らん。
自分の目で見てくるのじゃ」
長老は深く一礼すると祈りの塔へと去っていった。
「じゃああんちゃんたち、しっかり頑張ってこいよ!」
「私たちは皆さんの勝利を長老と共に祈りますわ」
パロムとポロムはそう言って長老の後を追った。
俺たちは黒チョコボに乗って一路試練の山へ向かった。




続きは次のページで
263◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:47:35.13ID:AfvvxmAq0
試練の山はかなり険しい山だった。
凶悪なアンデットモンスターが群で襲いかかってくる。
リリスの回復魔法が地味に効いて便利だ。
そう言えばこの山ってリリスの故郷だったっけか。
どうだ故郷に帰ってみた感想は。
「私がいたときとだいぶ顔ぶれが違うから何ともいえないわね」
顔ぶれが違う?どういうことだろう。
当時と今とでは出てくる魔物が違うと言うことか?
だとしたらなぜ違うのだろうか。謎はつきない。
元々体力のない黒魔がヘバってきたようだがレディに喝をいれられながらヒイヒイついてきている。
山頂にあがったら少し休憩してやらないとな。

山頂の祠のようなところにやってきた俺たち。
直前の吊り橋で急に現れた敵にバックアタックされるというベタな展開もなくてよかった。
一休憩挟んで中に入る。
祠の中は鏡張りの部屋だった。が、ほかには何も見あたらなかった。
あの長老、デマ教えたんじゃないだろうな。




265◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:51:51.00ID:AfvvxmAq0
俺がそう疑いかけてると不意に威厳のある声が聞こえてきた。
「我が名は幻獣神バハムート。
人間がここにやってくるのは久しいことだ。
この前クルーヤの息子が来てパラディンになった時以来だな」
なんたらの息子云々は多分セシルのことを言っているのだろう。
それよりも俺はそのバハムートがどこにいるのかが気になった。
この声も聞こえると言うよりは直接脳に伝わってくる感じだ。
「私自身は月にいる。
だが月からでもそなたらに力を与えることはできるぞ。
さらなる力を欲するときは直接私の元を訪ねるとよいだろう」
どうやって月にいくのかというのは気にしてはだめだろう。
「ふむ、ここに来たということは力を求めておるのだろう。
求めるのなら受け取るがよい。己の真の力を」
バハムートがそう言うと、俺たちの体を淡い光が包み込んだ。
体中に力がみなぎってくる。これがジョブの力なのだろうか。
光が消え、お互いの姿がはっきりと見えるようになる。




268◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)13:58:49.73ID:AfvvxmAq0
黒魔はあまり見た目に変化はないが爪を装備できるようになったようだ。
密かなパンチの特訓でモンクとしての才能が生まれたのかもしれない。
リリスはかわいらしい猫耳フードをつけた姿となった。
本人は耳をフリフリして喜んでいる。
レディは緑色のローブの似合う姿だ。
派手すぎない飾りのついた服のせいか美人に見える。
俺はレディにどんな姿になったかを訊いた。
「えーっとねぇ、兜がサークレットになって鎧がかっこよくなったかな?」
頭を触ってみると確かに兜が無くなっていた。
だが代わりのサークレットは兜以上の防御力がありそうだ。
転職のせいでレベルが1になるということもないようで何より。
セシルの時は特殊だったからレベル1に戻ったのだそうな。
とりあえず俺はHPが四桁いったのがこの上なくうれしい




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270◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:03:18.16ID:AfvvxmAq0
おれ Lv24 HP1004 MP0
ジョブ:ナイト
Eミスリルスピア
Eミスリルシールド
Eミスリルアーマー
Eサークレット
Eガントレット
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃まもる ┃
┃かばう ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
レディ Lv23 HP498 MP142
ジョブ:しょうかんし
Eミスリルのつえ
Eしさいのローブ
Eさんかくぼうし
Eルビーのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃召還  ┃
┃白黒魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○サイレス ○スロウ ○ヘイスト ○スリプル
○サイトロ ○リフレク ○ブリンク ○レビテト
●ファイア ●ブリザド ●サンダー ●ポイズン
●バイオ  ●ポーキー ●トード  ●ブレイク
●アスピル




272◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:06:56.82ID:AfvvxmAq0
くろま Lv24 HP792 MP122
ジョブ:くろまとうし(黒魔闘士)
Eほのおのつめ
Eこおりのつめ
Eけんぽうぎ
Eさんかくぼうし
Eぎんのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃黒魔法 ┃
┃チャクラ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
●ファイア ●サンダー ●ブリザド ●ファイラ
●サンダラ ●ブリザラ ●バイオ  ●ファイガ
リリス Lv23 HP551 MP177
ジョブ;どうし
Eリリスのロッド
Eしさいのローブ
Eねこみみフード
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白魔法 ┃
┃いのる ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○ケアル  ○ケアルラ ○ケアルダ ○ポイゾナ
○プロテス ○シェル ○レイズ  ○エスナ
○スロウ  ○ヘイスト ○ライブラ




275◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:12:52.68ID:AfvvxmAq0
予想以上のパワーアップぶりにかえって不安を抱く俺。
ただモンスター倒して山のぼるだけでこんなにしてくれるわけがない。
「左様、よくわかっておるようだな」
俺の心を見透かしたかのごとくバハムートが語り出す。
「力とは善にも悪にもなりえるものだ。
だが、力に溺れるものは必ず破滅する。
お前たちがその力を使いこなせるかどうか今から試してやろう」
やはりな、こんなに簡単にすむとは思っていない。
どんな試練だろうが突破してやる。
じゃないとセシルたちに合わせる顔がない。
鏡の奥から醜悪な魔物が現れる。
伝説の魔獣ベヒーモスに似た姿の魔物だ。
「この幻獣クーザーを倒すことができねばジョブの力を使いこなすことなどできんぞ!」
バハムートの叫びと共にクーザーが吠え、襲いかかってきた。




276◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:17:08.45ID:AfvvxmAq0
クーザーの素早い攻撃にとっさに身を守る俺。
防御中に受ける攻撃が以前よりぜんぜん痛くない。
これがジョブの力なのだろうか。
後方から黒魔のファイガが飛んでき、クーザーを押し返す。
「ようやく俺の密かな特訓が実を結ぶときが来たぜ!」
腕を交差して突っ込む黒魔。
二つの爪を巧みに使いクーザーにダメージを与える。
が、クーザーのカウンターで弾きとばされてしまった。
まったく、慣れないことをするから。

「黒魔、しっかり!ケアルダ!」
黒魔が受けたダメージを即座にリリスが回復する。
黒魔の受けた800近いダメージが一瞬で治癒する。
再び突進体制に入ったクーザーの動きが緩慢になる。
「いい調子よ!スロウをかけておいたわ!」
レディがやってくれたみたいだ。
俺は動きの遅くなったクーザーの攻撃をひらりと交わし側面から槍で攻撃をする。
以前の俺よりも明らかに力を入れて攻撃ができるようになっている。
自分でも槍の動きが違うのがわかる。

クーザーが魔法の詠唱を始める。
するとすかさずレディが俺たち全員にリフレクをかけてくれた。
そのおかげでクーザーの放ったブリザガは放ったクーザー自身が受けることとなった。
「こんなのはどうかしら?バイオ!」
レディがリフレク状態の俺たち全員にバイオを放つ。
リフレクに反射された四つのバイオがクーザーを蝕む。
そこにすかさず入る黒魔の爪攻撃と俺の槍攻撃。
クーザーは大ダメージを受け後ろへ下がった。
もう戦闘の意志はないようだ。俺は三人を制止させる。




続きは次のページで
277◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:21:35.85ID:AfvvxmAq0
「うむ、コンビネーション、仲間との信頼、見事だ!」
バハムートが嬉しそうな声で叫ぶ。
「それに戦闘の意志の無くなった敵に攻撃を加えないのも良い。
試練は合格だ!」
俺たちは合格宣言を受け大きく息を吐いて座り込む。
なんか戦いの疲れがどっと出たようだ。
「ふむ、召還士となった娘よ、このクーザーを召還獣として使っても良いぞ」
バハムートがレディに言った。
これでレディの火力アップが期待できる。
機会があったら月の本体に直接会いに来てくれという
バハムートの言葉を聞き流しながら俺たちは祠を出た。

これほどのパワーアップならセシルたちも納得してくれるだろう。
祠の前の吊り橋を渡る俺たち。
すると突然おどおどろしい声が聞こえてきた。
「ククク…この土のスカルミリョーネ様が転落ごときで死ぬと思ったか!
まあ合間見えることができて嬉しいぞ…。
こんどこそセシル!貴様を殺してやる!」
スカルミョーネ!?セシルが倒したんじゃなかったのか。
しかも俺のことをセシルと勘違いしているようだ。
確かに今の格好はセシルに似てはいるけれどドンだけ目が腐ってんだこいつ。
まだクーザーとの戦いの疲れがとれない状態で戦闘が始まった。




281◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:26:31.10ID:AfvvxmAq0
黒魔が爪で攻撃しようと飛び込むがスカルミリョーネの触手のようなものにはたき落とされてしまった。
とっさに唱えたリリスのレイズで復活したものの触手に毒を打ち込まれたらしく顔色が悪い。
リリスがポイゾナを唱えようとするとスカルミリョーネがデスを唱えリリスを戦闘不能にする。
前セシルから聞いたスカルミリョーネとはかなり実力が違うみたいだ。
セシルに対する怒りと憎しみの力でパワーアップでもしたのだというのだろうか。
フェニックスの尾をレディに任せ突っ込む俺。
触手の攻撃を防御しつつ攻撃するがまるで手応えがない。
まるで水に攻撃しているかのようだ。
「私に任せて!」
レディが叫ぶ。
レディは召還術の呪文を唱え始めた。
詠唱を妨害しようとレディに伸びる触手を槍で攻撃する。
これ以上好き勝手されるわけにはいかない。
「召還獣クーザー『リベンジブラスト』!!」
クーザーがレディの元に現れスカルミリョーネに攻撃する。
クーザーの巨大な爪に引き裂かれたスカルミリョーネは表情に怒りを露わにする。
まずいな、たいして効いてないようだ。

ぐぼっ!?油断して防御態勢を外した俺に背後から触手が襲う。
大ダメージを受け地に崩れる俺。やばい残ったのはレディだけだ。
「死ねぇっ!!」
スカルミリョーネが一際鋭い触手をレディに向かって放つ。
レディは回避体勢をとっていない!とっさに目を瞑る俺。
そのとき俺の横を何かが通ったのを感じた。
肉が抉られるようなイヤな音が聞こえる。
俺が恐る恐る目を開けると信じられない光景が広がっていた。




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283◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:31:30.24ID:AfvvxmAq0
レディの目の前でレディの身代わりに触手に貫かれた黒チョコボ。
どうして黒チョコボが?レディの危機を感じ自らここへ来たというのだろうか。
倒れる黒チョコボ。ぴくりとも動かない。
レディはあまりのショックに言葉がでないようだ。
すると、黒チョコボが光になりレディの中へ入り込んだ。
何が起こったんだろうか。そう思う俺をよそに立ち上がるレディ。
「ふん!命拾いしたようだが打つ手はあるまい、今度こそ地獄に送ってやるわぁ!」
スカルミリョーネが再び触手を放つ。
レディはそれを回避し決意をした顔で叫ぶ。
「召還獣黒チョコボ『チョコメテオ』!!」
レディの前に黒チョコボの幻影が現れる。
そして黒チョコボがけたたましい声で吠えると一つの大きな流星がスカルミリョーネに襲いかかった!
流星をもろに食らったスカルミリョーネの体が崩れていく。
「ま、またしても…ゴルベーザ様ァ!ボガガゲッ!」
断末魔をあげてスカルミリョーネは灰になった。




287◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:38:36.23ID:AfvvxmAq0
緊張の糸が解けたのか涙を流し大声で泣くレディ。
俺はダメージを負った体をポーションで回復しレディのそばに行く。
「どうして…どうして私なんかのために…!」
泣き叫ぶレディ。
俺はかける言葉が見つからず、ずっと黙っていた。
「えっ…!」
急に泣きやみ辺りを見回すレディ。どうかしたのか?
「黒チョコボがね…私に言ったの。
黒チョコボはいつまでも私の心の中で生き続けるって。
そして今まで守ってくれたお礼に今度は召還獣として私を助けるって…」
レディは空を見上げながら言った。
青空に浮かぶ雲が黒チョコボに見えた気がした。

黒魔とリリスを復活させ山を下りる俺たち。
ちょうどエンタープライズが試練の山付近に降り立ったようだ。
「うん、皆立派になったみたいだね」
乗り込んだ俺たちにセシルが言った。
「ようやく地底への入り口を見つけたのよ」
ローザ様が言う。
「これからすぐに向かうぞい。準備はええか?」
シドの問いに頷きで答える。
エンタープライズは猛スピードで一直線に飛び始めた。




289◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:43:28.82ID:AfvvxmAq0
アガルトという小さな町に降り立った俺たちはこの町の名物である大井戸にやってきた。
セシルがおもむろにマグマの石を井戸に放り込むと、地震が起こり始め
アガルトの近くの山が爆発する。
「あれが地底への入り口です」
ヤンが山を見つめて言った。

早速エンタープライズで地底へ降下する俺たち。
地底はマグマだらけで緑のない世界だった。
「左舷から対空放火じゃ!」
シドが急に叫ぶ。地上をみると対空火器を搭載した戦車が空中に向けて砲撃している。
砲撃の先には赤い翼があった。
俺たちはどうやら戦場のど真ん中に突っ込んでしまったらしい。
船体が激しく揺れる。早くこの場から離れないと!
バキンという鈍い音を立ててプロペラの一つがおれた。
姿勢制御ができず回転しながら落下するエンタープライズ。
俺たちは回転の遠心力で吹っ飛ばされてしまった。




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292◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:47:11.55ID:AfvvxmAq0
「生きてるラリか~?」
誰かの声が聞こえる。ここはどこだろうか。
俺が目を開けると目の前に髭面の黒い顔がいた。
うおあっ!?
飛び退く俺に黒顔は不満げに口を開いた。
「せっかく助けてあげたのにひどい態度ラリな」
助けてあげた?周囲をみると気を失った黒魔とリリスとレディが横たわっている。
そうか、あの墜落の時に吹っ飛ばされ気を失っていたのか。
「オイラはドワーフの戦士ラリ。
ジオット城からのSOS信号を受けて城に戻ろうとしたらおまえたちが倒れていたのラリ」
黒男が言う。ラリラリ言ってるからこいつラリ夫でいいか。
俺は気絶している三人を叩き起こし、ラリ夫に紹介する。
「元気そうで何よりラリ、オイラはすぐ城に戻って王を助けないといけないラリから
君たちは家に帰るラリ」
ふうむ、ここが何処だかわからないしその城とやらへ行けばセシルたちに合流できるかもしれない。
俺たちはラリ夫に協力することを提案すると、ラリ夫は喜んだ。
「ちょうど人手に不安があったところラリ。
早速オイラの戦車で城へ…」
そういいかけてその戦車が空から降ってくるのに気づく。
俺たちはあわてて避けると戦車は地面に直撃し大破した。




297◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)14:55:02.44ID:AfvvxmAq0
「戦車なんぞつかいおってけしからん!男なら正々堂々かかってこんかい!!」
背後から聞こえた声に振り向くと悪魔のような姿の魔物がファイティングポーズで立っていた。
「げぇーっ!あいつガルキマセラ!敵の地上戦闘部隊長ラリよ!」
ラリ夫が叫ぶ。
ガルキマセラは筋肉質な腕で岩を持ち上げ投げつけてきた。
なんつー怪力だ。あの力で戦車を投げ飛ばしたのだろう。
あんなのに殴られたら確実に4桁のダメージを食らうだろう。
「ふむ、貴様等はゴルベーザ様の作った手配所の顔に似ているな。
ここで始末してやろう。さあかかってこい!」
戦闘態勢に入るガルキマセラ。戦うしかないようだ。

ラリ夫が斧を取り出しガルキマセラに向かう。
しかし振り下ろした斧はガルキマセラに片手で受け止められ
ラリ夫はカウンターのボディブローを受けてこっちに吹っ飛び戻ってきた。
「あいつめちゃくちゃ強いラリ!」
「大丈夫?ケアルダ!」
リリスがラリ夫を回復するとガルキマセラの瞳が光った。
「魔法なんぞつかってんじゃねえ!!」
一瞬で近づきリリスに頭突きをかますガルキマセラ。
リリスはショックで気絶してしまった。




301◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:18:32.83ID:AfvvxmAq0
リリスの介抱をレディに任せ俺と黒魔とラリ夫でガルキマセラに対峙する。
「ぐはははは!黒魔闘士とは珍しい。実力を見せてもらうぞ!」
ガルキマセラが黒魔に挑発する。
黒魔は爪で攻撃するがヒョイヒョイ避けられてしまう。
一方的にやられる黒魔。俺は背後からガルキマセラに攻撃をしようとするが
槍を掴まれそのまま投げ飛ばされてしまった。
「ここは任せたラリ!」
そう言ってどこかへ走り去るラリ夫。あいつ逃げやがったな。

「グハハハハ!臆病者は逃げろ逃げろ。
戦う意志のある奴はかかってこい!」
叫ぶガルキマセラに左右から挟み撃ち攻撃を仕掛ける俺と黒魔。
しかしガルキマセラの回し蹴りで二人とも弾かれてしまった。
だめだ、どうすれば攻撃を当てることができるのだろうか。
一つ気づいたことはガルキマセラはこちらが攻撃しないと攻撃してこないことだ。
不意打ちをすれば一発くらいは攻撃を当てられるだろうがその一発で倒すことができないといけない。
さて、どうするか。
俺がそう思っているとどこからか透明な球が飛んできてガルキマセラに命中した。
「動いたら死ぬラリよ!」
声の方を向くと奇妙な形の武器を持ったラリ夫が立っていた。
あんな攻撃くらいであいつが死ぬとは思えないが…。
と思ったらガルキマセラの様子がおかしい。
痙攣するように体がふるえている。
「おまえはすでに死んでいる…ラリ」
ラリ夫が静かに言うとガルキマセラは「あべし!」という断末魔を残しバラバラになった。




続きは次のページで
306◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:31:46.12ID:AfvvxmAq0
俺はラリ夫に説明を求めた。
「これはエアアンカーという武器ラリ。
当てることができれば相手をバラバラにできる優れものー!
でもさっきの一発で玉切れしたラリ…。
ほかにもいろいろ武器があるラリ。
さっきはこれらを取るために戦車の残骸の所へ行っていたのラリ」
よくわからないがこいつは特殊な武器を操れるようだ。
そう言えば城がSOS出してたんじゃなかったっけか?
「すっかり忘れていたラリ!急いでいかないと王が危ないラリ!」
あわてて走っていくラリ夫を追いかける俺たち。
とりあえずラリ夫をパーティに加え俺たちは城へと向かう。

ドワーフのせんし ラリおが なかまになった!




307◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:34:53.52ID:AfvvxmAq0
ラリお Lv28 HP1381 MP0
ジョブ:マシーナリー
Eドワーフのおの
Eフレイムシールド
Eフレイムメイル
Eパワーリスト
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃きかい ┃
┃      ┃
┃アイテム ┃
┗━━━━┛
◇オートボウガン
◇バイオブラスター

陣形
○黒魔
●リリス
○俺
●レディ
○ラリ夫




308◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:37:27.59ID:AfvvxmAq0
城についた俺たちはラリ夫の案内で玉座へと向かった。
玉座では王様が壁際でおろおろしていた。
「王様、大丈夫ラリか?」
「おお、来てくれたか!クリスタルが危険なのじゃ!」
クリスタルがこの城にあるのか。
「今セシルという人たちがクリスタルを守るためにクリスタルルームに入ったのだが
急に扉が閉まり中で戦闘の音が…たのむ!どうにかしてやってくれ!」
王様がラリ夫に懇願するとラリ夫は斧を出して了承した。
ラリ夫は斧で壁を叩き壊し中へ入っていく。

俺たちも後を追うとそこには地獄絵図が広がっていた。
床に倒れるローザ様、カイン、ヤン。
そして麻痺しているのか動かないセシル。
その前に立つ黒竜を引き連れたゴルベーザ。
今まさにゴルベーザがセシルに止めを刺そうとしているところだった。
させてたまるか!俺たちが飛び出してそれを止める。
レディの召還した黒チョコボのメテオで黒竜が消滅する。
「誰だ貴様等は?」
ゴルベーザが言う。
おまえは覚えてないだろうが俺はしっかり覚えてるぜ。
ファブール城での屈辱を今晴らしてやる。
五人がかりでレイズやフェニックスの尾で皆を復活させ体勢を立て直す。
さて、九対一だ。どうするゴルベーザ。




311◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:41:07.56ID:AfvvxmAq0
数の上では圧倒的不利でありながら薄笑いを浮かべるゴルベーザ。
なにか秘策でもあるのだろうか。
「クク…これでは多勢に無勢ではないか。応援を呼ばねばならぬなぁ!」
ゴルベーザがそう言うと煙とともに何者かがここに現れた。
煙の中から現れたのは緑色の髪と緑色の服を着た若い女だった。
はて、初めて見る奴だが誰かに似ている気がする。誰だったか。
「さあリディア、行け。奴ら倒すのだ」
ゴルベーザの言った名前に皆が驚愕する。
リディアってあの幼女だったリディアか?
なんで大人になった上ゴルベーザの配下になっているんだ!?
リディアを知らないレディとラリ夫とカインは何で驚いているのかわかってないようだが。
リディアがタイタンを召還し地面を揺らす。
すかさずレディがクーザーを召還しタイタンとクーザーが取っ組み合う。
なんか怪獣大決戦みたいな感じになっているなあ。
「リディア!どうして君がゴルベーザなんかに!?」
セシルがリディアに問うがリディアは黙って光のない目でセシルを見つめるばかりだった。




続きは次のページで
314◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:47:27.81ID:AfvvxmAq0
セシルたちがリディアを引きつけている間に俺たちはゴルベーザに向き合う。
積年の恨みを晴らすときがようやくきた。
「小僧、どこかでみたと思えばファブールのあの雑魚か。
思えばあのとき止めを刺しておくべきだったな」
へっ、あれから俺たちも相当修練を積んだんだ。
もう雑魚とは言わせないぜ。
「よかろう、ならば私をがっかりさせないでくれよ…?」
ゴルベーザが詠唱無しでサンダガをぶっ放してくる。
それを黒魔のファイガが相殺し俺たちの体がリリスのシェルに包まれる。
「舐めるな小僧!」
ゴルベーザの素早いキックで吹っ飛ばされる俺。
守るしてなかったらやばかったな。隙をついて反撃をする。
が、奴は結構ピンピンしている。ゴルベーザの耐久はなかなか高いようだ。
ゴルベーザが右手からファイガ、左手からブリザガを放出する。
全体掛けのガ系魔法二連発はさすがにきつい。
レディがクーザーを召還しゴルベーザを攻撃する。
クーザーに腕をかみつかれ振り払おうとするゴルベーザ。
その隙に俺はリリスにヘイストをかけてもらい、攻撃の準備にかかる。




318◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:51:02.08ID:AfvvxmAq0
ラリ夫がゴルベーザの背後から攻撃を加えようとするがクーザーに噛みつかれてない方の腕でたたき落とす。
馬鹿めラリ夫はおとりだ。俺は全速力の槍による突進をお見舞いする。
ゴルベーザはかなり参っているようだ。
「私を本気にさせたな!!」
ゴルベーザがそう叫びフレアをリリスに放つ。
ちょ、さすがにフレアは無理だ。リリスがものすごいダメージを受け戦闘不能になる。
さらにゴルベーザはホーリー、真空波など強力な攻撃を惜しげもなく乱射してくる。
回復役のリリスが倒れた今これはさすがにまずいかもしれない。
ラリ夫がオートボウガンでゴルベーザの片腕を蜂の巣にする。
これでどうやら片腕をつぶせたようだ。ゴルベーザの攻撃が若干マシになった。
今の隙にフェニックスの尾でリリスを復活させ皆を回復させる。
レディが黒チョコボを召還しメテオで攻撃する。
ひるむゴルベーザ。俺は黒魔とラリ夫に目で合図する。
いくぞ!ジェットストリームアタックだ!
俺の槍、黒魔の爪、ラリ夫の斧が同時にゴルベーザに突き刺さる。
「ゴミ屑風情が…ふざけるなあ!!」
ゴルベーザが俺を踏み台にしながら気合いで黒魔とラリ夫を弾きとばす。
まだこんなに体力が残っているのか。
俺たちは再び体勢を立て直す。




321◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)15:54:27.95ID:AfvvxmAq0
ゴルベーザを背後からセシルの剣が斬り裂く。
「俺たちを忘れてもらっちゃあ困るぜ」
カインがそう言い上空からジャンプ攻撃を繰り出す。
リディアはどうなったのだろうか。
俺が辺りを見回すとローザ様がリディアを取り押さえていた。
俺たちもセシルに負けず攻撃を繰り出す。
剣に斬られ、爪に裂かれ、槍で突かれ、斧で断たれようやくゴルベーザが膝をつく。
もうそろそろ俺たちも限界だ。さっさと死んでくれや。
ヤンと黒魔の同時攻撃がゴルベーザに刺さる。
ゴルベーザがフレアで俺たちを一人ずつ潰してくるがすぐにレイズで復活する。
レイズを使うリリスがやられても俺たちの持ち物欄の89個のフェニックスの尾が切れるまで大丈夫だ。
攻撃してはやられ復活を繰り返してゴルベーザの体力を削る。
そしてついにその時は来た。
重い音を立ててゴルベーザが床に倒れる。
長い時間の戦闘を経て、ようやく俺たちはゴルベーザを倒すことができた。
後半完全に集団リンチだったが12人の勇者が一匹の敵をリンチする物語があるから問題ない。




続きは次のページで
323◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:02:21.89ID:AfvvxmAq0
「まだだ…私は死なぬ…」
ゴルベーザが声を上げる。まだ生きてやがったのか。
俺たちが止めを刺そうとすると、ゴルベーザは俺たちにホールドをかけた。
しまった、動けない!
「切り札は最後にとっておくものだぞ小僧。
クリスタルはいただくぞ、クハハハハハハ!」
ゴルベーザは動けない俺たちの目の前でクリスタルを奪い姿を消した。
ホールドから解放され、皆倒れているリディアの元に駆けつける。
リディアは気絶しているだけのようだ。


俺たちはリディアを宿屋へと運び、目が覚めるまでセシルたちはリディアの介抱。
俺たちは各自城の中で情報収集することにした。
実を言うと情報収集は言い訳で俺は武器屋に用があったのだ。
武器屋へ行き、メニューをみる。あった…炎の槍!
ようやく自分の手で武器を買い換えることができる。
ここでふとミスリルスピアを見る。
この槍は亡きベイガンがくれたものだ。
俺は下取りに出す気でいたがやめた。
思い出の品を売り払うほど俺も非情じゃあない。




325◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:05:34.02ID:AfvvxmAq0
炎の槍が意外に高く散財してしまったが他の面々は今の装備でもいいだろう。
「あ、ちょうどいいところに来たラリ」
ラリ夫が俺に言ってくる。
「王様が呼んでるラリ、ついてくるラリ」
元から情報収集する気もなかったので俺はラリ夫につきあうことにした。

玉座の前に着いた俺とラリ夫。
そこにはすでにセシルもいた。
「よくきた、先ほどは見苦しい姿を見せてすまなかった」
王がなぜか謝っている。
俺はとりあえず改めてクリスタルを守りきれなかったことを謝罪した。
「うむ、そのクリスタルのことじゃが、ゴルベーザは
この城の北西にあるバブイルの塔に奪ったクリスタルを置いているらしい。
そして諜報部の調べではゴルベーザは最後のクリスタルを探すため塔を留守にしている…
この意味が分かるかな?」
「その間にクリスタルを奪取すればいいんですね?」
なるほど、せっかく一カ所に集めてくれているんだから一網打尽にしてやろうというわけか。
でも相手はあのゴルベーザだ。そううまくいくはずはあるまい。




327◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:08:42.64ID:AfvvxmAq0
「そこじゃ。じゃからその間に別部隊が最後のクリスタルをゴルベーザより先に取る。
こうすれば片方がしくじってもゴルベーザにすべてのクリスタルが集まることはないという訳じゃ」
なるほど、この王も他のドワーフ同様のんびりものかと思ったら結構しっかりしているらしい。
しかしその最後のクリスタルのある場所はどこにあるんだ?
「ここから西に溶岩を越えた先じゃ!」
先生、溶岩わたれません。
「あっ…」
王が言葉を失う。やっぱり抜けていたな。

「とととともかくバブイルの塔には大砲がついておって
戦車部隊が苦戦をしているのじゃ!
じゃから塔だけでも押さえておきたいんじゃが…」
まあ本音はそこだろうな。戦車部隊が苦戦ってどんだけ口径のデカい大砲なんだろうか。
まあできるかわからないがやってみるか。

「王様!大変ラリ!」
一人のドワーフが血相を変えた顔で玉座に飛び込んできた。




続きは次のページで
328◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:12:15.05ID:AfvvxmAq0
「どうした!」
「あの大砲にやられた怪我した戦車兵がたくさんかつぎ込まれてきたラリ!
人手が足りないラリ!」
「むむむ…これ以上救護に人員を割くことはできん!
せめて白魔法の使える者がおったらのう…?」
王様がチラチラとこちらを見ている。
はいはい、わかりましたよ。
「ローザとリリスをこの城に残しましょう」
セシルが俺の考えと代弁する。
「おお、ありがたい!
そうだ、そこの者を連れていくといい。
きっと力になるはずだ」
王がラリ夫を指さしながら言った。
「というわけでみんなこれからもよろしくラリ!」
ラリ夫はうれしそうに言った。




330◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:16:41.84ID:AfvvxmAq0
俺たちは作戦と居残りの件について話すため宿屋へと向かう。
すると俺たちが王と漫才していた間にリディアが目覚めていたようだ。リディアは何度も謝りながら説明をする。
どうやらリディアはあのリヴァイアサン事件の後幻獣界というところにつれてこられ
リヴァイアサンに召還士としての訓練を受けたらしい。
そして幻獣界は精神と時の部屋みたいにここと時間の流れが違うらしく
それでリディアだけが成長してしまったということだ。
で、修行を終えてこっちに戻ってきたはいいものの幻獣界とここをつなぐ洞窟は溶岩の上の孤島。
渡る手段を考えているうちに突然現れたゴルベーザに操られてしまったようだ。
とにかく元気になったリディアを仲間に加え、先ほど王と話し合った作戦を皆に話す。
「じゃあ俺も残る。彼女たちだけでいたら万が一攻め込まれたとき危険だからな」
黒魔が言った。お前リリスと一緒にいたいだけちゃうんかと。
「私も残るわ。一応私も白魔法使えるし」
レディも言う。
となるとパーティは
○俺
●リディア
○セシル
●ラリ夫
○ヤン
というわけか。
若干バランスが悪いがしょうがない。
まあラリ夫は機械武器で遠くから攻撃できるし問題ないか。




333◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:20:02.83ID:AfvvxmAq0
城から出てバブイルの塔を目指す。
地底のモンスターは地上のモンスターよりも皮膚が硬く強かったが
リディアの召還獣とラリ夫のオートボウガンがよく効いたためそれほど苦戦はしなかった。
ヤンは最近活躍が少なくて寂しいのか敵の集団が現れるとあまり威力のないキックを連射していた。
こっちとしては殴ってくれた方が効率がいいんだが…。

バブイルの塔の周辺では激しい砲撃戦が行われていた。
塔の大砲と戦車の大砲が激しい撃ち合いをしている。
俺たちが近づくとトイレ休憩に入ったのか両者の砲撃がぴたりと止んだ。
その隙に進入させてもらうとしよう。

バブイルの塔は何とも近代的な構造の機械の塔だった。
所々に仕掛けられたセキュリティシステムとフレイムシリーズの防具に身を固めた兵士が行く手を阻む。
ここでは俺とセシルが守りに入り後衛に攻撃させるのが有効のようだ。
かばうとまもるを使い分けできるだけダメージを受けないように立ち回る。
ケアル使いは全員城に置いてきてしまったからな。
リディアの召還獣は数が多く、使い分けが効いて便利だった。
リディアに訊くと全員幻獣界で仲良くなった幻獣らしい。
いつかレディも幻獣界に連れていってやりたいな。




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336◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:24:40.41ID:AfvvxmAq0
塔を順調に上る俺たち。
途中に鍵のかかった部屋があったが位置的に大砲の制御室臭い。
ここをどうにかしてもよいが先にクリスタルを確保したいので上を目指す。
それにしてもこの塔何階まであるんだ?
実は塔と言いつつ宇宙エレベーターで月にいけたり…はしないよな。

なんか通路がやたら細い階に出た。
遠目に赤装束の男と白装束の男がいる。
片方は宗教団体の回し者だろうか。
俺たちがそこに行き着くまでに赤装束はいなくなり
白装束がぴょんぴょんはね回っている。
「変なおじいさん」
リディアがぽっと呟く。
バカ、気づかれたらどうする。
「ん、ん~だれじゃあっ!」
白装束が叫ぶ。こいつよく見たらただのじいさんじゃないか。
「貴様!セシル!何時の間に!?」
じいさんが驚く。セシルは敵勢力に顔を覚えられているのか。
有名人は大変だな。
ま、じいさん一人暴れたくらい痛くも痒くもなさそうだが。
「キィー!バカにしおって!
このバブイルの塔はゴルベーザ様のブレインと呼ばれたこのルゲイエが守るっ!」
ルゲイエが叫ぶと今まで見たどの警備ロボットよりも不細工な人型のロボットが現れた。
「そんな不細工で勝てると思ってるラリか?」
「むむむ!我が最高傑作であるバルナバをバカにされちゃ黙っておけん!
バルナバ行けっ!」
ラリ夫にバカにされキレたルゲイエの命令でバルナバが動き出した。
見た目はあれだがかなりパワーがありそうだ。
俺たちは防御態勢を取る。




337◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:28:14.13ID:AfvvxmAq0
しかしバルナバの行動は俺たちの予想の遙か斜め三回転半上をいった。
「るげいえはかせ…す…き…」
「な、なにをしとるんじゃああああ!!!お、おちるーーーー!」
バルナバはルゲイエに抱きつきその反動で二人仲良く落下していった。
「自滅とは愚かな…」
さすがのヤンもどん引きである。

部屋をくまなく探したものの上へ行く階段は見つからなかった。
どうやらここからじゃクリスタルの所へは行けないらしい。
ふーむ、無駄足だったか。
とりあえず砲台の方をどうにかしよう。
砲台だけに好き放題させるわけにはいかない。
場の空気が凍り付く。俺がボケに回るのはよくないな。

「死ね死ねー!逆らう者はMI☆NA☆GO☆RO☆SHIだー!」
俺たちが扉を壊し大砲の制御室に入ると偉そうなゴブリン三体がコンソールをビシバシ連打していた。
「そこまでだ!」
セシルが叫ぶ。不意打ちして後ろからやればよかったのに。
「貴様等!どうしてここへ!」
「かまうこたあねえ、やっちまえー!!」
ゴブリンが二体襲いかかってくる。が、ラリ夫のバイオブラスターで毒にされたあげく
ヤンとセシルの二段連係攻撃+リディアの召還魔法であっけなく沈んでいった。
俺の出番がない。




338◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:33:08.76ID:AfvvxmAq0
「くそっ!こうしてやる!」
残った一体がコンソールにでっかく『押すなよ!絶対押すなよ!』と書かれた真っ赤なボタンを押す。
すると塔が激しく揺れ始めた。崩れるのか!?
「大変!大砲が滅茶苦茶に撃ってるわ!」
リディアが画面を見ながら叫ぶ。
画面にはドワーフの戦車部隊に激しい砲撃が加えられている様子が写っていた。
「大変ラリ!このまま冷却時間をおかずに撃ち続けると大爆発を起こすラリ!」
「大爆発するとどうなるんだ!?」
セシルが慌てた顔で訊く。
「この大きさの大砲だと…地底全体が吹っ飛んでもおかしくないラリ!」
まじかよ、それやばすぎないか!?
早くコンソールをブッ壊すかして爆発を押さえなければならないが
そうしたら俺たちが爆発に巻き込まれて全滅してしまう。
「一つだけ手がありますぞ!!」
ヤンが叫ぶ。一体なんだ?早く言ってくれ!

俺が問うとヤンは答えの代わりに俺たちを部屋から蹴り出し扉を閉め接合部を破壊した。
「ここは私に任せろ!皆は早く脱出を!」
「ヤン!開けるんだ!」
ヤンの言葉にセシルは扉を叩きながら叫ぶ。
「お願いバカな真似はしないで!!」
リディアが涙ながらに叫ぶ。
「妻に伝えてくれ…私の分も生きろと…
楽しい旅であった!!」
ヤンがそう言う間もセシルとリディアはひたすら扉を叩き続けている。
このままではヤンの行為が無になってしまう。
俺とラリ夫は二人を無理矢理扉からひっぺがし抱えてその場を離れる。
「ぬわーーーーーーーーー!!」
「ヤーーーーーーーンッ!」
ヤンの断末魔とセシルの叫びを後に俺たちは塔を駆け降りた。




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340◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:39:35.79ID:AfvvxmAq0
ヤンの捨て身の活躍で爆発は最小限に押さえられたものの
爆発のせいで塔がボロボロになっている。
俺たちは出口の大階段を駆け降りるが間に合わず階段が崩れ落ちる。
ちょっと待てこの高さから落ちたら確実に俺たちは潰れたトマトだ!!
あきらめかけたそのときエンタープライズが俺たちの真下に飛来し
俺たちはその上に敷いてあったマットに着地した。
「ぎりぎりセーフじゃったの!!」
操縦管を握ったシドがうれしそうに言う。
甲板にはレディたち全員も乗っていた。
「ヤンはどうしたの?」
ローザがセシルに訊く。
セシルは塔で起こったことを皆に話した。

「シド博士!前、前!」
黒魔の叫びに皆が前を見ると赤い翼が真っ正面からこちらに向かってきていた。
シドはぎりぎりで回避、旋回して赤い翼の後ろをとる。
すると赤い翼は素早く縦に並んだアイテムをとるが如く宙返りし
エンタープライズの後ろをとった。
「捻り込みじゃ!」
「捻り込み!?」
シドの発言に首を傾げながらレディが訊いた。
「一瞬で相手の後ろをとる操縦術だ。
豚はあの技でバロンのエースになったんだ!」
黒魔が興奮した顔で言う。
確かによーく見ると赤い翼の操縦管を握っているのは何故かポーキー状態の兵士だった。
赤い豚が相手じゃシドに勝ち目はない!
どうするんだ!?




344◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)16:56:39.52ID:AfvvxmAq0
「エンジンが燃えちまう!そこの若い黒魔導師交代せい!」
「あ、ああ!」
黒魔がシドから操縦管を受け取る。
「シド、何をするつもりだ!?」
エンタープライズの端で腰に何かを巻き付けるシドを見てカインが叫ぶ。
「エンタープライズが地上に出たところでこの爆弾で穴をふさぎ食い止める!」
「バカなことはやめて!ヤンが死んだばかりだというのに…あなたまで!」
ローザが悲しそうな顔で訴える。
しかしシドはガッハッハと笑った後笑顔で言った。
「フフ…ローザとセシルの子が見たかったが…
ヤンが寂しがるといかんしのう。
お前たちはバロンへ行きワシの弟子たちに会え!
さあ若いの、ワシの合図で操縦管の横のレバーを倒すんじゃ!」
笑顔のまま涙を流しシドは言った。
「シドお爺さん!」
「お爺ちゃん!!」
「せめておじちゃんと呼ばんかい!」
リリスとリディアに立て続けにお爺さん呼ばわりされシドが怒鳴る。
エンタープライズは地上に向け高度をぐんぐん上げている。
「今じゃあ!!」
「シド博士…お許しください!!」
黒魔がレバーを倒すと、シドの立っていた床が開きシドは真下に落下した。
「ゴルベーザ!!飛空挺技師シド、一世一代の見せ場じゃあ!!」
眼下で強烈な閃光を放ち赤い翼もろとも爆発するシド。
俺たちはその爆発でアガルトの大穴が塞がるのを見ていることしかできなかった。




346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)16:59:34.97ID:a8IviwEbO
>>344
これよくシド生きてたよなw
支援




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348◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:01:55.03ID:AfvvxmAq0
「シド…」
ヤンに続きシドを失い、皆の顔が暗くなる。
「どいつも、死に急ぎやがって!」
カインが地団太を踏んで悔しがる。
気持ちは分かるが、今ここでもたついて散っていった奴らの意志を無駄にするわけにもいかない。
俺は黒魔にバロンへ行くように言う。
親を失ったエンタープライズはどこか寂しげに駆動音を鳴らしつつバロンの方角へと進み始めた。

バロン城は俺たちが地底に行っている間に去っていった者達が戻ってきたのか少しだけ賑わいを取り戻していた。
飛空挺を降りた俺たちはシドの遺言通りシドの弟子達に会いに行く。
シドはあらかじめ弟子達に言っていたらしくセシルの姿を見るとすぐに飛空挺の改造作業に取りかかった。

一晩経つと、エンタープライズの下部にフックが取り付けられていた。
これでホバー船を運搬できるらしい。
「ホバー船を運んでどうするのかしら?」
レディが訊くと弟子は自信たっぷりに言った。
「バブイルの塔へ通じるエブラーナの洞窟に行けるんですよ!」
「大陸の浅瀬にホバー船を降ろして乗り換えるのです」
終始明るい態度の弟子達にシドのことを教えるかどうか躊躇う。
しかし、俺より先にセシルが勇気を振り絞って言おうとした。
「実は、シドが…」
しかし、そこまで言うと弟子達が大声で割り込む。
「元気すぎてお困りでしょう?」
「殺したって死ぬような人じゃないですからねえ!」
まあ、こいつらには何を言っても無駄だろう。
弟子達の明るさに元気づけられ、俺たちはフックがついた新生エンタープライズに乗り込む。




351◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:05:25.31ID:AfvvxmAq0
「ホバー船どこ置いたっけ?」
黒魔がセシルに訊くとセシルは少しだけ考え込んでから言った。
「ホブスの山の麓だ。まだ残っていればいいんだけど…」
セシルに言われたとおりホブスの山へ向かうと壊れたホバー船一つと無事なホバー船一つがあった。
片方は俺たちが乗ってきたものでもう片方はたぶんセシル達が乗ってきたものだろう。
無事な方をフックにかけエブラーナ地方へと向かう。
エブラーナはかつて忍者の国として栄えていたのだがある時魔物の群の襲撃で一瞬で滅んだという曰く付きの場所だ。
「洞窟へは僕たちで行ってくる」
セシルがローザとカインとリディアを連れて言った。
まあホバー船は4人乗りだしな。仕方がない。
留守を任された俺たちは暇なので落城したエブラーナ城へと足を運ぶ。




354◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:08:38.10ID:AfvvxmAq0
おれ Lv27 HP1278 MP0
ジョブ:ナイト
Eほのおのやり
Eミスリルシールド
Eミスリルアーマー
Eサークレット
Eガントレット
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃まもる ┃
┃かばう ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
レディ Lv25 HP642 MP173
ジョブ:しょうかんし
Eミスリルのつえ
Eしさいのローブ
Eさんかくぼうし
Eルビーのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃召還  ┃
┃白黒魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○サイレス ○スロウ ○ヘイスト ○スリプル
○サイトロ ○リフレク ○ブリンク ○レビテト
●ファイア ●ブリザド ●サンダー ●ポイズン
●バイオ  ●ポーキー ●トード  ●ブレイク
●アスピル ●デジョン ●ミニマム ●ストップ ◎クーザー ◎くろチョコボ




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356◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:11:33.52ID:AfvvxmAq0
くろま Lv26 HP963 MP140
ジョブ:くろまとうし(黒魔闘士)
Eほのおのつめ
Eこおりのつめ
Eけんぽうぎ
Eさんかくぼうし
Eぎんのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃黒魔法 ┃
┃チャクラ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
●ファイア ●サンダー ●ブリザド ●ファイラ
●サンダラ ●ブリザラ ●バイオ  ●ファイガ

リリス Lv25 HP567 MP201
ジョブ;どうし
Eリリスのロッド
Eしさいのローブ
Eねこみみフード
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白魔法 ┃
┃いのる ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○ケアル  ○ケアルラ ○ケアルダ ○ポイゾナ
○プロテス ○シェル ○レイズ  ○エスナ
○スロウ  ○ヘイスト ○ライブラ




358◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:14:13.99ID:AfvvxmAq0
ラリお Lv29 HP1312 MP0
ジョブ:マシーナリー
Eドワーフのおの
Eフレイムシールド
Eフレイムメイル
Eパワーリスト
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃きかい ┃
┃    ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
◇エアアンカー
◇オートボウガン
◇バイオブラスター

陣形
○黒魔
●リリス
○俺
●レディ
○ラリ夫




360◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:17:51.52ID:AfvvxmAq0
エブラーナ城は粗末なアイテムの入った宝箱が点々としている以外は隠し通路が多いだけのただの城だった。
まあ当たり前だよな、滅んだ城に期待する方が悪い。
「ラリ?ここも進めるラリよ」
一マスずつ壁を押していたラリ夫がまた隠し通路を見つけたようだ。
俺たちがその先へ進むと、豪華な装飾の宝箱が三つ鎮座してあった。
これはすごい物が入っているに違いない。
俺たちがおそるおそる宝箱に近づくとどこからかおどろおどろしい声が響いてくる。

「渡さぬ…エブラーナの秘宝…」
「ルビカンテの手下どもめ…許すまじ…」
「我らの怒りを受けて死ねぇ!」
柱の陰からステイルゴーレム、クアール、ラミア、バーサオーガが飛び出し襲いかかってきた!!
4対5、一見こちらが有利そうに見えるがパワーバランス的にはかなり不利だ。
ステイルゴーレムの鋼鉄のパンチがレディに当たる。
かなりのダメージを受けたらしいがぎりぎりHPが残っているようだ。
リリスが回復させようとするとすかさずラミアの平手打ちが飛んできて沈黙させられてしまう。
「にゃろっ!よくも!」
黒魔がラミアにファイガを放つがバーサオーガがラミアをかばう。
このオーガやたら魔法耐性があるのかファイガを食らったのにケロリとしている。
ラリ夫がオートボウガンで一掃しようとしたら今度はクアールのブラスターが飛んできてラリ夫が倒れる。
ちょっとまて、戦闘開始わずか数秒でかなりやばい状況だ。




362◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:20:27.22ID:AfvvxmAq0
俺は何か逆転できるスーパーアイテムが入ってないかと宝箱を開ける。
すると炎の槍の何倍も赤い、まがまがしい槍が出てきた。
呪われるかもしれないが全滅よりかはましだ。
俺はすかさず装備し敵の集団に向けて振り回す。
するとどうだろうか、ヒットしたバーサオーガが苦しみ俺は逆に体が軽くなった。
どうやらこの槍、体力を奪う効果があるようだ。
が、いかんせん大振りすぎて扱いにくく当てづらい。
しかもなんか力が抜ける。体感で15くらい能力が下がってる気がする。
まあ今の相手には有効そうなので引き続き使うことにする。

俺がこの槍を振り回している間に黒魔がリカバリーをすませたようだ。
レディが黒チョコボを召還しラミアを葬る。
流れがこっちに向いてきたようだ。
ステイルゴーレムのパンチをまもるで防ぎ呪文詠唱の時間稼ぎをする。
クアールがブラスターを放とうとするとラリ夫の斧がそれを防いだ。
レディのブレイクを受けバーサオーガが石化する。
よく弱点が分かったな。
「リリスがライブラで調べてくれたからよ」
ほ~やるもんだな。
残るはステイルゴーレムだけ。
黒魔がここぞとばかりに殴りに行った。
華麗なフットワークでパンチをかわし、必殺アッパーでとどめを刺す黒魔。
一時はどうなるかと思ったが何とか勝つことができた。




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364◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:24:49.09ID:AfvvxmAq0
宝箱から戦利品を漁る俺たち。
俺が手に入れた槍-ブラッドランスの他は眠りの剣とボロ雑巾のような手袋だった。
正直言っていらねえ。俺たちのパーティに剣使えるやついないしな。
セシルが帰ってきた時用にとっておくか。
手袋の方は…まあ一応持っておくか。
いつか高値で売れるかもしれないしな。

「そういえばダムシアンの地下にまだホバー船残ってないかな?」
エブラーナ城を出たところで黒魔が言った。
そういえばあそこのホバー船置き場俺たちが行ったとき10台くらいあったような気がする。
その時いなかった3人はハテナマークを浮かべている。
そこにまだホバー船が残っていればセシル達の後を追えるかもしれないな。
俺たちはエンタープライズに乗り、ダムシアンを目指した。

ダムシアンは相変わらずの滅びっぷりだった。
昔来たときと同じように仕掛けを動かしホバー船置き場へ行く。
よかった。まだ残っていた。
残ってなければ壊れたホバー船を黒魔にぶん!してぴょっ!させるという案もあったがそれはまた次回にとっておこう。




365◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:27:57.92ID:AfvvxmAq0
ホバー船を二台運び、エブラーナの洞窟へ入る俺たち。
洞窟の中は松明があったりして人の手が加えられていた。
どうしてこんな辺境の洞窟に松明が置いてあるんだろう。
階段を下りると俺たちは納得した。
この洞窟の中はエブラーナ国民の町になっており復興を目指し文字通り地下で活動をしていたのだ。
ホバー船がないと入れない洞窟にどうやってきたのかというのは問わないでおこう。
どうせエブラーナは忍者国家だから水面跳びくらいはお茶の子さいさいなんだろう。

ここの店はなかなかいい物を売っているようだ。
アイスシリーズの防具と氷の槍。是非欲しいところだがかなりの暴利価格である。
とりあえず二度と使わないであろうブラッドランスを売りに出す。
すると店主の目の色が変わった。
店主曰くこの槍は家宝だったが城から逃げ延びる際持っていき損ねてずっとそのことを引きずっていたらしい。
そういうわけで二万ギルという破格の値段で買ってくれた。
俺は眠りの剣とボロ手袋も見せる。
剣の方はやはり家宝だったが手袋の方はそうではないらしい。
どうもこの手袋、エブラーナに伝わる忍者の小手らしく
装着すれば誰でも投擲能力が向上するのだそうだ。
別に何か投げることが起こることもないだろうし売ろうとしたら買い取り価格5ギルだった。
売るな、ってことか。




366◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:30:51.22ID:AfvvxmAq0
ブラッドランスと眠りの剣の売却価格と炎の槍の下取りで氷の槍とアイスシールドを買うことができた。
俺の装備やたらアンバランスだな。
アイアンシリーズで固めてた初期の頃が懐かしい。

「あんたたち、城の宝をとれるくらいの腕があるならお願いだ
若様を助けてやってくれ!」
買い物が終わった後店主は俺たちに懇願した。
若様というのはこの国の王子で魔物にさらわれた王と王妃を助けるべく
皆の制止を聞かずに単身でバブイルの塔に行ってしまったらしい。
軽く若様というかバカ様のお守りを了承し、俺たちは一休みしてからバブイルの塔へと続く通路へ向かう。

洞窟は入り組んで非常に進みづらい。
さらに敵がわんさか出るため俺たちの進行は非常に遅くなった。
このままじゃセシルに追いつけないな。
俺は氷の槍で骸骨を凪ぎ払いながら思う。
ラリ夫がオートボウガンを使い敵を掃討する。
どうやらそれで矢が切れたらしい。
予備の矢くらいかっておけよ。

奥へ進むと激しい戦闘があったのか焼け焦げた跡だらけの場所があった。
地面には人の形に焦げた跡がある。
これがバカ様のものじゃなきゃいいんだが。




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369◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)17:54:20.87ID:AfvvxmAq0
その奥はバブイルの塔の外壁だった。
が、どこにも入れるようなところはない。
セシル達が通ったとしてどうやって通ったんだろう。
「こんな壁なんて、任せるラリ!」
ラリ夫が斧で壁をガンガン叩き掘り進む。
さすがドワーフ、今更だがハンパないパワーだ。
塔の中に潜入した俺たちは魔物の目をかいくぐり階段を下る。
洞窟で結構体力を消費したからこれ以上無駄な戦闘は避けたい。

セーブポイントで休んだ後更に下へ向かう。
すると、遠くで激しい戦闘が起こっているのが見えた。
片方はセシルたち。もう片方はいつかみた赤装束の男だった。
確かあいつは地底からバブイルの塔に入った際ルゲイエだったかアホ博士と話していた奴だな。
「お前たちは立派な戦士だった!さら…ばだ!」
「…。親父、お袋、敵はうったぜ!」
俺たちがそこにつく頃にはすでに戦闘は終わり赤装束が死んだところだった。




372◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:07:25.23ID:AfvvxmAq0
俺たちはセシルに合流し、新しく加わっているDQN未知な格好をした男のことを訊く。
「お前等もセシル達の仲間か!
俺はエッジ、エブラーナの王子様よ!」
やたらハイなテンションでDQNが自己紹介をする。
こいつが例のバカ様か。確かに格好からオツムが弱そうな感じが漂いまくっている。
とりあえず旅の目的はひととおりセシルたちが話したようでバカ様もといエッジも仲間に加わったようだ。
「きれいなねーちゃんが二人も増えて俄然やる気が出てきたぜ!」
「まあ、お上手ね」
レディとリリスがエッジの言葉に笑う。
俺と黒魔はエッジを睨みつけた。

総勢十人の大所帯となった俺たちは5人ずつに別れて力を合わせ更に下へと向かう。
するとクリスタルがたくさん置いてある部屋へとたどり着いた。
見張りもいないようだし、これを頂いてしまえばゴルベーザの野望が阻止できる。
俺たちが部屋に入ろうと一歩前に進むと突然ゴルベーザの声が響いてきた。
「トラップカード発動、落とし穴!」
俺たちの足下の床が消え、俺たちはなすすべなく落下した。
まあそんな気はしていた。
「いって~」
あまり痛くなさそうな顔でエッジが言う。
「どうやら地底の方まで落とされたみたいね」
リリスが言う。どうしてわかるんだか。
階下に落とされた俺たちは仕方なく出口を探すことにした。




374◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:14:17.34ID:AfvvxmAq0
「これは…」
「赤い翼の新型飛空挺!!」
進んだ先にあったのはなんと敵の飛空挺だった。
こんなところで建造してやがったのか。
「よしっ!こいつで脱出しようぜ!」
「でも敵の飛空挺だよ?」
エッジの言葉にリディアがつっこみを入れる。
あの策士ゴルベーザのことだ。何か罠があるに違いない。
だがエッジはそんなことお構いなしに操縦管をぐいと引っ張る。
ゴトンと飛空挺が揺れ、発進する。
「気に入った!こいつは名付けてファルコン号だ!」
エッジが好き勝手にやっている。
まあいい、脱出だ!
「で、飛空挺ってそうやって操縦するんだ?」
その言葉を聞いたとたん黒魔がエッジに跳び膝蹴りを食らわせ操縦管から引き離し操縦管を握る。
「ったくこれだからいいところの坊ちゃんは!!」
黒魔の怒りようもわからんでもない気がする。

頭部にたんこぶを作ったエッジを介抱するリディアを片目にファルコンを操縦する黒魔。
ファルコンは耐火装備をしていないので溶岩の上を飛行するのは無理そうだ。
俺たちはひとまず陸続きのドワーフの城へと向かった。




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375◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:18:21.43ID:AfvvxmAq0
セシルたちが王に報告をしている間に俺たちはドワーフたちの話を聞く。
どうやら最近激しい爆発が北東で起こりそれを調査した連中が髭面のおっさんを保護したらしい。
俺たちはもしかしてと思いながら救護室へ向かった。

俺たちの予想通り、救護室ではいびきをかいて眠るシドがいた。
あれだけの爆発の中生きていたのか!
シドは俺たちに気づき目を覚ました。
「おじさん、よく生きてたわね!」
レディがうれしそうに言う。
「ガッハッハ!他よりちぃと鍛え方が違うんでな!
ヤンの元へ逝きそびれたわい!」
豪快に笑いながら話すシド。
その笑い声を聞きつけたのかドタドタとセシルたちも救護室に入ってきた。
「シド!」
セシルがシドとの再会を喜ぶ。
「誰だ、このじじいは?」
空気の読めないエッジが素っ頓狂なことを言う。
チャラチャラしたDQNからじじいと呼ばれシドがしかめ面でエッジに言う。
「何じゃこの生意気な小僧は」
「俺がエブラーナの王子、エッジ様よ!」
「ただのバカ様だけどな…」
エッジが調子に乗って自己紹介している間に黒魔がシドの耳元でボソリとつぶやく。
「おまけにハンサム!腕も立つ!」
「おじちゃんは怪我してるんだからあまり怒らせないの!」
エッジの暴走をリディアが一言で止める。
その様子を見てシドはキシシと笑いながら言った。
「なんじゃ?お前さんリディアの尻にしかれとるんか?」
「る、るせー!」
顔真っ赤にして反論するエッジに場の皆が笑う。




378◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:23:24.49ID:AfvvxmAq0
そういえばセシル、王は何と言ってたんだ?
「ああ、ゴルベーザが最後のクリスタルを取る前に僕たちで先に確保しろって言っていたよ」
「だが、その場所はどうも溶岩の海の向こうらしい。
どうやって渡ればいいものか…」
カインが付け加える。
それを聞いて思いついたように黒魔がシドに相談をした。
「そうだ、シド博士。敵の飛空挺を奪ったはいいんだが
溶岩の上を飛べないんだ。何かいい案はないか?」
「フッフッフ、ワシの出番のようじゃの!」
シドがベッドから跳ね起きて叫ぶ。
「体、大丈夫なの?」
リリスがシドを心配するがシドは笑いながらラリ夫を引っ張り救護室を出ていった。
「心配なさそうね」
ローザがセシルに言う。

飛空挺の改造作業には十人ほどのドワーフとラリ夫、それから俺とエッジが手伝うことになった。
エッジはなかなか作業に加わらなくて邪魔だったが最終的にはちゃんと手伝った。

「これで溶岩の上もわたれるぞい!」
耐火素材を張り付けたファルコン号を見ながら寝そべってシドが言った。
ありがとうシド。
俺がそう言うと、シドからの返事はなかった。
まさか無理をして死んじまったんじゃ…。
と思ったらいびきをかきはじめた。驚かせやがって、眠っただけか。
「よっぽどつかれていたのね」
レディが俺の横で笑いながら言った。




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379◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:29:19.96ID:AfvvxmAq0
「よし、じゃあ早速クリスタルを取りに行く5人を決めようぜ!」
「5人?」
エッジの言ったことに黒魔が突っ込む。
「ああ、クリスタルのある封印の洞窟は真に実力のある者だけがクリスタルにたどり着けるように
一度に5人までしか入れないようになっているんだ」
成る程、ゴルベーザみたいなのが人海戦術で攻め込まないようにするための措置か。
まずは立候補者を募ることにする。
行きたい人は手をあーげて。
セシル、エッジ、カイン、リディアが手を挙げる。
他の皆は遠慮しているのか手を挙げていない。じゃあ俺が行くしかないか。
セシルのパーティに俺が混じった感じになったこのパーティで行くことになった。

陣形は
○セシル
●リディア
○カイン
●エッジ
○俺

流石俺、見事に浮きまくってるが何ともないぜ。




382◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:34:17.88ID:AfvvxmAq0
封印の洞窟に着いた俺たち。
入り口でセシルが持っていた首飾りを掲げると扉が開いた。
あれが鍵のようなものなのだろう。
洞窟の中はやたら高低差が激しくロープで移動する。
いい加減腕が疲れてきた。

さて、俺たちは扉が3つあるところにたどり着いた。
右か左か真ん中か。
とりあえず適当に扉を選びノブに手をかける。
「離れるんだッ!」
セシルの注意にとっさに手を引く俺。
すると扉が横に割れそこから牙がでてきて俺の腕があった場所に噛みついた。
うわぉびっくりした。危うく腕を失うところだったぜ。
ここの扉はモンスターなのか。
セシルが出発前に買ったのだろうか。ドワーフの斧で扉を叩き壊す。
「ここは思った以上に危険なところだ。油断しないようにしよう」
セシルが言った。




386◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:38:27.40ID:AfvvxmAq0
扉に擬態していたとしても最初から魔物だとわかれば問題はない。
俺の発案で遠距離からリディアの黒魔法とエッジの忍術で扉を破壊する。
いくら凶暴でも距離にはかなうまい。
そんな感じで遠距離戦法で扉を破壊しサクサク進んでいく俺たち。
特に問題なく最深部のクリスタルルームに到着した。
闇のクリスタルを手に取る俺。黒く光るクリスタルは綺麗だった。
「早く脱出するぞ!」
「ああ!」
カインとセシルが言い、俺たちはクリスタルルームの外へでる。
すると部屋の両側の壁が徐々に迫ってきた。
気のせいか壁の中に魔物がいるような気がする。
「やはり簡単ではないと言うことだな!」
「なら、ぶっこわすまでよ!!」
カインとエッジが勝手に熱くなっている。
おいおい、出口は開いてるんだから普通にでればいい話じゃないか。
カインとエッジを引っ張りながら俺たちは部屋を出る。
後ろの方で壁が閉じる音がする。壁と戦うなんてどんな発想だよ。




389◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)18:40:49.22ID:AfvvxmAq0
闇のクリスタルを手に入れたのでさっさと洞窟から出よう。
ようやく出口が見えたところでゴルベーザの声が響いてくる。
いつも思うんだがこの声どうやって俺たちに伝えているのだろう。
「カイン…帰ってこい、カイン…。そのクリスタルを持ち私の元へ…」
また洗脳しようとしているのか。
俺たちはカインに注意を向ける。
「大丈夫だ…」
カインは頭を押さえて苦しみながら言った。
突如俺の背後からムチが飛んでくる。
俺は不意打ちを食らい手に持ったクリスタルを手放してしまう。
「リディア!いったい何を!?」
薄れゆく意識のなかでセシルの声を聞く。
そうだ、思い出した。リディアもゴルベーザに操られたことが…。




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402◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:15:19.42ID:AfvvxmAq0
「よかった、気がついたのね!」
目を覚ますと俺はドワーフの城の救護室にいた。
目の前にレディの顔がある。
そうだ、あれからどうなったんだ?
「残念だがクリスタルは揃ってしまったようだ…」
黒魔が残念そうな顔で言う。
クソッ!俺のせいだ。俺がカインばかりに注意を向けていたから…。
「自分を攻めないで。あなたは悪くないわ」
「悪いのはこんなことをするゴルベーザよ!」
レディとリリスが励ましてくれるが、俺は罪悪感でそれどころじゃなかった。
「まだ諦めるのは早いラリ!!」
部屋に駆け込んだラリ夫が嬉しそうな顔で言う。
続いて入ってきたセシルが言った。
「今し方ここの王からミシディアの伝説を聞いたんだ。
月へ行く最後の手段、魔導船!」
魔導船!?
「今地上に向かうためシド達がファルコン号を改造しているんだ。
できれば手伝ってくれないか!」
いや、俺はいいよ。
元々俺なんかが出しゃばるべき戦いじゃなかったんだ。
もしも俺が出しゃばらずにクリスタルを持たなければ、
もしもセシルやエッジに渡していれば…。




406◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:18:59.96ID:AfvvxmAq0
バシィッ!
俺の頬をレディが思いきりビンタする。
「何過ぎたことをいつまでもウジウジしてるのよ!
自信たっぷりで、いつもみんなの先頭に立つあなたが私好きなのに!!
そんなの…そんなのあなたじゃないわ!
失敗したっていいじゃない!取り返せばいいじゃない!
どうしてそうやって諦めちゃうの!?
まだ終わっていないのよ!まだ終わらせないようにできるのよ!!
だから…頑張ろうよ!!」
目一杯に涙を湛えながら俺を叱咤するレディ。
そうだ、まだやれることがある。
まだ俺たちの戦いは終わっていないんだ。
目が覚めたよレディ。俺はここで立ち止まるわけにはいかない。
「元気も出たみたいだし、早速改造を手伝うラリ!!」
おうよっ!俺は晴れた気分でラリ夫と一緒に救護室を飛び出す。
レディのビンタで食らった百いくつのダメージをポーションで回復しながら。




407◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:22:29.65ID:AfvvxmAq0
フゥーッ!改造が終わった。
エッジやラリ夫の協力の甲斐あってあっというまにファルコンの船首に立派なドリルが装着された。
すごく…大きいです。
シド曰くこいつで天井を掘り進み地上へ出るのだそうだ。
実際にそんなことをすれば天井に刺さったとたんドリルを軸に飛空挺が高速回転しそうなものだが
飛空挺の数多くのプロペラがどうにかしてくれるだろう。

「ふぃー!ワシはもうだめじゃあ!後は頼んだぞい!」
無理してぶっ倒れて担架で運ばれるシドを見送り俺たちはファルコン号に乗り込んだ。
黒魔が操縦管を握り発進させる。
アガルトの地下付近に到着するまで封印の洞窟であの後どうなったかをセシルから聞いた。
どうやら俺が倒れた後、操られたリディアがそのままクリスタルを持ち去ってしまったらしい。
カインの方は完全にフェイクだったようだ。
流石ゴルベーザ、裏をかくのにこと足らない。

ドリル全開で掘り進み地上に出た俺たち。
真っ直ぐにミシディアを目指す。
ミシディアでは全住民が祈りの塔に集結し祈りを捧げていた。
俺たちはその様子をじっと見守る。
「おお…皆の者…祈りが通じたぞ!!」
ミシディアの南の湖から大渦を発生させながら浮上する巨大なエビフライ。
いや…魔導船!!
まるで巨大な魚のようなそれはゆっくりとミシディアのすぐ西に降り立った。




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409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)20:23:58.76ID:5FE+UVSK0
海老フライ言うなwww




412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)20:30:15.87ID:+wmsO7l4O
出たエビフライwww




413◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:33:12.20ID:AfvvxmAq0
「祈りのさなか、暖かい声が聞こえてきたのじゃ。
『月にまいれ』と月でそなた達を待つ者がおるようじゃ」
長老が別れ際に言った。
俺たちは魔導船に乗り込み、あらかじめ長老から教わったとおり
飛翔のクリスタルに意志を込める。
すると魔導船は今まで乗ったどの飛空挺よりも速く、高く飛び上がりあっというまに地球を離れ月へと到着した。

月の表面はゴツゴツしててまるで星全体が山脈のようだった。
俺たちは魔導船が着陸できるところを探して着陸する。
「月なのに空気はあるようだな。…不思議だ」
一番に降り立ったカインが言う。
俺たちもそれに続いて降りていく。
月の中央に水晶造りの城が見える。
「おそらく…あそこに僕たちを待つ者がいるんだろう」
セシルが城を指さして言った。




414◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:39:10.36ID:AfvvxmAq0
城を目指すためいくつもの地下道を抜ける。
途中まるででかいアメーバのような魔物と何度か遭遇したがもはや俺たちの敵じゃなかった。
城までの道は長く険しかったが俺たちはなんとか城にたどり着いた。

「よくぞ参られた…」
城の中では全身を髭で覆ったような爺さんが待っていた。
「あなたは?」
「私は月の民の眠りを護るフースーヤ…」
爺さんが月の民の話を始めた。
クソ長い話なので割愛するが要約すると
星が滅びて地球に住もうとしたら住民が進化しておらず月作って眠ったはいいが
寝るのが嫌いなDQNが星焼き払って住み着けばいいんじゃね?
って言ったもんだからそいつを監禁したら
牢獄の中でパワーアップして魔物を生み出したり悪い奴を操ったりしてクリスタルを集めさせたそうな
で、そのDQNがゼムスって名前の奴でゴルベーザもゼムスに操られていたらしく
クリスタルを集めると次元エレベーターとかいうのが動き出すらしく
ゼムスはそれでバブイルの巨人って言う大量破壊兵器を地上に降ろそうとしているらしい。
他にも魔導船で地球に来たのがセシルの父親だったりそういう話があったが俺たちは早く地球に戻ってバブイルの巨人を止めに行きたかった。
だが、フースーヤは俺たちを止めた。
「いかん、そなた達は月に残るのじゃ」
フースーヤが言う。どうしてだ?




415◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:45:41.44ID:AfvvxmAq0
「そなた達を待っておる者が月にもう一人おる。
幻獣神バハムート…彼の元へ行くのじゃ。
きっと力になってくるだろう」
試練の山での出来事を思い出す。
確かにバハムートは俺たちに月へ来いと言った。
「僕たちはどうすればいいんです?」
セシルが言う。
「私とともに魔導船に乗り、バブイルの塔へと向かおう。
私ならバブイルの塔のバリアを突破できるはずじゃ」
「ええ!」
セシル、エッジ、カイン、ローザがフースーヤとともに魔導船に戻る。
俺たちはバハムートの住む幻獣神の洞窟のそばで降ろしてもらった。

セシル達の魔導船が地球に向かったのを確認した俺たちは洞窟へ入る。
洞窟の中には貴重な源氏シリーズの防具とそれを守る大量のベヒーモスがひしめいていた。
各個撃破で突破しながら俺たちはバハムートの元へ向かう。
呼ぶくらいなら番犬のベヒーモスを檻か何かに入れればいいのに。
俺たちはバハムートの不親切さをグチりながら奥へ進んだ。




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417◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:50:44.55ID:AfvvxmAq0
「よく来たな。待っていたぞ」
最深部にたどり着くと偉そうな男が二人の幼女を侍らせて椅子に座っていた。
こいつがバハムートなのだろうか。イメージと違う気がする。
「直接会えば更にパワーアップさせてくれるって言ってたよな」
黒魔がバハムートに言うとバハムートは深く頷いて答えた。
「さよう、お前達をゼムスと戦うに足りる更なるジョブにしてやろう」
バハムートが両手をあげると、試練の山の時と同じように俺たちの体が光に包まれる。
光が消えると俺たちは新しいジョブと装備に身を包んでいた。
黒魔は黒魔導師の最高位である魔人に。
リリスは厚いローブを羽織った賢者に。
レディは額に角を生やした魔界幻師。
ラリ夫はゴツい鎧に身を包んだバイキングとなった。
俺は…なにかフードが追加されている。
なんて言うジョブだ?
「護るべき者を護る者。ディバインナイトだ」
聞いたことのないジョブだが竜騎士じゃないから問題ない。
ジョブの力を得るとともにレベルも大幅に上がったらしく体に力がみなぎってくる。
ただ一つ不安なのが、バハムートはパワーアップさせた後試練をさせることだ。
俺の不安はすぐに的中した。
バハムートが巨大な竜の姿となり叫んだ。
「さあかかってこい!私を倒せぬようでは世界を救うことはできぬぞ!」
俺たちは新しいジョブに体を慣らしながらバハムートに向き合った。




418◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:54:21.97ID:AfvvxmAq0
おれ Lv34 HP1577 MP0
ジョブ:ディバインナイト
Eグングニル
Eげんじのたて
Eげんじのよろい
Eげんじのかぶと
Eげんじのこて
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃まもる ┃
┃かばう ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
レディ Lv34 HP1072 MP213
ジョブ:まかいげんし
Eルーンのつえ
Eひかりのローブ
Eきんのかみかざり
Eルーンのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃召還  ┃
┃白黒魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○サイレス ○スロウ ○ヘイスト ○スリプル
○サイトロ ○リフレク ○ブリンク ○レビテト
●ファイア ●ブリザド ●サンダー ●ポイズン
●バイオ  ●ポーキー ●トード  ●ブレイク
●アスピル ●デジョン ●ミニマム ●ストップ ◎クーザー ◎くろチョコボ




419◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)20:57:52.91ID:AfvvxmAq0
くろま Lv34 HP1327 MP261
ジョブ:まじん
Eほのおのつめ
Eこおりのつめ
Eちからだすき
Eくろずきん
Eダイヤのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃黒魔法 ┃
┃チャクラ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
●ファイア ●サンダー ●ブリザド ●ファイラ ●サンダラ ●ブリザラ
●バイオ  ●ファイガ ●ブリザガ ●サンダガ ●フレア  ●メテオ
リリス Lv34 HP1274 MP252
ジョブ;けんじゃ
Eリリスのロッド
Eしろのローブ
Eきんのかみかざり
Eルーンのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白魔法 ┃
┃連続魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○ケアル  ○ケアルラ ○ケアルダ ○ポイゾナ ○プロテス ○シェル
○レイズ  ○エスナ ○スロウ  ○ヘイスト ○ライブラ ○リフレク
○ケアルガ ○アレイズ ○ディスペル ○ホーリー




続きは次のページで
421◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:00:41.76ID:AfvvxmAq0
ラリお Lv34 HP1788 MP0
ジョブ:バイキング
Eオーガキラー
Eダイヤシールド
Eダイヤアーマー
Eダイヤのかぶと
Eダイヤのこて
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃ためる ┃
┃ひっさつ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛

陣形
○黒魔
●リリス
○俺
●レディ
○ラリ夫




422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)21:00:44.90ID:5FE+UVSK0
すげー強くなったなwww




427◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:04:42.03ID:AfvvxmAq0
バハムートはかかってこいとは言ったが攻撃する気配は見えなかった。
舐めているのだろうか。
ラリ夫のオーガキラーと俺のグングニルでバハムートに攻撃を仕掛ける。
だがバハムートは攻撃を受けてもなお反撃してこなかった。
いったいどういうことなのだろうか。
突然バハムートが口をカッと開いた。
そしてバハムートの口から強烈な光線が放たれた!!
そうか、このメガフレアのためのチャージをしていたのか。
倒れたレディをフェニックスの尾で復活させリリスのケアルガで復活する。
またバハムートが口を閉じる。メガフレアしか撃つつもりはないのだろう。
だが、一発しか撃てずそれにものすごいチャージが必要なら割と簡単ではある。
出発前にこっそり買ったフェニックスの尾x99x4が尽きるまで粘ることができるからだ。
「今死ねぇ!すぐ死ねぇ!骨まで砕けろぉ!メテオ!!」
黒魔が発狂したような声でメテオを唱える。
こいつこんなキャラだったっけ。
洞窟の天板をぶち抜きメテオがバハムートを襲う。
俺たちが5回くらい殴ったダメージを与えたようだがバハムートの様子がおかしい。
「洞窟の中でメテオを唱える奴がおるか!!
私の家を壊すつもりか!!」
黒魔にバハムートの怒りのパンチが炸裂する。
魔人になっても相変わらず黒魔は黒魔だな。




430◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:07:54.93ID:AfvvxmAq0
リリスがアレイズで黒魔を復活させる。
黒魔の様子を見てレディは黒チョコボを召還するのをやめたようだ。
かわりにクーザーを召還する。

俺とラリ夫はクーザーにあわせて再び攻撃を加える。
後方からホーリーとフレアの支援射撃が飛んでくる。
最初は余裕ぶっこいてたバハムートも怒濤の5連攻撃にはさすがに堪えたようだ。
バハムートが再びメガフレアを放つ。
それを耐えしのぎ、フェニックスの尾で蘇生させ再び攻撃する。
あとは根比べだ。




433◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:11:27.54ID:AfvvxmAq0
先にへばったのはバハムートの方だった。
「参った参った!!お前たちの連携にはかなわん!」
どうやら勝ったようだ。俺たちは床に座り込む。
「ふむ、久々に私も召還獣として協力したくなってきたぞ!
どうだ、悪い話ではなかろう」
バハムートがレディに訊いている。断る理由はないわな。

レディがバハムートを覚えた。

バハムートの側の幼女のテレポで外に送り届けられる。
さて、あとはセシルたちが戻ってくるのを待つだけか。
俺たちはとりあえず自力で城に戻る。
戻る途中、城から縦にレーザー状の光が放たれるのを見た。
あれは!?
俺たちは急いで城に戻る。




続きは次のページで
434◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:15:42.10ID:AfvvxmAq0
城の奥の部屋ではフースーヤのものだろうかクリスタルたちが騒いでいた。
「ゼムスを封じていた封印が解けそうです!!」
「このままではゼムスがこちら側に来てしまいます!!」
「私たちの力ではゼムスの進行を遅らせるのがやっとです!」
「後一晩もすれば完全に道が出来てしまいます!」
「どうか、明日にでもすぐ月の中心核へ行きゼムスを倒してください!」
なんだか大変なことになったようだ。
セシルたちはまだなのか。
一晩経ってセシルたちが戻ってこなかったら俺たちが行くしかないんだろうな。
ともかく俺たちは一晩テントで待つことにした。

明日遂にゼムスの元へ行かなくてはならないかもしれないと思うととても眠れなかった。
テントの中の黒魔たちを起こさないように俺は外へでる。
「あなたも眠れないのね」
レディが俺の後ろから言った。
俺たちは横に並んで地面に腰を下ろす。
上空を見上げると、地球ともう一つの月が見えた。




435◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:18:48.33ID:AfvvxmAq0
「トロイアを思い出すわね」
ああ、あのときはまだ見上げていた月に実際に行くとは夢にも思ってなかった。
「私ね…ずっとあなたに伝えたいことがあったの」
急に俯きながらレディが言った。
「私…ずっとあなたのことが…」
言うな、レディ。それを言うのはすべてが終わってからにしよう。
皆で生きて帰って、それからなら好きなだけ聞いてやる。
「…そうね。
そうだ!ねえ、帰ったら皆で旅に出ようよ!
平和になった世界で、ただ世界中を巡るだけの旅!」
そうだな、だが、それには生きているのが絶対条件だ。
だから、ゼムスとの戦いで命を落とさないように気をつけろよ。
「ええ!」
さて、そろそろ明日に備えて寝るか。
レディと話していたらだいぶ緊張もほぐれた。
俺たちはテントに戻り、体力を十分に回復した。

翌朝、セシルたちが戻ってくる気配はなかった。
予想はしていたことだ。
俺たちは環状に並ぶクリスタルの中心へと向かう。
「ゼムスのいる月の中心核へお送りします!」
「内部には強すぎるが為に封じられた武具と凶暴な魔物もいるので気をつけてください!」
「どうかご無事で!!」
クリスタルがそう言うと、俺たちの周囲の景色が歪み
気がつくと洞窟のようなところに立っていた。
よし。皆、行くぜ!!




436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)21:25:08.89ID:tM/mP+zKO
うはwwwみwwwwwなwwwぎwっwwwwwてwwwきwたwwwwwww




438◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:28:11.73ID:AfvvxmAq0
どうやらここは月の中心核への通路、地下渓谷という場所のようだ。
ゼムスの配下であろうか、暗黒魔導師や色とりどりのドラゴンが次々と襲ってくる。
こりゃあバハムートのところへ行ってなかったらB1Fでなぶり殺しにされてたな。
レディがバハムートを召還しながら進む。
敵は強いが、それに見合った経験値を持つため戦えば戦うほどたたかいが楽になる。
だが、代わりにMPがガンガン減るのであまり長く経験値稼ぎは出来ないな。
途中でなんかふわふわ浮いている刀とか剣とかを見つけたが装備できないので放置。
途中の宝箱にはクリスタルシリーズの防具が入っているので逐次回収する。

お、槍発見。
俺が槍に手を伸ばすといきなりアーリマンの上位種みたいなのが出てきた。
死の宣告とかかけてきたがむき出しの弱点である目を槍で一突きするとあっさり死んでいった。
ホーリーランスを手に入れた!

ご丁寧に用意されているセーブポイントで一休憩をする。
だいたい7階くらい降りたがまだ続くのだろうか。
ここの敵に苦戦するようではゼロムスには勝てないかもしれない。
手持ちのテントが少なくなるまでしばらくレベル上げをすることにした




続きは次のページで
447◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:41:54.43ID:AfvvxmAq0
>>445
ミスッタw
ゼロムス→ゼムスだなw

くろま Lv56 HP3357 MP399
ジョブ:まじん
Eほのおのつめ
Eこおりのつめ
Eちからだすき
Eくろずきん
Eダイヤのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃黒魔法 ┃
┃チャクラ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
●ファイア ●サンダー ●ブリザド ●ファイラ ●サンダラ ●ブリザラ
●バイオ  ●ファイガ ●ブリザガ ●サンダガ ●フレア  ●メテオ




442◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:33:10.47ID:AfvvxmAq0
大して苦労せずドラゴンとかを倒せるようになってきたのでそろそろ先へ進むことにする。
495個あったテントはもう30を切っていた。

「下に行く度にどんどん邪気が近づいてきてるわ」
「俺の黒魔法が通用するか…」
「どんな奴が相手でも今の皆なら大丈夫ラリ!!」
「そうね、ただ、油断はしちゃだめよ!」
各が意気込みを語る。
俺たちは更に下層を目指した。

なんか一気に周囲の風景ががらりと変わった。
洞窟のようなところから一転透き通ったガラスのようなもので作られた浮遊する城のようなところへやってきた。
このガラスはやたら丈夫みたいで床が抜ける心配はなさそうだが
誤って落下したら命はないだろう。狭い道を俺たちは慎重に進む。

うぉっ!?
いきなり床から人間の顔のようなものが浮き上がってきた。
なんだこいつは、と思っているといきなりホーリーをぶっ放してきた。
黒魔がフレアで反撃するがリフレク状態なのか跳ね返される。
吹き飛んだ黒魔を抱えて逃げる俺たち。
床から次々と顔がせり上がってくる。こりゃあ戦ったら負けだな。
俺たちは一気に階段をかけ降りた。




443◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:37:18.16ID:AfvvxmAq0
フェイズ地帯を抜け黒魔を復活させ一息つく。
さすがラストダンジョン、出てくる敵もひと味違う。

俺たちはただ長いだけの階段にたどり着いた。
この先にゼムスがいるようだ。ただならぬ邪気が漂っている。
俺たちは装備、アイテム、それぞれの役割を確認する。
ポーションとハイポーションの数は十分だ。
フェニックスの尾もまだ150以上残っている。




446◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:40:10.83ID:AfvvxmAq0
最後のステ晒し

おれ Lv58 HP3941 MP0
ジョブ:ディバインナイト
Eホーリーランス
Eげんじのたて
Eげんじのよろい
Eげんじのかぶと
Eげんじのこて
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃まもる ┃
┃かばう ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
レディ Lv58 HP2551 MP417
ジョブ:まかいげんし
Eルーンのつえ
Eひかりのローブ
Eきんのかみかざり
Eルーンのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃召還  ┃
┃白黒魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○サイレス ○スロウ ○ヘイスト ○スリプル ○サイトロ ○リフレク ○ブリンク ○レビテト
●ファイア ●ブリザド ●サンダー ●ポイズン ●バイオ  ●ポーキー ●トード  ●ブレイク
●アスピル ●デジョン ●ミニマム ●ストップ ◎クーザー ◎くろチョコボ ◎バハムート




続きは次のページで
449◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:45:12.56ID:AfvvxmAq0
リリス Lv57 HP2922 MP361
ジョブ;けんじゃ
Eリリスのロッド
Eしろのローブ
Eきんのかみかざり
Eルーンのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃白魔法 ┃
┃連続魔 ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛
○ケアル  ○ケアルラ ○ケアルダ ○ポイゾナ ○プロテス ○シェル ○レイズ  ○エスナ
○スロウ  ○ヘイスト ○ライブラ ○リフレク ○ケアルガ ○アレイズ ○ディスペル○ホーリー

ラリお Lv60 HP5588 MP0
ジョブ:バイキング
Eオーガキラー
Eクリスタルシールド
Eクリスタルメイル
Eクリスタルヘルム
Eクリスタルのうでわ
┏コマンド┓
┃たたかう┃
┃ためる ┃
┃ひっさつ┃
┃アイテム┃
┗━━━━┛




451◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)21:48:31.27ID:AfvvxmAq0
陣形
●リリス
○俺
●レディ
○ラリ夫
●黒魔

これが最後の戦いだ。負けるわけには絶対にいかない。
俺たちは階段を上り始めた。




452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)21:50:13.48ID:zHo8o0KAO
セシル達は何やってんだwww
支援




454◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:03:24.31ID:AfvvxmAq0
>>452
バブイルの巨人相手に奮闘してます。


ゼムスは階段の先で俺たちに背を向けていた。
まさか俺たちみたいな一般人の集団が来るとは思ってないのだろう。
先制攻撃のチャンス。ここで一気にカタを付ける!!
「グハッ!!!?誰だ貴様等は!!」
フレアホーリーメガフレアを一気に食らいめっちゃ驚いた顔でゼムスが叫ぶ。
俺は挨拶代わりにゼムスにホーリーランスをぶっ刺す。
続いてラリ夫が斧でゼムスの脳天に一撃を入れる。
ゼムスが反撃のブリザガを放つがリリスのケアルガで一気に回復する。
黒魔が魔人になって初めての打撃攻撃を放つ。
いいぞ、効いているようだ。
ゼムスが膝を突く。もう少しだ。
「使うがいい、すべての力を!!」
ゼムスが言っているが負け惜しみだろう。見苦しいぞ。
「よし、あの作戦で行くぞ!」
「わかった!」
俺たちは先ほどの休憩で決めた必殺の陣型、ラピッドストリームの体形になる。




460◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:10:53.56ID:AfvvxmAq0
中央の黒魔とレディがメテオとチョコメテオで隕石を降らし
身動きできなくなった相手を俺とラリ夫の打撃、リリスのホーリーで責め立てるという攻撃だ!
4桁ダメージをボコスカ食らい、ゼムスが倒れる。
「この体滅びても…我が魂はふ…め…つ…」
死に際にゼムスが言った。念のため死体に一撃加えておく。
やったっ!第四部完ッ!

「おお、もう終わっておったか!」
階段の下からフースーヤが上ってきた。
タイミング的に絶対こいつ終わるのを待っていただろ。
俺はフースーヤの後ろにゴルベーザがいるのに気づき身構える。
「心配せんでもよい。もうこやつはゼムスの術からは解放されておる」
「その…なんというかすまなかった」
ゴルベーザが俺たちに頭を下げて謝る。
まあフースーヤが言っているし信じていいだろう。
「しかし残念じゃったの~。せっかくここに来るまで新必殺技Wメテオを編み出したのに」
「全くですな。もう使いどころがありません」
楽しげに話すフースーヤとゴルベーザの話に俺たちも笑いがこぼれる。




続きは次のページで
462◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:14:38.98ID:AfvvxmAq0
「我は完全暗黒物質…ゼムスの憎しみが増大せしもの…」
背後から聞こえる低い声に振り向くと、ゼムスの死体から何かが出てきていた。
「我が名はゼロムス…すべてを…憎む…!!」
ゼロムスと名乗った何かは青いモン○ャラみたいな姿になって強大な波動を放った。
俺たちはその波動をもろに食らい吹き飛ばされる。
やばい、とっさに防御した俺以外皆一瞬で戦闘不能だ。
俺も大ダメージを受け立ち上がることが出来ない!!
ゴルベーザとフースーヤは無事だったようだ。
二人がゼロムスに向き合う。
「死してなお憎しみを増大させるとは…」
「ゼムス…いや、ゼロムス!
今度は私の手で消し去ってやる!!」
「消え去れい!ゼロムス!」
フースーヤとゴルベーザが交互に言い、メテオを放つ。
メテオのバーゲンセールだな。メテオ死したテラが草葉の陰で泣いてるぞ。
だが二人の放ったメテオはゼロムスに吸収されてしまった。




466◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:18:58.94ID:AfvvxmAq0
「ダメじゃ。奴にメテオは効かぬ!!クリスタルを使うのじゃ!」
フースーヤにそう指示され懐からクリスタルを出して掲げるゴルベーザ。
クリスタルの強烈な光がゼロムスを照らすがゼロムスはピンピンしている。
「暗黒の道を歩んだおまえがクリスタルを使おうが輝きは戻らぬ。
ただ暗黒に回帰するのみ!死ね!」
ゼロムスのメテオを食らいカンストダメージで倒れる二人。
この場にいる七人中六人がダウン。
残るは俺だけ…。万事休すか!?
「苦しむがいい、滅びるがいい…
すべてを消滅させるまで我が憎しみは続く…今度はお前の番だ」
ゼロムスが無力となった俺に言い放つ。
悔しいがここで全滅してしまうのか…?




467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)22:22:23.46ID:zHo8o0KAO
wktk




468◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:22:24.87ID:AfvvxmAq0
「立ち上がるんだ、まだ終わってはいない!」
不意にセシルの声が聞こえてきた。
幻聴か?いや、はっきりと言葉が頭に響いてくる。
俺は立ち上がり、ゴルベーザの元へ行く。
「この場にセシルがいないのは残念だが…
セシルの意志をもっとも受け継いだお前になら…これを…」
死に体のゴルベーザが俺にクリスタルを託す。

はは…笑っちまうよな。
一般の兵士出身の、血とか運命とかそういうものなんか一つもない
そんな俺が今こうやってここでクリスタルを手に取り世界の命運を握っているなんてよ…!
俺はこの旅で気づいたんだ。
大切なのは生まれとか、力とか、運命とかそんなものじゃない。
自分の進む道を選ぶ心の強さこそが未来を切り開くってな。
行くぞゼロムス…!
たとえこの俺の体が動かなくなろうと、負けるわけにはいかない!!!




続きは次のページで
470◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:25:04.87ID:AfvvxmAq0
今までともに戦ってきた仲間たちの声が聞こえる。

「あんちゃん!」
「私たちの魔力を送るわ!」
パロムとポロムが俺たちに生きる力を与えてくれた。

「みんな勇気を!」
「なせばなる、自分を信じろ!」
ギルバートとテラの願いが、俺たちの耐える力となった。

「精神を集中させろ!」
「必ず帰ってくるんじゃぞ!!」
ヤンとシドの喝が俺たちの勇気を奮い立たせた。

「決してあきらめてはダメよ!」
「最後まで希望を捨てないで!」
リディアとローザの祈りが俺たちの体を癒した。




477◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:29:15.83ID:AfvvxmAq0
「今までの経験を忘れるな!」
「仲間を信じるんだ!」
カインとエッジの助言が俺たちの頭を冷静にした。

「常に光は君たちとともにある!」
「クリスタルを使うのだ!」
セシルとゴルベーザの応援が俺たちに光を与えた。

「月よ、光を与え給え!」
フースーヤの希望が俺たちに戦う力を授けた。

「思い出せ、今までの旅路を!お前たちが守るべき者たちの顔を!!
思いを無駄にするな!勝利を持ち帰ってこい!!!」
ベイガンの言葉が俺たちに未来を与えた。

皆の祈りの力で立ち上がる俺、レディ、黒魔、リリス、ラリ夫。
あいつらの思いを無駄にしないためにも。
俺は…いや、俺達は絶対にゼロムスを、倒す!!

俺はゼロムスに向けクリスタルを掲げる。
クリスタルの強烈な光がゼロムスの真の姿を照らし出した!!
おや…モ◯ジャラのようなゼロムスの様子が…?




480◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:33:24.73ID:AfvvxmAq0
なんとゼロムスは巨大なミジンコのような姿に変化した!!
生物的には進化以前に完全に退化であるが、侮ってはいけないだろう。
開幕にぶっぱなしてきたフレアをシェルで耐え、攻撃を開始する。
勢い良く斬りかかるラリ夫、直撃のはずなのにゼロムスには大したダメージが与えられなかったようだ。
ゼロ距離でバイオを撃たれ、もがくラリ夫にリリスがケアルガをかける。
黒魔が負けじとフレアを放つがゼロムスは平気な顔でフレアを返してきた。
レディとリリスが支援にヘイストをかけるがブラックホールで解除されてしまう。
レディは負けずにバハムートを召喚したがメガフレアをくらってもなおゼロムスは無傷だ。
どういうことだ?ゼロムスは無敵なのだろうか?
俺は思い切って接近して思い切りゼロムスを槍で貫く。
だが貫いた槍は押し戻されるように弾かれた。
ゼロムスの体についた槍の痕が収縮して無くなる。
その後反撃のフレアを食らい吹っ飛んでしまったがわかったことが一つ。
こいつの体は自動で再生するようだ。
ということは再生することが出来ないほど大きなダメージを与えなければならない。
今までやってきた同時攻撃やジェットストリームなんかの子供だましじゃ駄目だ。
ここに居る全員のすべての力を込めた攻撃を放たなければならない。
一体どうすれば…。




続きは次のページで
482◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:37:51.71ID:AfvvxmAq0
ふと、俺はずっと持っていたミスリルスピアを見る。
そうだ!俺は秘策を閃いた。
だがそれにはゼロムスの動きを止めないと…。

突然ゼロムスが体を震わせ始める。嫌な予感しかしない。
俺がとっさに防御すると、ゼロムスはビッグバーンとかいう技を放ってきた!!
凄まじい衝撃に意識が飛びかけるが気合で持ちこたえる。
あんな技を何度も食らったら危険だ。
リリスがケアルガを皆にかける。
ビッグバーンを撃ったあとはゼロムスはしばらく動きを止めるようだ。
ならばその隙をつけば…。

俺は黒魔とリリスに俺が合図したら俺にフレアとホーリーを撃つように指示する。
「死ぬつもりか!?」
「そんなことできる訳ないじゃない!!」
いい考えがあるんだ。
次のビッグバーンのあとがチャンスだ!
俺がそういうと二人はしぶしぶ了承した。
次に黒チョコボやクーザーでゼロムスを食い止めているレディに
合図でバハムートを召喚するように指示する。
そして最後にラリ夫に細かい指示を出す。
準備は整った。あとはビッグバーンを待つだけだ。




487◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:42:06.12ID:AfvvxmAq0
ゼロムスは相変わらずフレアとバイオを乱射してくる。
ポーションで耐えしのぎながら俺たちはチャンスを待つ。
そしてついにゼロムスがビッグバーンを打つ体勢に入った。
俺は懐からエブラーナ城で見つけたボロ雑巾のような手袋と
ベイガンから譲り受けたミスリルスピアを取り出す。
ゼロムスの放つビッグバーンに皆が倒れかけるがギリギリHPを残して耐える。
今だッ!俺は合図を出す。
「もう、どうなっても知らないからな!!」
「絶対うまくやってね!!」
黒魔とリリスのフレア、ホーリーが俺に向かって飛んでくる。
その二つの魔法を俺はミスリルスピアを回転させて魔法剣の要領で吸収する。
ミスリルは別名魔法金属。これくらいのことはできる。

二つの最強魔法を吸収したミスリルスピアは焼けるような高温を放つが
俺はその手をはなさず、ラリ夫に抱えられレディの召喚したバハムートに乗る。
バハムートが召喚時間いっぱいまで俺たちを上空に運んだあとラリ夫が俺をゼロムスめがけて真下に投げる。
俺はボロ雑巾のような手袋を見ながら思う。
武器の投擲は通常の何倍もの威力を引き出す。
そしてこの手袋はその能力をさらに上げるという。
俺はかつてカインから借りた竜騎士の靴でジャンプした時を思い出し
姿勢を整えながら祈りを込めてミスリルスピアをゼロムスめがけて投げつける。

天高くから投下されたミスリルスピアは空気との摩擦で激しい閃光を放ちながら猛スピードで落下し
そして、光の槍となったミスリルスピアがゼロムスの固い体を貫く。

ゼロムスの体が震え始める。
しくじったか…ッ!?




489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)22:43:45.18ID:zHo8o0KAO
なんと言う伏線、、、




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490◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:44:42.71ID:AfvvxmAq0
いや、違う。ゼロムスの体が崩壊を始めているんだ。
「…我は…滅びぬ…生あるものに…邪悪な…心が…ある限り…グ…ズ…ギャアアアム!!!!」
ゼロムスは最後にそう叫ぶと肉体を爆散させて消滅した。

勝ったのだ。俺たちは勝てたんだ!!
とここで俺は自由落下していることに気づいた。
「げぶっ!」
俺は運良く黒魔の上に落ちた。悪い悪い。
謝りながら俺は黒魔にフェニックスの尾を食わせる。


「ヒャッホー!!」
どこかで聞いたような軽い声が聞こえる。
振り向くとセシル達のパーティが階段を登ってきた。今の声はエッジか。
「ひと足遅かったか!
俺がぶちのめすはずだったのによ!」
どういうことだ?俺はセシルに訊いた。
「僕たちも実は戦いに参加しようとバブイルの巨人を破壊したあと急いで戻ってきたんだ」
「途中であなた達が危険な状態であることを感じ取って祈ったのだけど
祈りが届いたみたいでよかったわ。
戦いには間に合わなかったみたいだけれど」
ローザがセシルに続いて言う。




493◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:47:51.42ID:AfvvxmAq0
「それにしてもここへ来る直前、魔物の姿が突然消えていったのだが…」
カインがフースーヤに訊くと、フースーヤは答えた。
「ふむ、魔物はゼムスのやつが幻獣をヒントに生み出した進化の歴史から外れた生き物じゃ。
ゼムス、いやゼロムスが滅びたことでこの世に存在できなくなったのじゃろう」
なんだって?
俺はレディに視線を向けると、レディの体が透け始めていた。
いや、レディだけじゃない。リリスの体も同様だった。
俺はレディに向かって急いで手を伸ばす。
が、俺の手が触れる直前にレディとリリスは完全に消えてしまった。

レディィィィィィイイイイイイイ!!!!!

突然理不尽な別れを強いられた俺たちはただ泣きながら絶叫することしか出来なかった。




495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)22:50:14.53ID:tM/mP+zKO
なん…だと……




496◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:51:01.38ID:AfvvxmAq0
~エピローグ~

あれから一年がたった。
あの戦いの後、ゴルベーザがセシルの兄だったりとか月が地球から離れるとかそういう話の後
俺たちは魔導船に乗って地球に戻ってきた。
その後、バロンの王になったセシルにバロンの近衛兵長にならないかと訊かれ、
了承した俺はバロンの近衛兵長になった。
黒魔はというと急に真面目になって黒魔法を極めるとかいって放浪の旅にでてしまった。
ラリ夫はドワーフの城に帰っていった。

流石に一年もたてばレディを失った悲しみから立ち直ることもできた。
世間の間ではバブイルの巨人を止めたセシルたちが英雄扱いだが俺は別にかまわない。
俺はただ、自分の手で掴んだ平和な時を満喫するだけで満足だった。
しかし、俺が真に充足した気分になることはこの一年なかった。
こころにぽっかりと穴があいているようだ。




続きは次のページで
499◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:53:49.30ID:AfvvxmAq0
昼になりバロンの兵士を目指して訓練する若者たちの稽古に付き合う。
というか近衛兵長として剣が使えないのはどうかと思ったので
最近新米たちと一緒に剣の訓練を始めた。
が、やはり槍から剣への乗り換えは難しく模擬戦ではボコボコにされる。
近衛兵長相手の模擬戦に本気でかかってくるあいつらもどうかと思うが
まあ単純に俺の修練不足だろうな。

訓練に疲れた俺は見張り台の上で休む。
ここは誰も来ないので一人でのんびりするにはもってこいの場所だ。
「近衛兵長様がこんなところでサボってなにをしちょるか?」
下の方からシドの声が聞こえる。
見つかってしまってはしょうがないので飛び降りてシドと話す。
近衛兵長にも休みは必要だろうが。
「じゃからといって王様から離れる近衛兵がおるか!」
セシルはいろいろ動き回るから護衛しようにも難しいし
本人自身かなり強いからそもそも護衛がいらないんだよ。
俺の仕事は兵士たちの管理くらいだ。
それからあまり俺は役職で呼ばれたくないんだよなあ。
皆とは同じ目線で話をしたい。
「お前さんも相変わらずじゃな。
セシルと同じことを言っておるわい。
おっと、セシルじゃなくてセシル陛下と呼ばなきゃならんかったな」
ガハハと笑いながらシドが言った。




500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)22:53:50.18ID:zHo8o0KAO
どんなENDなのかね
支援




502◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)22:56:55.64ID:AfvvxmAq0
「そうじゃ、テラの墓参りに行こうと思うとったんじゃが
どうじゃ、一緒に行かんか?」
テラの墓か、そういえば俺はまだ一度も行ったことがなかったな。

俺たちはファルコン号に乗ってテラの墓のあるカイポへと向かう。
カイポは相変わらず砂漠の中にあるのに涼しかった。
旅だって間もない頃を思い出す。
あのころはまだ未熟でここら辺に出るサハギンに苦戦してたっけ。

『偉大なる賢者テラ 優しき心を持つテラの娘アンナ ここに眠る』
俺は墓石に刻まれている文字を見ながら花束を添え手を合わせる。
「思えばあれからもう一年以上経つんじゃのう…時間の流れとははやいものじゃ」
しみじみとした顔でシドが呟く。
まあたしかにな。
今ではあの月での戦いも夢じゃなかったのかと感じるようになった。
しかし、夜空に浮かぶ月が一つになったのを見るとあれが本当のことだったことを再認識させられる。
思えば、旅をしているときが俺の人生の中で一番楽しかったのかもしれない。
今の生活も決して苦しいものではないが、
仲間の皆と協力して困難を乗り越えていたあの旅が忘れられない。




505◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:00:55.92ID:AfvvxmAq0
墓参りをすませた俺とシドは道具屋でポーションを買い、外のベンチで飲みながら一休みした。
なあ。俺はシドに声をかける。
ファルコンを俺に貸してくれないか?
ちょっと行きたいところがあるんだ。
「ん、別にかまわんぞ。
じゃがその前にワシをバロンに送ってくれい」
それもそうだな。
休憩を終えると俺たちはバロンへ戻り、シドを送り届けた後
俺はトロイアへと向かった。




続きは次のページで
508◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:03:19.85ID:AfvvxmAq0
トロイアは土のクリスタルが戻ってきたからか、以前より人々が活気づいているように思えた。
思えば、レディとはここで出会ったんだよなぁ。
夜になりすっかり暗くなった町を歩きながら思う。
俺は湖のほとりでごろんと横になり星空を見つめる。
空には月が一つだけ、まるで俺の心を表すかのごとく寂しげに輝いていた。
レディよ。お前は言ったよな…。
『あの月が一つになったときに、人と魔物はわかりあえる』って。
結果は、月は離ればなれになり、俺たちも…。
俺は無意識に流した涙を拭いて、そのまま睡魔に飲まれていった。




511◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:07:34.55ID:AfvvxmAq0
「あら、バロンの兵隊さんがこんなところで何してるのかしら?」
後ろから若い女に声をかけられハッと飛び起きる。
一瞬レディかと思ったが全くの別人だった。驚かせやがって。
もう朝か…あのまま眠ってしまったんだな。女がじっと俺を見ている。
このまま黙るのも気まずいので答えることにした。
俺はただ、無くしたものを探しているだけさ。
「へぇ~、じゃあ無くしたものがどこにあるか占ってあげる!」
こいつ占い師か?
俺は占いとか信じないたちだがせっかくの好意を無にするのも気が引ける。
仕方なく俺は女の占いにつきあった。

「ん~、出たわ!無くしたものを見つけるヒント!
『恩人のお墓参りにいくべし。されば事態は進展せん』だって!」
なんだそりゃ。墓参りならさっき終わらせたばかりだぞ。
「あら?おかしいわねえ…私もまだまだかしら」
落ち込む女。悪いことしちゃったかな…。
俺はふと思い出した。まだ行ってない墓がある。
まあ近々また行こうと思っていたところだしせっかくだから行くか。
俺は女に礼を言い、トロイアの花屋で供える花を買い、急ぎファルコンでバロンへ戻った。




514◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:09:56.08ID:AfvvxmAq0
俺が行くのは、ベイガンの墓。
俺たちのためにその身を犠牲にしたベイガンの。
俺がバロンの墓場へ行くとベイガンの墓の前にセシルが立っていた。
セシルは俺に気づくと、微笑みながら話しかけてきた。
「君も墓参りかい?」
ああ。ベイガンは俺の大恩人だからな。
それに、兵士時代の俺の憧れでもあった偉大な人だ。
「そうか」
セシルはそう言った。

俺は墓に花を添え、手を合わせる。
そして、戦いの決着をつけたミスリルスピア-あの衝撃のおかげでかなりぼろぼろだが-を墓に供える。
「それは?」
俺が…ベイガンから貰った槍だ。
この槍が、俺たちに勇気をくれた。
もう必要になることもないだろうから、返すんだ。
「きっとベイガンも空の向こうで君の活躍を聞いているだろう」
それなら光栄なんだがなあ。

去り際に、セシルは俺に言った。
「君宛の手紙が来ていたよ。君の親友からのものだった」




続きは次のページで
515◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:13:06.81ID:AfvvxmAq0
墓参りを済ませた後、俺はバロン町内にある自宅に走った。
ポストを覗く。確かに手紙が入っている。
俺は自宅で一人椅子に座りながら手紙を開く。
字面から黒魔のものであることは一目でわかった。

『久しぶりだな。元気にやっているか?
俺は旅立ってから一年間、修行がてら世界中のいろんな町をみて回ったんだ。
どこの町も、元の平和を取り戻していて賑やかだったよ。
この手紙が届く頃には俺はたぶん試練の山にいるだろう。

町を見て回る過程で、かつての仲間たちにも会ったんだ。
俺が最初に訪れたミシディアではパロムとポロムががんばって修行していた。
パロムは相変わらず不真面目そうだがちゃんと修行はそこそこやっているみたいだ。
ポロムは相変わらずまじめに修行を積み重ねて優秀な白魔導師に成長しようとしている。

ギルバートはダムシアンの王として復興作業に従事していた。
王自らが汗を流すのを見て国民もギルバートを積極的に支援しているみたいだ。

逆にエッジの方は相変わらずの遊び人っぷりで
女の尻を追いかけては家臣たちに迷惑をかけ続けているらしい。
ご苦労なことだ。




518◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:15:57.10ID:AfvvxmAq0
そうそう、実はヤンが生きていたんだよ。
俺たちが死んだと思ったあの後シルフっていう幻獣に保護されて治療してもらっていたらしいんだ。
で、ファブールに帰ってきたヤンはなんと王様になっちまったんだ。

ヤンのことを書いてて思い出したんだがセシルがローザと結婚した上王様になったんだってな。
戴冠式には行けなかったがお前の口から二人に俺がおめでとうって言ってたことを伝えててくれないか?

ヤンに会った後俺は地底を訪れた。
ドワーフの城ではラリ夫が相変わらずラリラリいいながら王様の手伝いをしていたよ。
必死な顔で戦車をつぶして城の補強の材料に当てていたよ。

その後、俺はリディアに会うために幻獣の町に行ったんだ。
幻獣の町までは結構険しい道だった。よくリディアは一人で何往復もできるなあ。
幻獣の町ではリディアが幻獣たちと楽しそうに暮らしていた。
だけど未だに封印の洞窟のことを気にしているらしく何度もお前にゴメンと言っておいてといわれたんだ。
そうそう、幻獣の町で俺は長い間探していたものを見つけたんだ。
お前の分もちゃんとあったからいつか行ってみるといいよ。

結構長くなっちゃったな。
最後に、俺は試練の山での修行を終えたらミシディアに落ち着くつもりだ。
本当はバロンに帰ってもいいんだけど、お前の仕事の邪魔をしてしまいかねないからな。
それに、自然がいっぱいのミシディアの方があいつが喜ぶだろうし。
じゃあまた、今度バロンに会いに行くよ。

お前の親友の黒魔導師より』




521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:19:41.67ID:tM/mP+zKO
なんだよなんだよ…
ハッピーエンドじゃねぇか
。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン




続きは次のページで
522◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:19:51.26ID:AfvvxmAq0
クソ長い文面だったが俺は最後まで丁寧に読んだ。
俺が気になったのは幻獣の町に探していたものがあったという文章だ。
俺の分もあったという意味が分からない。
とりあえず俺はセシルに頼んで有給をもらい、ファルコン号に一人で乗り地底へ向かう。
幻獣界への洞窟はどこだったっけか。

何とか捜し当て長い道のりを経て幻獣の町へと到着する。
すると一人のゴブリンが俺の顔を見て近づいてきた。
「いやぁ、お久しぶりです!」
誰だ?俺はゴブリンの友人はいなかったはずだが。
「まあ覚えてないのも無理はないでしょう。
私は一年前バロン王国周辺であなたにやられたゴブリンです。
あのとき実はあなたの戦いぶりに惚れて仲間になろうと改心して起きあがったのですが
拒否されたじゃないですか~」
そう言われてみればそんなことがあった気がする。
かなり前のことなので記憶が曖昧だが。




524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:22:45.63ID:nVpu/m7Q0
いいタイミングで追いつけた
もうウルウルしている




526◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:24:26.70ID:AfvvxmAq0
「そのあとこの幻獣の町のことを知ってここにいれば
幻獣としてあなたの仲間になれると思って待っていたんですよ。
まあ幻獣に転生できたんですがあなたこなかったでしょう?」
そう言えばあの旅の中で幻獣界に行こうとは思ったが行ってなかったな。
ん?さっきなんて言った?
幻獣に転生だと?
「はい、魔物でも正しい心を持った者は幻獣に生まれ変わることができるんです。
記憶も姿もそのままで、魔物じゃなくて幻獣として生きることができるんです。
そうそう、忘れるところでした。
あなたに会わせたい人がいます。ついてきてください」

俺はゴブリンに言われるがままついていった。
いくつもの階段を下り、俺はある家の前に案内された。
「どうぞ、お入りください。邪魔しては悪いし私は帰りますね」
ゴブリンはそう言って去っていった。
俺はおそるおそるドアノブに手をかける。



家の中には、誰もいなかった。

…は?

ガセ掴まされたか?
結局俺は一人のままか…。




527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:25:07.79ID:zHo8o0KAO
これまたなんという伏線




529◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:26:16.13ID:AfvvxmAq0
「あなたは一人じゃないわ」

後ろから聞こえてきた声に振り向く。
そこにはレディの姿があった。
俺は反射的にレディに思い切り抱きついた。
「きゃ!痛い痛い!」
あ、ゴメン。俺はレディを離した。
改めて俺はレディと向き合う。
消えたんじゃなかったんだな!
「ええ、あのあと気がついたら幻獣王リヴァイアサンの前にいてね、
私は人を愛する心を持っていたから幻獣に転生することが許されたのよ。
もちろん、リリスも一緒だったわ。
でも、幻獣になるには厳しい試練を抜ける必要があって…
ごめん、一年も遅刻しちゃった」
そうだったのか…リヴァイアサンの野郎も憎いことをしてくれる。
後で暇があったら最近使えるようになった雷鳴剣の的にしてやろう。




続きは次のページで
532◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:29:35.44ID:AfvvxmAq0
そうだ、レディ。
月で言っていたよな。俺に伝えたいことがあるって。
さ、言ってごらんよ。
「えーっと…そうね、周りに誰もいないし」
俺たちは家の中に入った。
レディが大きく息を吸って、そして言った。
「私ね、ずっとあなたのことが好きだったの。
あなたの、いつも自信たっぷりで、乱暴だけど心は優しくて
そしていつもみんなの前に立つあなたが好きだったのよ。
ずっと伝えられなかった。私が魔物だったから…。
でも今ならはっきり伝えられる…もっと、あなたのことを教えて。
一緒に暮らして、もっともっとあなたのことを教えてほしいの」
ああ、もちろんさ。俺もようやく自分の気持ちに正直になれた。
俺はもう、お前なしじゃ生きられない。
お前のいない一年間は本当に地獄のようだった。
お前の存在が俺を助けてくれるんだ。

思えば、旅の中で苦しいとき、いつもレディが側にいた。
どうして気づかなかったんだろうか。
ただ、自分に素直になれなかっただけなのかもしれない。
いまならレディを一人の女性として愛することができそうだ。
俺とレディは目を閉じ、そのまま唇同士を重ねた。




533以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:29:44.72ID:YQts+Wv8O
>>1よ、俺は感無量だぞ




536◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:31:29.42ID:AfvvxmAq0
「おめでとー!!!」
「きゃっ!?」
うおっ!?
急に家の明かりがつき。天井裏からラリ夫。
奥の扉から黒魔とリリスが現れた。
とっさに離し顔を真っ赤にする俺とレディ。
「いや~はっはっは!アツいものを見せてもらったよ」
黒魔が大笑いしながら言った。
お前、まさかこのために手紙送ったのか!?
「まさか本当にうまくいくとは思わなかったわ」
リリスが笑顔で言う。
「わざわざ休みとって見に来た甲斐があったラリ!」
お前も仕掛け人だったのか。
とりあえず黒魔とラリ夫に一発ずつストックブレイクを放ちブチ倒した後
フェニックスの尾で復活させ詳しい話を聞くことにした。




543◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:34:12.62ID:AfvvxmAq0
黒魔が世界を放浪していたのは本当だったらしい。
それで、幻獣の町で幻獣に転生したリリスとレディを見つけたそうだ。
で、黒魔はリリスだけに接触し思いを告白したと。
この二人も旅を通してお互い徐々に惹かれていっていたようだ。
その後、二人で何とかして俺とレディを引き合わせる方法を考えた。
それがこのシチュエーションを作り出すことだった。
ラリ夫はその過程で黒魔に呼ばれやってきたようだ。

全くこいつらも人が悪い。
話を聞き終わったあとついカッとなって雷鳴剣で黒焦げにしてしまった黒魔を含め
みんなを乗せたファルコンの上で自宅のあるバロンを目指しながら思う。
まあ、いいか。俺はまた、楽しいことを探しにいけるんだ。
しかも今度は一人じゃない。レディも一緒だ。
それに、仲間もいるしな。


希望に輝く俺の顔を祝福するがごとく、空に浮かぶ月がきらめいた。


バロンの兵士だけど王様が亀だった件 Fin....




続きは次のページで
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:35:25.12ID:Bpzzl0OWO
GJ!




545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:35:42.52ID:7m1hVOrGO
面白かった!乙!




547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:35:47.01ID:zHo8o0KAO
おめでとう
おめでとう




548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:36:35.27ID:VLfAsDiZ0
感動した




550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:36:41.48ID:N17s/MaoO
すげぇ面白かった!
乙!!




552◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:37:03.45ID:AfvvxmAq0
終わりです。
なんとか最後までいけてよかった。
応援してくれた方も、保守、④してくれた人もありがとー!




554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:37:59.25ID:kfKmHGvr0
乙!
最初から最後まで楽しめたwww




559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/09(土)23:39:53.03ID:YQts+Wv8O
SSでここまで感動したのは久しぶりだ。
>>1ありがとう




562◆dgwRtD4oEU2010/10/09(土)23:42:46.53ID:AfvvxmAq0
皆さんに感動してもらえて何よりです。
もともと(何故か)ベイガンが好きで
ベイガンが仲間になるルートがあったらなーって思ってたらこの話の構想ができました。

実は6月に書き終わっていたんだけど長期規制で出来なかったのよね。




615以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2010/10/10(日)12:40:03.60ID:pcgAZhPsO
最後まで読んだ乙

ラスト熱かったZE